小説「いい風が吹いてきた」
「ついに来週だな秋元ー」
「そうですね」
「緊張してる?」
「あまり、、」
「だよなー」
「高校最後の大会って言われても、なんだよな」
「まあ僕達ごく普通の公立高校ですからね」
「インターハイ県予選かー」
「僕達2回戦行けますかね?」
「まあなんてったって相手は海学の吉田兄弟だからな」
「はい、、、」
「まぁいい思い出にはなるんじゃない?」
「ぁ、」
「なんてゆーと思ったか?秋元君よ」
「あ、いや」
「今日の練習試合の相手は吉田兄弟から完敗を避けた奴らだ。」
「いや普通にボコられてますよ」
「だけどな、目の前にいるダブルメガネでも吉田兄弟とやり合えるんだよ」
「いやだから普通に、」
「完敗を避けてる」
「なんですか完敗を避けてるって」
「秋元。」
「はい?」
「俺は高校から卓球を始めた。中学の時はバスケ部だった。」
「はい、」
「俺はそのバスケ部最後の大会前の最後の練習試合でネットを揺らしている」
「はい。」
「だからなんですか?」
「秋元。」
「俺は今日、この練習試合に、、、」
「、。」
「全てを懸けて戦う」
「いや、」
「、。」
「絶対今日じゃないですよ」
「、。」
「大会来週ですよ」
「来週の予選で全てを懸けたくても、当日に全てを懸けるのはなかなか難しい」
「だから今日懸けとくと?」
「おう」
「いや今日じゃないですよ絶対」
「おう」
「てかバスケの話なんだったんですか?」
「練習試合で点取ったって話」
「というかどうせならその台詞来週聞きたかったですよ」
「秋元。」
「はい、」
「去年の夏、卓球初心者のお前と組むってなってどうなるかと思ったけど、」
「はい。」
「お前と組めて良かったよ」
「先輩、」
「あ?」
「今日の練習試合、」
「ん?」
「全てを懸けて戦います」
「来週聞きたかったわー」
「、。」
「さあいい風が吹いてきた」
「ここ体育館ですよ」
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