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【日記】留学から帰国が近づくにつれて


日本に帰るとどうなるのでしょう。
自分はどんな感覚を抱くのでしょう。

ヨーロッパが恋しくなるか、はたまた日本のありがたみに陶酔してるかもしれません。


日が経つにつれてそんなことを思います。ヨーロッパに留学するというのはこれだけ世界が繋がった21世紀とはいえど、やはり日本とは少しの隔たりを感じます。文化も言語も価値観も違う中、日本に帰るとどうなるのかなと度々妄想するのです。


よく言われるのは、留学から帰ると日本とのギャップに頭を悩ませる、というもの。多様な国々の人が当たり前のように暮らしているヨーロッパと、基本日本人しかいない日本では当然ながら世界観が違います。情報のベクトルも速さも違います。



僕はたかだか一年程度で帰国しますから大してギャップは感じないかもしれませんが、これが2年、3年となるにつれてその格差は大きくなるでしょう。



日本に帰ると「ヨーロッパ凄かったよ」と早々に自慢している自分の姿が目に浮かびます。歓迎され、現地の人と仲良くなり、絵画やら音楽やらの芸術に傾倒し。そんな表面ばかりをさらって留学とは何かを語っている自分が見えるでしょう。


遠藤周作の『留学』という作品にコレと似た描写を見ることができます。留学が今よりも貴重な選択肢であった時代を描く『留学』では、教養人として迎えられ幸せに暮らしていたと自慢してくる(留学経験のある)先輩が冒頭いくつか出てきます。


もちろん、彼らの経験が全て嘘という訳ではないでしょう。アジア人、とりわけ日本人となると数が貴重ですから一定程度歓迎されますし、(これは過去の日本人に感謝することですが)下手な差別や態度を取られませんから、それなりの地位を感じることさえあります。日本という国が決して小さい国でないことは海外に出るとすぐにわかりますから。日本を好んでくれたり関心を持ってくれる海外の人は意外にも多いものですよ。


しかし、それと同時に、綺麗に整えられたその表面は決して純粋なものではない事も留意すべき事柄です。慣れない英語が伝わらず、慣れない街路に旅行先で何度も慌て、上手くいくと思っていた決済が上手くいかなかったり、今なりの悩みなら脅威の円安。物価高のおかげで30年前の人たちが体感した海外はとうに消え去っています。


美術館は軒並み値上がりし、学生がタダの時代はいつしか砂のように流れ去っていきました。旅行先でヨイショっと気前よく払えないのも僕らの世代なりの悩みだと思います。経済という意味では、日本が辛い立場にあるのは間違いない事です。



さて、こんなことを色々考えている、余計に日本に帰った後のことが見えてこないのです。なるようになるのである意味どうでもいいのですが、自分がどういった感覚に陥るのか、少し楽しみであり怖くもあります。


留学で何を学んだかと聞かれたら、おそらく大抵の人は「んー…」と口をつぐむはずです。それもそのはず、周囲から見る留学の1年間と、実際に体感する1年間は飛行機と徒歩くらい速さが違うのです。



それに、自分が目標としていたコトを達成できた人は半分もおらず、なんともいえない空疎な感覚に至る人も多いはずです。


留学というのは不思議なもので、言葉にし難い、だけど不思議な引力を同時に持つものです。それ以上でも以下でもありません。



日本に帰ったらどう感じるか。
そんなことを思いつつ、あと2ヶ月。



では、また明日
長濱(2024.4.19)




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