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寝過ごし東海道線文学 Vol.1 平塚駅

こんにちは。茅ヶ崎在住、湘南ボーイやってますナチです。
湘南での生活は海の香りがただよう環境で何不自由なく最高にChillな毎日。

そんな湘南も唯一の欠点がある。それは東海道線というどこまでも長く続く路線。仕事で東京出る時など一本で行けてとても便利な反面、飲んで帰る時に寝過ずにちゃんと家に帰る難易度が高すぎる。
茅ヶ崎に住んでもうすぐ3年、もはや寝過ごしすぎてあらゆる東海道線の駅で降りた。
そして目が覚めた時の駅ごとに感じる感情やそこからの動線、景色などに違いや意味合いを感じ始めてきた。これを東海道線文学と名づけてみる。

ある日の仕事終わり。
その日は仕事関係の知り合いとの飲み会で代々木へ、初めましての人も多い場で、ぶっちゃけ最初は全然楽しめなかった。楽しくないとついついお酒を飲んでしまう。酔ってくると楽しくなってくる。そんな感じでしっかり酔っ払った。
帰りは山手線で品川駅に移動し、いざ東海道線。よりによって熱海行き。熱海行きという表記と目が合うと「壮大な振りだろ」と思ってしまうのマジでやめたい。
寝過ごさないかドキドキしながら電車に乗り、終電手前の時間帯、微妙に空いてて座れる。
絶対に寝ないようにネトフリで最近始まった鬼滅の新シーズンを観る。めちゃくちゃ大好きなはずの鬼滅をもってしてもだが眠気には勝てない。。
横浜駅過ぎた辺りで目を閉じてしまい、起きると最寄りの茅ヶ崎駅で電車の扉が閉まっている。今日も寝過ごした。

次の平塚駅で無事下車。もちろん登りの電車はとっくに終わっている。
平塚と茅ヶ崎は1駅なんだけど、とてもじゃないけど歩いて帰れる距離じゃないもののタクシーで帰れる距離。だがしかし平塚駅はとにかくタクシーが本当に来ない。マジで来ない。
これまで寝過ごして平塚駅で起きたのは4回くらいだが、平均すると45分くらい待つ。そのくらいタクシーが来ない。
あるときは来なすぎて駅の反対側のタクシー乗り場に行ったがタクシーは皆無、深夜にやってるラーメン屋で半ば無理やりスーラータンメンをかっこみ、お店の人にタクシーを呼んでもらったこともある。
そしてまたあるときは、30分以上俺の前で一緒に待ってた酔っ払ったおじさんと待ち時間長すぎてさすがに仲良くなって、「このタクシー必ずもう一回ここに戻してやっから!」と言って去っていき、20分後にマジで同じナンバーのタクシーがきたこともある。

そんな人生のハードシングスを学べる場、平塚駅。寝過ごし5回目の今日も、寝過ごした自分への戒めとして今日も待ち時間を噛み締めようと心を決めて辿り着いたタクシー乗り場。大丈夫45分なんてあっという間、ちょっとしたマインドフルネスやって強くなろう、そんなことを思って改札を抜けた。

階段を降りつつ見えてきた光景に驚愕した。むっちゃタクシーいる。 誰も待ってなくて、2台はいた。(むっちゃいるように見えた)
過去いくら待っても来なかったタクシー場がクソ改善されてる。誰がかがイノベーション起こしたのか?そんなことが頭をよぎった。
そんな驚きと興奮を隠しながら颯爽とタクシーに乗り込んだ。

寝過ごしたのにスムーズに帰れてしまった。過去の数多の寝過ごしの中でも一番のスピード感で帰れているかもしれない。
寝過ごしたこと自体はだいぶマイナスなんだけど、タクシー待たなかったちょっとプラスな気持ちになって、なんだか少し得をした気持ちにまでなった。
なんなら少し平塚が好きになった。今度昼の顔も見にきてみるか、ということさえ思った。

茅ヶ崎と平塚を結ぶ国道134号線、湘南大橋をタクシーで通過する。窓の外には見慣れた湘南の景色が過ぎ去っていく。
タクシーの運転手さんに「平塚なのに珍しく待たなくて感動しました。」とと伝えたら、「4月だからじゃないっすかね〜」というやる気の返事。そうじゃない気しかしなかった。寝過ごしから学ぶ人生。

#創作大賞2023

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