綾野つづみ
記事一覧
【料理エッセイ】ジブリ飯より宮崎駿のサッポロ一番塩らーめんが食べたい! マジで!
ジブリ飯が人気だ。『ルパン三世 カリオストロの城』のミートボールスパゲッティに、『ハウルの動く城』に出てくる厚切りベーコンと目玉焼きに、『天空の城ラピュタ』のドーラハムに……。どれもシズル感たっぷり。言わずもがな、みんな夢中だ。もちろん、わたしも。
ジブリパークのレストランだったり、居酒屋が非公式で再現したメニューだったりがSNSでよくバズっているし、賛否両論の『君たちはどう生きるか』もジャ
【読書コラム】「友だちのノリ」と「闇バイト」が共存している青春のリアリティは100%現代。でも、それはわたしの知らない現代だから、この本が読めてめっちゃ幸せ - 『みどりいせき』大田ステファニー歓人(著)
昨夜、月一のzoom読書会があった。大学時代の友だちとやっているもので、かれこれ、一年以上は続いている。
毎回、新人賞受賞作や芥川賞候補になった作品を課題本に設定し、各々、読んできて感想を言い合っている。これが想像以上に盛り上がる。
一人で読んだときには曖昧だった印象が、みんなで語り合っているうち、徐々に輪郭がくっきりしてきて、そうか、「わたしはこういうところに面白さを感じていたのか!」
【映画感想文】オカン、ほんまに頑張った! というか、ガチで「諦めたらそこで試合終了」なのって怖過ぎるよ - 『ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュ』監督:アンドレアス・ドレーゼン
最近、映画館へ行くたび、面白そうな予告編が流れているので、すぐにまた映画館へ行ってしまう無限ループに入り込んでしまった。
『ミセス・クルナス vs. ジョージ・W・ブッシュ』もその一本で、2001年10月、無実の息子がグアンタナモに収監されてしまったドイツのオカンが奮闘努力した結果、当時のブッシュ大統領を訴えるというウソみたいな実話である。
明るさと笑顔でオカンが問題を解決しちゃう話なん
【マシュマロ】坂口恭平さんなど独自の生き方が魅力的な男性クリエイターに似ている女性クリエイターを考えてみた
マシュマロに質問を頂きました。
資本主義社会でいかにお金を使わず生きていくかを試みた方々ですね。わたしも無駄な労働に抵抗を感じる人間なので憧れています。
本来、仕事をするのは生活のため。なのに、過労でまともな生活を送れないなんて、本末転倒もいいところ。
納得のいく生活を送る上で必要なお金はいくらなのか? 多くの人がその基準も知らないまま、不安から人生の大半をやりたくない仕事に費やしている。
【料理エッセイ】真夜中の都会を彷徨う屋台バー"Twillo(トワイロゥ)"は夢か現か幻か? 東京砂漠で旅を続ける最後のキャラバン!
2020年。コロナ禍で多くの飲食店が休業する中、三密が避けられるということで外飲みに注目が集まった。
ちょうどその頃、仲のいいテレビディレクターが屋台特集の企画を立てた。なんだか面白そうだったので、興味本位、ラーメン屋台のリサーチ取材に同行させてもらった。
なんでも、2010年代半ばまでは新宿を中心としたラーメン屋台の巨大グループが存在したが、取り締まりによって壊滅状態。いまでは都心に水
【読書コラム】お医者さんが薬だけでなく、地域のサークル活動を紹介することで治る病気があるらしい - 『社会的処方: 孤立という病を地域のつながりで治す方法』西智弘(編著)
高齢者に関する研究をしている後輩から、面白い考え方があると『社会的処方: 孤立という病を地域のつながりで治す方法』という本を教えてもらった。
心や身体の不調で病院に行ったとき、日本ではお医者さんから薬を処方されるのが一般的な治療とされているが、イギリスでは地域のサークル活動を紹介する治療も行われているんだとか。
風邪など対処療法が有効な病気であれば薬で治すことができるけれど、運動不足やコ
【映画感想文】女が消えるのには理由がある - 『ピクニックatハンギング・ロック』監督: ピーター・ウィアー
ル・シネマで『悪は存在しない』を見たとき、幕間の時間にとても美しい映像が流れた。乙女たちが自然の中を彷徨って、忽然と姿を消してしまうのだ。『ピクニックatハンギング・ロック』の予告編だった。
後で調べるとピーター・ウィアー監督の出世作で、その耽美でミステリアスな世界観からカルト的な人気を誇る映画なんだとか。
ピーター・ウィアーと言えば、『いまを生きる』だったり、『トゥルーマン・ショー』だ
【マシュマロ】「卒論は初恋のようなもの」とウンベルト・エーコは言っていた
マシュマロに質問を頂きました。
卒論、大変ですよね。わたしも書きましたが、ちゃんと終わらせられるのかなぁ……と、〆切までストレスフルな日々を送りました。懐かしい。
本って、暇なだけでは思いのほか読めないんですよね。YouTubeやTikTokと違って、書籍というメディアの特性上、連続した能動的時間を長めに費やす必要があるためです。
だから、わたしは図書館や喫茶店に行って、自分で決めたページ
【ショートショート】湯田ちゃん、推しを売る (2,638文字)
湯田ちゃんの推しが炎上した。未成年淫行の疑いがあるらしい。その証拠写真として、顔にモザイクが入っているけれど、わたしたちぐらいの女の子とキスをしている写真が週刊誌に掲載された。
これはショックだろうなぁ。自分の推しがこうなってしまったらと想像し、湯田ちゃんに同情した。
でも、今朝、投稿してみると意外にも湯田ちゃんは平気な様子。いつもだったら、こっちが聞いてなくても一方的に推しの話ばかりし
【料理エッセイ】幸楽苑の「みそねぎらーめん」は"不良の味"
先週の金曜日、布団の中でXを眺めていたら、幸楽苑の「みそねぎらーめん」を愛でるつぶやきを見つけた。なんだか懐かしくなってしまった。
わたしも子どもの頃、幸楽苑へ行くたび、「みそねぎらーめん」一択で通していたので、とっても、とっても、気持ちがわかる。途中、卓上の辛子ニンニクをドバッと入れて味変するのが好きだったなぁ、なんて考えているうち、あとは寝るだけの時間なのに、お腹がぐーっとなってしまった
【読書コラム】子ども向けの本だけど、仕事ってなんなのか、自己啓発本レベルの発見がある! すべての社会人、たぶん必読。きっと、おそらく。 - 『トレモスのパン屋』小倉明(作),石倉欣二(絵)
小学生向けの読書会をやっている。以前、記したものと同じ活動で、ゆるーく続いている。
毎回、読む本はわたしが選ぶ。楽しいと思って始めたものの、やってみるとなかなか大変。毎週、3作品を紹介すると決めてしまったので、候補作を求め、ひーひー本を探し回っている。
最初は児童向けの本を適当に見繕って読ませていたのだけれど、そう甘いものではなくて、つまらないとか、長過ぎるとか、他の作品と関連性がないと
【映画感想文】報われなくても頑張り続けるわたしたちの歌! 奈須重樹、マジかっけえ - 『一生売れない心の準備はできてるか』監督:當間早志
時間があったので、なにか映画を観たいなぁと思って、近場でなにが上映しているのか調べたところ、めちゃくちゃ気になるタイトルの作品を見つけた。
その名も『一生売れない心の準備はできてるか』である。見れば、音楽ドキュメンタリーのようだけど、「一生売れない」というフレーズは強烈だ。ミュージシャンに限らず、なにかを頑張るすべての人がドキリとするはず。
ひとまず、予告編をチェック。すでにめちゃくちゃ
【マシュマロ】「まなざし」の暴力性は相手の性別に関係するのか?
前回のマシュマロに追伸を頂きました。
これについては前回の回答で、レオ・ベルサーニ&アダム・フィリップスの『親密性』をおすすめしました。
どんな愛もナルシスティックなものであり、境界を侵犯しようとする点で暴力的である。だから、そうじゃない形で他者と結びつく方法を見つけたいよね、という内容の本です。
「まなざし」は境界を侵犯するため、暴力性を伴いがちです。サルトルも『存在と無』の中で言及して
【ショートショート】10年以内に (1,891文字)
ビールを飲みつつ、疲れた様子で夫は言った。
「とにかく、父さんも母さんも頑固でさ。いくら丁寧に説明しても、移住する気がないんだもん。参っちゃったよ」
わたしは取り分けておいた夕飯の肉じゃがとほうれん草の胡麻和えを出し、味噌汁を温めながら、その話を聞いていた。
「別に死んでもかまわないって言うんだもん。本当、呆れちゃった」
「でも、しょうがないじゃないかな。いきなり、隕石が降ってくるから
【料理エッセイ】はじめての夜釣りは悲しくなるほど釣れなくて、途方に暮れてしまったけれど、明け方、ようやくアジが釣れたとさ。サンキュー、東京湾!
先日、コロナ禍で釣りにハマって、横須賀へ引っ越した友だちに誘われて、人生初の海釣りにチャレンジした話を記事にした。
そのときは人もたくさんいたし、一匹も釣れなかったし、わたしの結論は「あんまり楽しくない」だった。だけど、友だちはそうなってしまったことがとても不本意だったらしく、今度は夜釣りを試してほしいと言ってきた。
なんでも、昼間はあふれんばかりに人が密集しているけれど、夜にはけっこう