綾野つづみ
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【料理エッセイ】はじめての夜釣りは悲しくなるほど釣れなくて、途方に暮れてしまったけれど、明け方、ようやくアジが釣れたとさ。サンキュー、東京湾!
先日、コロナ禍で釣りにハマって、横須賀へ引っ越した友だちに誘われて、人生初の海釣りにチャレンジした話を記事にした。 そのときは人もたくさんいたし、一匹も釣れなかったし、わたしの結論は「あんまり楽しくない」だった。だけど、友だちはそうなってしまったことがとても不本意だったらしく、今度は夜釣りを試してほしいと言ってきた。 なんでも、昼間はあふれんばかりに人が密集しているけれど、夜にはけっこう帰りだし、終電を過ぎた頃には快適に釣りを楽しめるというではないか。しかも、いまな
【読書コラム】とどのつまり、文体ってなんなのだ?! プロとアマチュア、男と女、人気のあるなし。その差はいったいどこにある? - 『数字が明かす小説の秘密 スティーヴン・キング、J・K・ローリングからナボコフまで』ベン・ブラット(著),坪野圭介(訳)
高校生の頃、幸運にも、大江健三郎さんとお話しする機会を得た。最初、有名な小説家ということで、 「大江先生」 と、お声かけしたのだが、「先生はやめてくれ」と言われたことが印象的だった。 「大江さんと呼んでください」 当時、大江さんの初期作品にわたしはハマっていたので、どうしてこんな現実離れした設定を書くことができたのか、いろいろ質問させて頂いた。「そんなむかしの話を聞かれても」と言いつつ、大江さんは現実に経験した出来事がきっかけになっていると丁寧に教えてくれた。
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【読書コラム】ピントが合わなかったのは、カメラを持つ手が震えていたから - 『ちょっとピンぼけ』ロバート・キャパ(著),川添浩史、井上清一(訳)
先日、マシュマロでロバート・キャパの『ちょっとピンぼけ』を代わりに読んでほしいというメッセージを頂いた。書かれている内容をどう理解していいかわからず、ページをめくる手が止まってしまったんだとか。 存在は知っていたけど、読んだことはなかった。タイトルから勝手にキャパがどんな風に写真を撮っているのか、技術論だったり、精神論だったり、そういうことが語られているんだと想像していた。 で、Amazonで購入し、届いたものを読み出してビックリ。全然、そういう本ではなかったのであ
【時事考察】若者に増えている「静かな退職」とは? 突き詰めるとセネカの『人生の短さについて』に至り、むしろ、そうあるべきと思われてくるよ
最近、若者に「静かな退職」と呼ばれる働き方が増えているらしい。具体的には、出世を目指さず、給料をもらえる最低限度の仕事だけをこなすというワークスタイルのことらしい。 字面だけ見ると、「静かな退職」ってこっそり会社を辞めることみたいだけど、そういうわけではないみたい。なんでも、アメリカでquiet quittingと名付けられ、それを直訳したから違和感のあるフレーズになっているんだとか。意訳すれば、「物言わぬ諦め」みたいな感じだろうか? 先日、この「静かな退職」につい
【読書コラム】コメントで教えてもらったミステリーを読んでみたら、とんでもなく哲学的で面白かった! - 『シンデレラの罠』セバスチアン:ジャプリゾ(著),平岡敦(訳)
先日、アップした『変な家』の記事に、BRILLIANT_Sさんからこんなコメントを頂いた。 寡黙にして、『シンデレラの罠』という小説を知らなかったけれど、語り手が探偵で、証人で、被害者で、まさかの犯人?! というトリッキーな設定にすごく興味を惹かれた。 事前にいろいろ調べたくなったが、おそらく、ネタバレを踏んだら一巻の終わり。可能な限り、なにも知らない状態で読むべきだろうと身構えて、ささっとAmazonで購入。詳細もレビューも見ないようにした。 で、読み終えたわ
【映画感想文】死んでしまったパパの得意料理が食べたくて - 『リンダはチキンがたべたい!』監督: キアラ・マルタ, セバスチャン・ルドバース
このまま家でぼーっとしていては、一日が無駄に終わってしまうと危機感を覚えた午後三時。なにかしなきゃと新宿へ出かけ、紀伊国屋書店をぶらついて、適当に本を何冊か購入。喫茶店でのんびり読書でもしようかと路地裏を歩いていたところ、新宿ピカデリーの前で興味深いフランス映画のポスターを見つけた。 原色で描かれた女の子がニワトリを大切そうな抱えている。その顔は凛々しく、頑なで可愛らしく、一見すると大切なペットを守っているかのようだけど、タイトルは『リンダはチキンがたべたい!』なので、