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2022年夏、瀬戸内国際芸術祭で現代アートに出会う

先日、芸術祭、いわゆるトリエンナーレというものにいった。存在自体は大学時代から知っていたが、当時は海外に気持ちが向いていたし、現代アートというものは理解し難いものと思い食指が動かなかった。最近までそんな状態だったがコロナで海外旅行が難しいということもあり、今まで気が向いていなかった瀬戸内海芸術祭にはじめて出向いた。そこで自分の想像とは裏腹に現代アートというものが大変面白いものだとわかった。その時のことをここに日記として残しておこうと思う。

0日目 高松

THE アジアのゲストハウス

金曜の夜、飛行機で高松に飛ぶ。翌日の予定を考えてフェリー乗り場近くのゲストハウスに泊まった。ゲストハウスの部屋について驚いた。そこはアジアで止まった1,000円以下のゲストハウスととても似ていた。窓を開ければインドの猿に出会えそうな感覚だった。幸いにも水回りは綺麗で、エアコンもよく効いた。部屋が階段下、キッチン前の部屋ということもあり、夜遅くまで騒音は聞こえたが、ギリギリまでしていた仕事の疲れもあり、眠りに落ちるのに苦労はしなかった。

1日目 女木島と男木島

女根

港に思ったより人が多く、予定より1本早いフェリーに乗り込んで女木島(めぎじま)に向かった。女木島は鬼ヶ島とも呼ばれている瀬戸内海の小さな島である。
島に着いた時間が早く、解放展示以外は開いていなかったが、みられるものから順番に見ていった。日差しは弱かったが温度湿度共に高く、常に汗が止まらなかった。島にはコンビニなど見当たらず、自動販売機ですらフェリー乗り場以外で見かけなかったので、水分がもっと必要だったと後で後悔した。昼近くになり展示会場が開いてからは、見られるところから見て回った。そうめんを出す店があったので向かったが素麺がほぼ売り切れていたのでハンバーガーを食べた。巨大なキクラゲのピクルスを入れた個性的なハンバーガーだった。暑さで疲れた体には酸っぱいピクルスと肉汁がとても美味しく感じた。心に残ったのは以下施設。

女根…女木島の根っこという意味がありつつ、背景に性的な意味もしっかり入っている作品。けばけばしいしく派手な色合いの建築がおもしろかった。エロティックな情報や不思議な違和感も入りつつ、家族で見ても嫌悪感がない絶妙なレベル。この後同じ作者の作品を複数見たが、どれも違和感が良い具合に含まれていて楽しかった。
ティンカーベルズファクトリー…特に心のマッサージチェアがよかった。椅子に座り手元のハンドルを回すと不思議な装置と音がなり出す楽しい仕掛け。発生する音もただ綺麗な音というより、馬鹿みたいでうるさくて、でも優しくてほっこりする、なんだか笑顔になってしまう作品。作品装置に『座る』や『ハンドルを回す』という行為が本当に許されているのか、どきどきしながら楽しんだ。
鬼ヶ島ピカピカセンター…洗脳されたとしか思えない。ぴかぴかに似た単語を聞くと「鬼ヶ島!ピカピカセンタァア!!」という声がどこからか聞こえるようになってしまった。
ヘアサロン壽…海の見える美容室。荻上直子監督の作品に出てきそうだ。いやもうすでに出てきていそうな気がする。空間として美しかったし、こんな空間の作れる島の環境が羨ましかった。

午後に再度フェリーに乗り込み、今度は男木島(おぎじま)に向かう。男木島には猫がたくさんいるという噂を聞いて楽しみにしていたが、噂通りそこらじゅうに猫がおり体を触らせてくれた。ここらへんからアブの襲撃を受けることになる。どの島にいってもそうなのだが、島にいる虫たちのサイズがおかしい。本島の1.5倍くらいある。ここで出会ったアブもスズメバチのようなサイズで耳元で音がするたびに恐怖を感じる。展示を見終わった後、再度松島へ。夕飯の待ち時間に商店街をぶらぶらした。いたずらに路地を入ると神社やら廃墟やらちらほらあり、そういった部類のものが好きな私にとって大変楽しい街歩きであった。

2日目 小豆島

立入禁止

2日目は小豆島へ。立入禁止をめぐりつつ迷路の街と呼ばれる街を歩く。昨日に引き続き、廃墟が多い。ほぼ崩れ落ちてしまったような廃墟もあり、中を覗くと見たこともないようなレトロな棚が残っていたりしており見応えがあった。迷路の街を見終わった後は車で少し遠い作品を見て回る。昨日の島に比べて面積が大きく、山の中の作品も多かった。小豆島は芸術祭の見どころのほかに、実写映画『魔女の宅急便』の撮影現場でもあり、それを売りにした施設もあるので観光地として楽しめる島だった。オリーブが有名で、この日はオリーブの練り込まれた素麺をいただいた。そのまま島の移動はせずに、この日は小豆島に泊まった。心に残ったのは以下。

立入禁止…街のなかにある立入禁止エリアに思いを馳せる作品。現在は使われていない役所、草木生い茂るボットン便所付きのアパート、昔のパチンコ景品交換所など、廃墟を作品にしているものも多く、楽しめた。注意としては、作品の目印になる立入禁止の看板が透明で見つけづらいので、全て制覇しようとするとかなり時間が取られる点。

3日目 豊島

影たちのみる夢

豊島に移動。レンタバイクと悩み、レンタカーの予約を入れていたが、正解だった。くそがつくほど暑い。何人か自転車を漕いでいる人たちとすれ違ったが、ことごとく目が死んでいた。作品を巡りつつ、昼は島キッチンという作品でもあるカフェでランチをとり楽しんだ。この島に限った話ではないが、島で食事が取れる施設は限られているので可能であれば予約をして行った方がよい。豊島は作品数自体は多くないのだが、心に残る質の良い作品が多かった。ただ、写真禁止のところが多いので写真自体は少なくなる。作品を見終わっていざ島間の移動。コロナの影響で豊島から直島にいくフェリーが減っているとは知っていたのだが、まさかの満員で乗れないというトラブルに…。何組か同じような旅行者がいたので、力(お金)を合わせて海上タクシーを呼びました。ここにきて、ずっと気になってた「タコタコタクシー」を使うことになるとは思ってなかった。直島ではベネッセハウスに泊まり、夜の美術館へ。東京に住んで大混雑の美術館を体験していると、人が少ない美術館がどれほどありがたいものか身に染みる。豊島で心に残った作品は以下。

豊島美術館…芸術祭とは別の常設施設だが格別によかった。丸みをおびた不思議な建築物。靴を脱いで入ると、床の至る所から水がぷくぷくと発生し、どこかに移動していく。天井が空いているので、外からは鳥や虫の声が聞こえ、風が通り抜ける。文章や写真で伝えるのが難しい空間なのでぜひ足を運んでほしい。何時間でもゆったりしたくなる不思議な空間だった。
心臓音のアーカイブ…世界中の心臓音を録音し保存してある施設。心臓音にあわせて部屋の真ん中にあるライトが点滅する展示は圧巻だった。お金を払えば、自分の心臓音も登録できる。
影たちのみる夢…小泉八雲の「和解」という短編小説を元に、現代風にアレンジして表現している作品。本当の廃墟を作品に合わせて色付けしてあり、ホラー風味な作品。個人的に畳に土足で上がるという行為が抵抗があり、これがまた違和感になってホラー要素の嫌悪感をひきあげた気がする。最後の仕掛けこそ「視点が変化する感覚」の表現だと思うが…ここは誰かと意見交換したい。

4日目 直島

護王神社

作品も多いが、旅行最終日ということもあり時間もなかった直島。常設の美術館も多いが、自分の好みには合わなかった。素人には分かりづらい作品が多かったと思う。その中でも心に残ったのは以下作品。

南寺…前情報無しで感じた方が楽しめる作品なので詳細は省く。これぞ体験型アートと感じた。旅の最後にして、これはやはり現代アート面白いぞ!と自分の中で結論がでた作品。
護王神社…前日止まったベネッセホテル併設の美術館に模型が置いてあった作品。事前に模型を見ていたので、自分がその模型に入り込んでいるような不思議な感覚に。地下の部分には別サイドから入れるようになっており、美術館の模型と同じく海が見える。


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