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人間の”正義”・”モラル”って一体?この異常オヤジは他人事じゃない!? 映画「カルネ」「カノン」★4

白痴の娘を歪に愛し、世を呪う父親の物語。
「人間の正義とモラルの映画」

監督ギャスパー・ノエ
「カルネ(Carne)」1994年/40分/仏
「カノン(Seul contre tous)」1998年/95分/仏

NON BIZARRE奇妙ではない

人にはモラルがあり、正義がある。

簡単にあらすじ。
「カルネ」
娘の誕生と共に母親は消え、父親が一人で育てる。(数ヶ月で育つ?)馬肉屋を経営。ある日、勘違い暴走で無実の人を殺し、捕まる。娘は施設へ。出所後、カフェで働く。そこのビッグマムと一緒になる。(ここまでだったかな?)
「カノン」
仕事面やビッグマム達との問題があり、拳銃を手にし、出て行く。パリへ?金はない。拳銃の弾は3発。オヤジの心の声は不平不満の呪いの言葉だらけ。最終的に、娘を連れ出し……ハッピーエンド、か?(一時的な)

久しぶりに刺激的な作品だった。わりとエログロ。ノエさんのセンスやっぱ好きよ。中毒性ある〜。映像も音も。ドゥン!やバーン!がクセになる。時間は短いけど濃いーし。ハマったら、あっという間に終わる感じ。

一見、最悪なオヤジに見えるけど、どうだろうか。暴力、近親相姦など見ると受け入れられない。とは言え、完全には否定できないところがある。悲しくも、人間としてのリアルさを感じる。人間にはどうしてもこういう一面が少なからずあるのだろうし。

「人にはモラルがあり、正義がある」誰しもにあると思うけど、これがまたひとによって違ってくるから厄介だ。まあこれも一つの多様性だろうから受け入れる方がいいんだろう、きっと。いろんな人がいるのは当たり前。だが、厄介だなー。

ちゃんと覚えてないけど、たぶんこのオヤジも、育ってきた家庭環境が良くなかったこともあるだろう。それからの環境も。あまりおしゃべりでもないし、感情表現も乏しかったような。内側に長年溜め込んであったものが爆発したのか。

やはり、社会の影響もあるんだろう。どこかで歪んでしまった。環境が良ければ、このオヤジは真っ当な人間だったんじゃないのかな。そう思うと悲しいな。全然他人事とは思えない。誰しもこのオヤジの様になる可能性を秘めているよーな気がするよ。

実際、このオヤジはそこまで社会的に大きな事件を起こしてはいないけど。(でも無実の人を残虐に殺害してるし、お腹の中の赤児を殴り殺してる?充分やばいか)一応、最後は踏みとどまった…と言っていいのかどうか…??

近親相姦でも、娘は幸せだったとしたら、相思相愛だとしたら、どうなんだろうか。うーん……分からん、捉え難き。ハッピーエンドなんだろうけど、なんかモヤモヤするというか……。一体、正解は何なんだろう。

どっちみち、その後の未来は厳しそうだと思ってしまうが。それとも、その後幸せに暮らすことになるのか。にしても、愛も多種多様だな。なにがその人にとっての幸せなのか。自分の幸せとは?

自分だったら、あの状況なら、迷わず自殺すると思うけどな。何がオヤジを踏みとどまらせたのか。娘への愛?性欲?何かまだ未練が?憎しみ?怖気づいた?何はともあれ、そこでの「カノン」の美しい旋律に感動しちゃう。

とにかく、この異常親父は近からず遠からず。こんな人は世界にたくさんいるだろう。予備軍も、これ以上のもの達も。なんていう世界だ。でも、その醜さの分だけ、美しさもあることも忘れないようにしよう。

これが私の求めている映画だと思ったわ。
肉塊のように生々しく冷たいのだけれど優しさがあって。
テーマは愛。愛は暴力的なのよ。 アニエス・b.

「注意!感受性を傷つける危険な部分があります」と。

この「カノン」の予告もいいね~!
「それは極限の愛に到達したものだけに聞こえてくる明日への戦慄」



★\(^^)/☆


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