なんでそんなに自分を「かわいい」と思えるんやろう?

「かわいい」は「美しい」と違って、相対評価なのでは。

周りより可愛ければ自信を持てるし、すっぴんより可愛くなれるからメイクをする。「かわいい」を愛でる側も、俺が見てきた中で『一番かわいい』と思うから傾倒する。
もしくは、他の女と違って『俺にとってかわいい』から可愛いと思う。

だからきっと、「かわいい」は無数に存在するし、一人の人間の中にも昨日の自分より「かわいい」が存在する。

私は会社で、自分より20歳以上、年上のおじさまを「かわいい」と思うことがある笑

連休明け一番しんどいけど会社来れた~と嬉しそうに笑うおじさまに、ほんまやほんまや!一番大変なところ頑張った~!と返す私は、間違いなくおじさまを可愛いと思っていた。

連休前に交わしたしょうもない会話からの、連休明けのしょうもない報告、それを微笑ましく可愛いと思える私は、対象を好ましく思っていると同時に、可愛いと思える余裕がある。

きっと忙しくてバタバタしていたら、え?あ、そうですね!となるところ、うんうん、いつも言ってるもんな~と思える余裕があった。
何かを「かわいい」と思うには、愛でる側の『余裕』も必要。

一方で対象を好ましく思っているか否かは、あ、意外と可愛いところあるんだ、というギャップを感じることも多いから、必須ではなさそう。

絶対的な「かわいい」が存在しないからこそ、自分も「かわいい」になれると思う。
だから、誰でも「かわいい」を手に入れられる、と謳うビジネスには要注意だ!!
だってそもそも、『相対評価』やもんね。

だけどそうなると、比較として挙げていた「美しさ」も、時代と共に変わることに気づく。
絶対的な美しさもまた存在せず、基準も移ろぐ。

ただ、「かわいい」と「美しい」では、対象とする範囲は全く異なるのかな。
若い子は「かわいい」も「美しい」も目指すけど、「美しい」の方がハードルが高い。
ブサかわいいという言葉もあるように、美しくなくても可愛いは得られる。おじさんは「かわいい」も「美しい」もあんまり目指さないけど、意図せず「かわいい」と思われていることがある笑

「かわいい」は、定義が曖昧で対象とする範囲が広い、と言えそうだ。

顔が可愛いだけではなく、仕草が可愛い、声が可愛い、反応が可愛い、寝顔が可愛い、などなど、可愛いを狙うチャンスは無限にありそう。

でも、可愛いを狙いすぎて失敗したときに言われるのが「あざとい」だろうか。
この「あざとい」もまた人によって感じ方がまちまちで、チヤホヤしている男をバカだと嘲る場面も多数見受けられるような。
可愛いを目指して失敗した「あざとい」もまた、『あざと可愛い』などと言われることもあり、いやはや難しい笑

あざとさまでも可愛いと言えてしまう「かわいい」は、いったいどこまで許容できるんだろうな。

思いつくまま書いてみたが、とりあえず気を付けるべきは「かわいい」を狙ったビジネスだろう。
『可愛くなれる』という魔法には限りがないから、いくらでも金を落とさせることができる。
逆に言うと、金儲けをするには「かわいい」を狙うのも一つなのかな、すでに飽和してそうだが笑

また、「かわいい」の万能さに甘えて、なんでも「かわいい」で済ませてしまうことにも気を付けたい。
日本語の繊細な表現が失われ、より簡便で汎用性の高い「かわいい」に乗っ取られている危険性を感じる。『ヤバイ』も同類だろうか。

AIによる翻訳技術の進歩が『言語の平準化』に繋がると聞いたことがあるが、よく使われる語彙がさらに進んで使われることで、その偏りはどんどん大きくなってしまう。

愛らしいと「かわいい」では微妙にニュアンスが異なるのに、なんでも「かわいい」という言葉に回収されつつある気がして恐ろしい。
でもきっと、意識して他の表現を探っていけば、思い出せるはず。

私は最近、ノートとペンを使ってアナログに考えをまとめる時間を作っているが、始めの頃は全然出てこなかった『漢字』が割と書けるようになってきた。
PCやスマホがほとんどになったことで、『漢字』を書けなくなりましたよね?
私もほんとに悲惨で、最初はもどかしく思いながら、スマホのメモに打ち込んでみたり、ひらがなでやりすごしていましたが、だいぶ戻ってきましたよ。
思考するには言葉が必要なので、全部ひらがなより漢字を使えた方が情報を省略しつつイメージを付加できて良い気がします。
また、言葉にすることによって失われてしまう情報もあるから、言葉にしすぎない、単純化しすぎないのも大事かなぁと思ったり。
楽しかった旅行の様々な記憶は、色んな出来事があって色んな気づきがあったにも関わらず、究極に省略すると『楽しかった○○旅行』に行きついてしまう笑
ちょっと浮かせて泳がせておいて大丈夫なコトもあるのかも。

「かわいい」を追い求め過ぎず、自分や他人に愛をもって向き合い、「かわいい」に集約されない微妙なニュアンスに目を向けていきたいです。

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