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デザインチームの生産性を向上させるクリエイティブ量産体制の構築 【金沢出張】

こんにちは、RAKSULのデザイナー佐竹です。

早速ですが今回は、現在私が担当しているダンボールワン事業のプロジェクト内で実施した、クリエイティブ量産体制の構築についてお話ししたいと思います。



クリエイティブ量産体制構築の背景


そもそも量産体制の構築が必要になった背景はというと、ダンボールワンのプロジェクト内で、顧客セグメントごとに最適化した訴求を行う施策を実施するにあたり、短期間でのバナー量産が必要になったためです。

具体的には、顧客情報から取扱商品を割り出し「〇〇向け特集」のような取扱商品ごとの訴求をバナーやメルマガを用いて行うことで、今まで購入していなかったアイテムを認知して購入してもらうことが目標のプロジェクトで、法人(10万)用の訴求バナー約200枚の作成が必要に…!

ダンボールワンには金沢オフィスがあり、バナー作成は基本的に金沢デザインチームに依頼するのですが、これまでの作成方法では

❶ backlogでバナーの作成依頼
❷ 金沢デザインチーム3名がバナー1枚1枚をIllustrator / Photoshopで作成(写真素材がない場合はオフィスで撮影)
❸ VPNを繋いで依頼者がファイル1つ1つ確認
❹ 修正依頼…

と、作業時間は多い時で1枚1~2時間ほどかかっていました。

これではデザインチーム3名がかりでもバナー制作だけで2週間以上かかってしまう…
この課題を解決するために、クリエイティブ量産体制の構築に向けて動き出しました。

ミッション

今回のミッションとしては大きく分けて2点ありました。

1. クリエイティブ量産体制の構築
具体的には:一定のクオリティが担保されているバナーを5日間(1日あたりの作業時間約4時間)で約200枚作成できる状態を実現すること
2. 信頼関係の構築
金沢デザインチームへ負担の大きい依頼をするにあたり、不信感に繋がらないような状態を実現すること

実現するためにやったこと

クリエイティブ量産体制の構築はRAKSULでは前例がなかったので、とにかく必要なものは何かとゴールイメージを膨らませ、丁寧に事前準備しました。
また、すぐにサポートできる状態の実現と信頼関係の構築を目的として、実際に金沢オフィスに足を運び、対面でのオンボーディングを実施しました🚅

当日までの事前準備

1:金沢デザインチームへ量産体制の状態ゴールや意図など共有

量産体制の状態ゴールのイメージ共有
・目指す姿となる状態ゴールの共有や意図や背景の説明を丁寧に行うことで「やらされている」ではなく「実現に向けて一緒に取り組む」という意識を持ってもらえる状態に
Figmaへの移行と、移行するメリットや勉強方法の共有

頭出しで共有したnotion

2:ビジネス職メンバーとの要件定義や必要資料の整理

要件定義
・バナーデザインにおける必要情報の確認
・量産体制の構築においていつまでにどんな状態を目指すのかを明確化
スプレットシート調整
・顧客セグメントごとの制作素材などを管理しているスプレッドシートに作業時必要な項目追加(指定カラーや顧客セグメントごとのステータス)

3:金沢デザインチームの作業環境準備と事前オンボーディングの検討

作業環境準備
・Figmaアカウント登録
・フォントインストール案内
・Figma有料アカウント化における社内申請
金沢メンバーのみで行える事前オンボーディングの検討
・事前課題の設定 ※今回金沢メンバーのスケジュール合わず実施なし
・Figmaの基本操作を理解する用にバナー作成課題の検討
・課題バナー作成の参考となる動画や資料をまとめる

事前オンボーディング用に作成したnotion

4:バナーテンプレートの作成

ファイル内のデザイン
・デザインデータの管理方法
 1. FIX用のフレームを作成し、実際に使用されているイメージを元にクオリティチェックできる状態に
 2. 作業スペースとレギュレーションは同じページ内に存在させることで、作業中悩んだ時にすぐレギュレーションを確認できる状態に
 3. メンバー全員を同じページ内で作業してもらう
┗ レイアウトの参考
┗ 作成していく中で行なっている工夫などを他メンバーが真似しやすい状態に
レギュレーションの作成
・バナーのネーミング(共通言語)規定
┗ PMメンバーとエンジニアメンバーに提案しすり合わせ
・バナーデザインテンプレート作成
・ファイル名やレイアウトなどのルール規定
・カラーパレットの準備
┗ カラーごとの背景素材作成
┗ カラーごとのテキストカラーの指定
・格納先ファイルの作成
・作業一連の流れ見える化
┗ 画面キャプチャと合わせて、作業の流れを言語化することで、このファイルを見た誰もが同じクオリティで作成できる状態に
・ビジュアル素材のクオリティライン規定

作成したバナーテンプレート


現地(金沢)でやったこと


1:オンボーディング

【1日目】全体オンボーディング
・一連作業の流れを一緒にやってみる
 1. スプレッドシートの解説
 2. テンプレートファイルの解説
 3. 格納までの流れ
・質疑応答

【2日目】個別オンボーディング(1人あたり45分)
・1日目からの変更点について解説
・1人で1セグメント分のバナー2枚を作成してもらう
┗ 時間の計測:1人あたり1セグメント約30分で作成完了(目標値達成🌟)
・質疑応答

オンボーディング最後に、今日目指してほしい状態を共有。
オンボーディング後も定期的に巡回/声掛けをし計測結果の確認や、つまずいているポイントは無いかなど、丁寧にコミュニケーションを図りました。

【共有した目標と依頼内容】
・1セグメント20分を目標に、2回目作成時の作業時間計測依頼
・16時までに1人で問題なく進められる状態を目標に、それまでの時間でわからないこと全部無くす勢いで質問しまくるよう依頼

オンボーディングイメージ

2:スプレッドシートにおける必要項目追加やカラー調整での認知不可削減など

・認知負荷を下げるためのカラー調整と必要箇所固定
・作成者欄を追加し、担当者を明確化(修正したい時などに誰に質問したらいいかわかる状態に)
・作成完了日欄を追加し、1日あたりの進捗を見える化(今後のスケジュール設定の参考に)
・ステータスとステータスに関する備考欄の追加
┗ 追加ステータス「中断」
 1. 中断の判断タイミング: 10分探しても適切なビジュアル素材が見つからない場合
 2. 中断する際のアクション:スプシ上で中断ステータスへ変更し、別セグメントに着手
 3. 中断後のアクション:私もしくはPMメンバーで素材探しをサポート
・表記指定の依頼
┗ ローマ字表記の指定をBizメンバーに依頼し、表記揺れを防ぐ
・所要時間共有
┗ PMメンバーに実際に作業してみての所要時間を共有し、スケジュール感に対して共通認識を持てる状態に

3:バナーテンプレートにおけるレギュレーションや状態目標の追加

・レギュレーションの追加
┗ 金沢メンバーの質問に答えた内容をレギュレーションとして見える化
 1. 似た形の素材が並ぶ場合のレイアウトについて
 2. セグメント名に()が含まれる場合について
・状態目標を作業者が常に見える場所に追加
 1. 作業時間と作成量について定量的に目標を伝える
 2. 相談のハードルを下げるようなコミュニケーションを意識し、作業者との課題感のズレが起きにくい状態に


やってみてわかったこと

Good

手探り状態で進めたものの、なんとか目標にしていた作業時間を達成。
多い時でバナー1枚1~2時間ほどかかっていた作業時間を約20分に…!

当初掲げていたミッションについては、作成枚数の変更などありつつも、状態の実現を無事達成。
金沢デザインチームのメンバーからも「事前に共有された動画を見ていたので解説を理解しやすかった」「慣れてないFigmaで大量にバナー作成するのすごく不安だったが、オンボーディングのおかげで不安がなくなった」などのお言葉をいただきました!
(金沢デザインチームの皆さんありがとうございました🌸)

More

実際にやってみて気づき、現地で加えた変更点や事前準備で想定できなかったことなどもいくつかありました。

環境準備をより丁寧に行う
 1. OSの確認(デザイナー=Macじゃない)
 2. 使用するソフトはアプリケーション?デスクトップ版?
┗ アプリケーションの場合はダウンロードが必要
 3. 使用するソフトのバージョンは最新か
 4. 使用するツールの正式名称を把握する
┗ 表示設定が変更されている場合に表示方法をスムーズに案内するため

工数が読めない作業(素材探しなど)がある場合の対応を決めておく
 1. スケジュールに影響を与えないように中断するタイミング
 2. 中断する時のアクション
 3. 中断後のアクション

使用したい会議室の環境理解と現地メンバーへの会議室使用の共有
 1. 画面共有できるモニターはあるか
 2. 突然の来客で使用できなくなる、などをなるべく避けられるように現地メンバーに使用したい会議室を共有しておく

また、今回RAKSULで前例のない取り組みをするにあたって、「自分のミスでプロジェクトメンバーや実際に作業していただく金沢デザインチームのみなさんに迷惑はかけられない…!」とプレッシャーを自分自身にかけまくった結果、常に漠然とした不安に駆られているパツパツ状態になっていました。

その際上司から頂いたアドバイス
・やるべきことと優先順位を整理することで不安解消に
・タスクと各進捗状況を全部書き出して現状を把握する
・「〜しなければ!」より「喜ばせたい!」のポジティブなマインドを持つ

少しでも頭でタスク管理している状態になると不安が爆発してキャパオーバーになるので、それを防ぐためにも全て書き出して、常に思考とやるべきことが整理できている状態を目指しました。

とはいえ実際にやってみるまでわからないことはわからないし、そこを不安がってもしょうがないので、それまではとにかく丁寧に準備することが大事だと学びました。

さいごに

今回作成したクリエイティブの量産体制は既に同プロジェクト内で3度の短納期でのバナー量産を実現しています!

とはいえ今回の量産をゴールとはせずに、今回取り入れたFigmaや、より良い開発環境を目指して変化していく文化を浸透させることで、更なる生産性向上を目標として、引き続き取り組んで行けたらと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました🌸



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