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お金を払って時間を買う、という価値観に共感してもらえるか

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質問です。
ある商品が、近所では1,000円で売っています。
ただし、往復1時間かかりますが、隣の街のお店ではセールをしていて500円で買うことができます。
あなたは、隣の街のお店に買いに行きますか?

時給思考

先の例では、1時間かけて500円を得します。つまり、時給は500円です。
500円得するのだから絶対に行くべきという人もいれば、1時間で別のことをするほうがいいから高くても近い店で買ってしまおう、という人もいるでしょう。

時給500円の仕事を仕事をしたいですか?と言われればほとんどの人がNOだと思います。しかしこの質問に対しては、隣の街まで行くという人も結構いるのではないでしょうか。

この話に正解は無いですが、その人の価値観やスタンスが現れてきます。
仕事というものを概念的にとらえれば、時間をお金に換算する作業、ということができます。これは、サラリーマンでも経営者でも同じです。

ですが、なぜこの違いが生まれるかというと、自分の仕事を、「お金を稼ぐ」ものか、それとも「決まったことをやってその対価をもらう」ものか、どちらでとらえているかによる違いによるものかと思っています。

経営者にとっては、時間≒お金

会計事務所の顧客は、ほとんどが経営者や役員などです。そのような方においては労働時間というものは決まっているわけではなく、自分の時間をどのように配分して効率よくお金を産み出せるか、ということを考えるわけです。つまり仕事は、「お金を稼ぐ」というスタンスのものということができます。

そのような人が、先の「時給500円」の行為をするというのは、通常マイナスに作用します。その時間を使って自分の事業を伸ばす、売上を作るといったことに時間を使うほうが有益だからです。

一方で、「決まったことをやってその対価をもらう」スタンスであれば、依頼された仕事量が決まっていれば、それをこなしてしまえば終わりです。時間が余っていてもそれをお金に換えることはできません。ですので、時給500円でも節約するほうが効率的ということになるかと思います。

私の取り扱う品物は「時間」

笑ゥせぇるすまんの名台詞と言えば、これです。

ただのセールスマンじゃ御座いません。
私の取り扱う品物はココロ。
人間の心で御座います。

「笑ゥせぇるすまん」喪黒福造

これを引用すれば、私の取り扱う品物は「時間」です。
そのために、いろいろなツールを活用して楽にバックオフィス業務を処理できる体制を作っていきます。なぜならば経理作業は付加価値を生まない(時給0円の)業務だから、可能な限り圧縮して「時間」を提供することがミッションだと思っているからです。
ただし、「時間」の価値は、人によって大きく異なります。
仕事=「稼ぐ」スタンスの人にとっては、1時間5000円にも、1万円にも、感じてもらえる可能性があります。一方で、「決まったことをやる」スタンスの方には響かないでしょう。

税理士に安さを求めるリスク

「とにかく安い商品がいい」という方も多いと思います。税理士に対しても同様で、経営者で「安い税理士を探している」という方もいます。
ただ、税理士に対して安価なサービスを求めるときは、認識しておいた方がよいリスクがあります。例えば、

  • 自社側で負担する業務が多い

  • 説明がない、聞いても教えてくれないので、自分で調べなければならない

  • 業務効率化のノウハウを提供してくれない

  • 相談したいことがあるのに応じてくれない

  • 従業員の給与が安いので、従業員が定着しない(担当がすぐ変わる)、従業員のレベルが低い、など

などです。いずれも、自分の時間が奪われ、見えないコストが増大する要因となりえます。

では、「丸投げ」できて「なるべく安いところ」を探せばよいじゃないか。という考え方もあります。※一般的に、「丸投げ」とは、記帳代行と呼ばれるサービスです。

記帳代行は、会社側で資料を集めて、税理士事務所に渡して、税理士事務所の職員が入力する、という流れになります。
つまり、いったん数字というデータを、紙やファイルにして、再度データとして打ち込む、という非効率的な作業を行っているわけです。

会社側からすると非効率的な部分が見えないので問題意識が生まれにくいです。しかしこれでは、トータルでの作業時間は変わっていません。非効率的な作業を会社から会計事務所側に転嫁しているだけなので、問題解決になっているとはいいがたいかと思います。

そういうケースでは、会計事務所側で付加価値の低い業務(単純作業)をこなすことになるわけですが、当然、そのスタッフの賃金は安くなってしまいます。言ってしまえば、「誰が損するか」ということを押し付け合っているような状態で、あまり幸せな結果を生まないのではないかと考えています。

「作業」ではなく「ノウハウ」を提供する

ではどうするか。私の考えは、そもそも「生産性の低い作業を可能な限り効率化して減らす」べきであるということです。
サービスの内容は「作業を受託すること」ではなく「ノウハウ」である、と定義しています。

「アウトソーシング」という事業がありますが、その言葉はあまり好きではありません。少なくとも、自分の事業は「アウトソーシング先」であるとは考えていません。

料金を「安い」と感じるか、「高い」と感じるかは価値観

自社の料金設定については、高いとも安いとも思っていません。どう感じるかは相手次第だと思っています。
おそらく、私の事務所よりも安い税理士事務所はたくさんありますので、「高い」と感じる方はそちらを選んでいただいたほうがお互いに幸せになるだろうと思います。

一方で、「今までと比べてかなり楽になった」「本業に集中できるようになった」という声をいただくこともあります。そういう方にとっては、私の事務所の提供する価値を認めていただいて、「安い」(もしくは適正)と感じてもらえているのかな、と思うようにしています。

最後に、ちょっと理想論的な話をして終わりますが、

経営者は自分の時間に「価値がある」と思えなければ、事業を伸ばしていくのは難しいのではないかと思っています。
逆に、それが達成できてくると、自分の時間は価値が高い→自分の存在は価値が高いと思える→自分の人生が価値のあるものだと思える
という、よいスパイラルが生まれてくるんじゃないかな、と思っています。

少なくとも、自分はそう思いたいので、時間の節約になるようなサービスには惜しまずお金を払う様にしていますし、逆に、時間を奪うことに鈍感な方とはなるべく距離を置くようにしています。


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