会計事務所の開業から4か月でやったこと 【後編】
■音声版はこちら
だいぶ空いてしまいましたが、後編となります。
前回は、事業の核となる方針や戦略に関することについて書きました。
(前回のnoteはこちら)
今回は、決まった方針・戦略にもとづいてやった、こまごましたことについて書いていきます。税理士事務所を開業する人には、ケーススタディとして読んでいただければ。一般的な方には、何のことやらの内容だと思います。
会計ソフトの選定
会計ソフトは、freeeとマネーフォワードをメインにすることは決めていました。理由としては、
・データ連携の機能が優秀。入力工数を減らせる。
・データの受け渡しが不要(クラウドなので)
・税理士をつけないで事業を始めている人は、freeeかマネーフォワードを使っている可能性が高い
などです。
弥生などは、簿記や会計を知っている人向けのソフトだと捉えています。その知識がない人にとっては用語やUIが非常にわかりづらいという印象でした。また、いわゆる「税理士事務所向け」(税務とパッケージになっているもの)システムも同様です。
方針として、顧客から基礎データを使って事務所側で打ち込む(記帳代行)というのではなく、そもそも打ち込むという作業を無くす、ということを考えていたので、それと整合するのはクラウド会計だったということが大きい
理由かなと思います。
ただし、クラウド会計のデメリットは、
・初期設定が難しい
・システムの仕様、連携、使い方を理解するのに時間がかかる
・クラウド経由なので操作が遅い
・仕様が時々変わるので、キャッチアップするなどのITリテラシーが必要
などの点があります。
これらをクリアするためには、かなり精緻なマニュアルを作る必要があると考えていました。
また、操作が遅いので、可能な限り、修正や手入力が発生しない仕組みを作るノウハウの蓄積も必要です。そのためにも、特に立ち上げの段階ではfreee、MF専門として、それらで対応できない方は遠慮していくという方針を取りました。
税務ソフトの選定
税務ソフトはかなり悩みました。会計ソフトと一気通貫になっていないので、単独で機能する達人、魔法陣、JDLなどが候補にあがりました。
本命は、freeeやMFのデータをインポートできる達人として、試用を開始。しかし、全然使い方が直観的にわからず、途方に暮れました。
他に選択肢がないものかと思っていたところで、freeeのアドバイザー登録の際に、freee申告パックというものを知りました。
これであればfreeeから一気通貫でできる。ただし、マネーフォワードには対応できない。という点で悩みましたが、将来的にはfreeeも税務ソフトの開発に力を入れていく、という方針と営業担当の方から聞き、であれば将来性に期待してこちらにしてみようということで、freee申告をつかい、マネフォは付属で使えるA-SaaSや、e-taxソフト、PC-deskでなんとか対応していく、ということにしました。
達人は、あくまで連携ではなくエクスポート→インポートでしたし、使い勝手の第一印象もあったのが理由となりました。
現状、この選択は良かったなと思っています。
業務ツール
グループウェア:google workspace
meet、drive、カレンダーなどがパッケージになっておりコスパがよく、それぞれの使い勝手も不満なかったです。
また、スプレッドシートやドキュメントなどもかなり便利です。今後は、エクセルやWordではなく、これらをメインで使って行く体制にしていきたいと思っています。
データベース、マニュアル:Notion
顧客のデータベースをどう作るか、について悩んでいました。
そこで、Notionのデータベース作成の柔軟性の高さが非常に相性が良かったので、これをメインに使って行くことにしました。
また、業務マニュアルなどのストック情報もNotionで一元管理も結構便利です。
業務メモ:Evernote→Notion
しばらくは、業務や面談記録などのメモは、Evernoteを使っていました。Notionはストック情報の整理には向いているが、メモの使い勝手、書き心地はEvernoteのほうが上だな、という印象でした。
しかしながら、コストや一元管理の原則から、業務ツールはなるべく絞るほうがよいと考え、メモもnotionに移行することにしました。
最初は違和感ありましたが、慣れてくるとメモアプリとしても特に気にならなくなってきました。
チャットツール:slack、LINE、messenger、Chatwork
これらは、お客様にあわせてどれでも対応できるようにというところですが、社内コミュニケーションとしてメインで使って行くのはSlackにしていこうと思っています。
お客様がSlackの有料版を使っている場合は、Slackコネクトという機能でかなりシームレスにコミュニケーションをとることができて便利です。
情報収集
いろいろ検討した結果、とりあえず課金しているのは、T&Aマスター、日経新聞(WEB版)、TAINS、丸善リサーチ、です。
ただし、将来的には変更していくかもしれません。使ってみないとわからないということで、とりあえずいろいろ試しています。
HP制作
以前はWordpressで自分でつくっていましたが、事務所の看板、顔、といえるものなので、しっかりお金をかけてちゃんとしたものを作りたいと考えました。
私はデザインに自信がないので、センスがある方にデザインから提案してもらい、とてもスタイリッシュな感じにしていただきました。
また、問い合わせ段階での精度を上げる、という狙いがあったので、事務所の特徴や、お付き合いできない顧客など、できるだけ重要な情報を開示するようにしました。
営業資料や料金表の作成
主な特徴はHPに掲載しますが、実際の細かい業務仕様や料金などは、問い合わせ後の面談などで説明することになりますので、そういった目的の資料も別途作成しました。
税理士業だと、最初にすべてを説明しきることは難しいです。例えば、業務範囲、追加料金などは、あとから見ていただけるようにすることで、認識の齟齬を生まないようにするとか、「言った言わない」みたいな将来的なトラブルを防止できると考えました。
HPとこの営業資料の2つで、必要な情報はおおむね伝達できるようになっています。
SNSアカウントの作成
いまアカウントを持っているのは、facebook、Twitter、note、Instagram、standfm、くらいです。
それぞれ使っていて感じるのは、Instagramしかやっていない人、Twitterしかやっていない人、などがいるなということです。
それぞれアカウントを作って、それなりに動かしていく、というバランス感覚というかアンテナは大切だなと感じています。
税理士賠償保険
加入しました。事前税務相談業務担保特約もつけました。
さいごに
だいたい以上のような感じです。
あとは日々マニュアルを作りながら、更新しながら、やっています。
半年くらいで、だいぶ体制が固まってきたなと感じています。
採用活動にも力を入れていって、次の段階をめざしていきたいなと思っているこの頃です。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?