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会計事務所の開業から4か月でやったこと 【前編】

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あけましておめでとうございます。新年1つめのnoteとなります。
会計事務所を開業し、4か月がたちましたので、独立した直後~数か月、どのようなことを考えて、動いてきたかをメモしてみたいとおもいます。

同じような境遇(税理士独立1年生や、独立準備をしている方)にとっても、参考になればとおもっています。

事業の方向性、他の事務所との差別化

まず最初に、どういう方向性で事務所経営をしていくかを考えました。いわゆる経営戦略です。
自分のキャリアやスキルや興味を踏まえて、
①税務、会計だけでなく、バックオフィス全般を範囲とする
②コミュニケーションの円滑さを武器にする
③経営(事業成長や業績改善)も並行して行う→事務所名に「経営」を入れた
④ベンチャー、中小企業、フリーランスに対する顧問業務に集中。特定の専門知識が求められる領域には踏み込まない(相続、大企業、特定業種など)
⑤ペーパーレス、クラウド化、キャッシュレス
といったあたりのことを決めました。

税理士業は参入障壁もある程度高いですが、医師などのように供給不足というわけではなく、開業すれば自然とお客さんが集まって経営が安定するということはないです。(医師の方、間違ってたらすみません)
ですので、営業を行っていくこと、そのベースとなる差別化要因を設けることは必須です。
自分の経験や、地域の他の事務所の傾向も加味しながら、顧客のニーズが潜在的に存在するであろう、と仮説を立てて設計しました。

①、②、③については、事業の特徴、強み、アピールポイントに関してです。

①税務、会計だけでなく、バックオフィス全般を範囲とする

事務所によっては、給与計算や社会保険は社労士に依頼してください、というところもあります。その他にもバックオフィス分野は、司法書士、弁護士などと細かく分かれていて、正直、顧客目線では不便な構造になっていると感じていました。
独占業務の規制があるのでそこには配慮しつつ、バックオフィスに対してワンストップで解決するというコンセプトを掲げました。

給与計算や社会保険手続きは社会保険労務士が本職ですが、従業員数名程度の労務業務であれば必要となる範囲もそれほど広くなく、多少は実務経験もあったので、勉強しながらやっていけば対処できるかなと考えました。
何より、顧客に喜ばれるサービスを提供したい、ということが一番大きいです。

②コミュニケーションの円滑さを武器にする

税理士や税理士事務所とのコミュニケーションに悩みや不満を持つ方が多いように感じていました。税理士業界の平均年齢の高さも一因だと思いますが、例えば、
・質問しても回答の内容が、専門的な内容が含まれていて理解できない
・返信が遅い
・電話でしか問い合わせできない
・資料は紙でください、と言われる。決算書なども紙でしかもらえない
などです。
とはいえ、決算や確定申告は自分ではできないので、ある程度諦めつつも顧問契約を継続する必要もある、という方が一定数いるのではという仮説です。
コミュニケーションの取りやすさ、というのは相性もあるので契約してみないとわからない要素だと思います。
ただ税理士事務所の経営上、お客様から別の新規のお客様を紹介をいただくことも多いので、実際にサービスを利用している方がコミュニケーションの部分で満足していただくことができればその後につながっていきます。
ですので、ここは武器にするとともに、事務所としてコミットするためにHPにも掲載しています。

③経営(事業成長や業績改善)も並行して行う→事務所名に「経営」を入れた

経営者の方にとっては誤解されやすい気がするのですが、一般的に、税理士は経営に関してアドバイスすることは業務範囲ではないですし、詳しいわけでもないです。
あくまで「税金を正しく計算すること」が仕事であり、経営サポートはそれに付随するものなので本業ではないです。
会計帳簿を「作る」ことは得意ですが、それを「見る・アドバイスする」ことはまた別の能力なんですね。
例えていえば、人間ドックに行ってレントゲンを撮るのは「放射線技師」ですが、それを見て診察、アドバイスするのは「医師」であるように、データを正確に集計する人と、それを活用するノウハウは大きく異なるわけです。

例えば試験科目一つとっても、
税理士試験の中には、「経営」という科目は有りません。公認会計士試験では少しありますが、ファイナンス分野のウェイトも大きく、中小企業の経営支援をしていくという観点に即したものではありません。
ですので、経営サポートをするためには、少なくともそれを行うというコンセプトを掲げつつ、税務、会計とは別の勉強(といっても知識だけでもないですが)をする必要があると思っています。

選択と集中

④、⑤は、ターゲティングに関することです。
経営の定石ですが、強みにリソースを集中することが必要です。

④ベンチャー、中小企業、フリーランスに対する顧問業務に集中。特定の専門知識が求められる領域には踏み込まない

税理士にとって最も市場規模が大きいのが企業の税務顧問であり、特に中小企業だと思われます。
自分の得意、専門領域があればそのスキルを活かしてニッチなニーズを狙う(特定の分野特化型)というのも有効な戦略ですが、私の場合はそうではなかったです。
仮に特定の専門分野があっても地方では市場規模が限られるので、他の分野もやるか、大都市圏に移動するかが必要になったと思われます。

ただ、そもそも私自身の動機として中小企業サポートをしたいというのがあり、大企業向けの高度な税務や、主に富裕層向けとなる相続分野などに興味がなかったので、ちょうどよかったかなと思っています。

⑤ペーパーレス、クラウド化、キャッシュレス

この部分は、一番顧客を絞り込む点になると思っていました。
私の事務所のコンセプトとして、「生産性を高める」ということを付加価値として打ち出しています。そのためにはITの活用が必須となります。
ですので、ITが得意ではない方、さらに言えば、得意でもないし今後学ぼうという気持ちがない方、は、お付き合いすることが難しくなります。

生産性にこだわっている理由としては、顧客にとってそれが最もよいことだという考え方もありますが、加えて、会計事務所側も生産性を上げていかないと生き残れないだろう、という危機感もありました。

税理士事務所業界は、賃金が低い、労働時間が長い、など、ブラック事務所も多いと聞きます。
この要因としては、税理士事務所側の生産性が低いことも理由になっていると考えていました。
例えば、紙で帳簿を受け取って、また一つ一つPCに手入力していく、というのは、付加価値の低い作業の最たる例です。
こういった業務を続けていく限り、税理士事務所側でも付加価値をつけることができず低い賃金しか提供することが難しくなります。

さらに、税理士業界は、丁稚奉公文化とでもいいますか、「資格を取れるまでは修業期間(なので、給料は安くてもいい)」という価値観も残っていると感じます。こういったことも、税理士事務所のブラック化の一因になっています。

話がそれましたが、このコンセプトにより、鶴岡、酒田という近隣地域では顧客をかなり絞り込むというデメリットはあると認識しています。一方で、近年はオンライン会議やクラウドなどの技術がかなり進んだので、リモートでの業務へのハードルがかなり下がっています。

ですので、庄内地域(鶴岡、酒田)での潜在顧客は減っても、遠方の顧客に対応が可能になるので、むしろ対象となる市場は広がるかなとも考えています。
もちろん、顧客側でもITが一定程度使えることが前提ですが、そういった方にとっては、遠方であることのデメリットをほぼ感じることなく、お取引させていただくことができるかなと思っています。

次回に続く

さらに、会計、税務ツールの選定、HPや営業、社内体制などもありますので、いくつかに分けて書いていきたいと思います。

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