プロジェクトを炎上させない心構え
読んでほしい人
SIerなど、システム開発を行うエンジニア
プロジェクトマネジメントの経験が浅い人
炎上案件の経験がある人
要件定義の難しさ
ソフトウェア開発では、作業に着手する前に
避けては通れない関門があります。
それは、要件定義と言われるものです。
どのような機能が欲しいか
どんな使い方をするのか
予算はいくらか
など、顧客の要望を正しくヒアリングし、
どんな形で実現できるのかを提案することです。
要件定義には、
お客様の業務への理解度
システム開発の経験値
コミュニケーション能力
などなど、技術と対人能力に関して高いスキルが要求されます。
何か1つでも欠けてしまうと炎上の可能性が高くなるため、
要件定義には細心の注意を払う必要があります。
今回は、要件定義において注意すべきポイントをご紹介します。
必ず文章を残す
炎上案件では、担当者どうしで別のものをイメージしていた、
言った、言ってないなどの水掛け論になってしまうケースが
多く見られます。これらは、文章をきちんと残しておくことで防げるケースも多いです。
私は、開発着手前に以下の4つの文章を必ず作成するようにしています。
要求仕様書(顧客)
どんな機能が必要か
マシンに必要なスペックは
トラブル時の対応・費用はどうするか
試験手順書(開発側)
納品する前に行うテストの項目
試験環境について
検収要件書(顧客)
納品後のソフトウェアの良し悪しの判断基準(顧客視点)
顧客側で実施するテスト項目
議事録
各打合せでの議題、決定事項、参加者等
特に意識したいのが、検収要件書です。
これが無いと、納品後に顧客は自由に文句を言ってきます。
私は過去に、この取り決めが無くて炎上させた経験があります。
検収要件書がないため、納品後に「イメージと違う、作り直せ。」との要求を受け、落とし所をつけるために、本来の契約期間の2倍の時間がかかりました。
そのため、開発前に顧客に受け入れ基準を作ってもらうことが重要です。
「検収要件書を満たしていれば、納品物として認める」と、あらかじめ受け入れ基準を合意することで、炎上のリスクを下げましょう。
責任範囲を明確にする
顧客はソフトウェアの専門家でないため、できる事とできない事を理解していないことが多いです。そのため、「大きな範囲をまとめて依頼」しようとしてきます。
例えば、
ソフトウェア開発なのに、マシンの選定から保守まで全部やってくれ
納品したソフトとは別のソフトの使い方まで教えてくれ
など
また、実装途中にも「アレを追加してくれ」など要求を小出しにしてくる時があります。これらの要求を鵜呑みにすると、後々自分たちの首を絞めることになります。
できないことは、「できない」と初めに言っておく。
私たちができる範囲はココまでと線引きをする
このように責任範囲を明確にすることが大切です。絶対に生返事をしてはいけません。後から「できませんでした。」は炎上の火種になります。
コミュニケーション量は多すぎる位がちょうど良い
相手とのコミュニケーション量は、取りすぎじゃないかと思うくらいがちょうど良いです。
「きっと~だろう」
「~に違いない」
こういった言葉が出る時は、担当者間のコミュニケーションが不足しています。
何か分からない所や迷うところがあれば必ず確認し、疑問点を放置しないようにしましょう。質問表を作って先方と共有するのも良いでしょう。
私は、顧客に自社のSlackやチャットツールに参加することを勧めています。メールではどうしても連絡が面倒になり、情報共有が荒くなるからです。これだけでも顧客との認識ズレを小さくすることができます。
担当者の入れ替わり時に注意する
仕様書や契約書に書いていない、暗黙の了解と言うのはたくさん存在します。
同じ人と長く仕事をしていると、暗黙の了解はどんどん溜まっていきます。
しかし、担当者の入れ替えなどでによって、それらが一気に火種に変わることがあります。
長く仕事をしているからと言って気を抜かず、議事録など文章で残す習慣をつけましょう。
また、顧客側の担当者が変わった時は、これまでの経緯を丁寧に説明し、相手の疑問を解消してあげましょう。
顧客視点で考える
最も大切なマインドセットは、顧客の視点で考えるということです。
案件が炎上すると、相手が「敵」に見えてしまうこともありますが、
顧客側の担当者も、一人のサラリーマンです。
相手も、上司や取引先など様々な関係者に挟まれています。
プロジェクトが炎上すると、顧客側の担当者も社内で苦しい思いをするのです。
こんな時、顧客側の担当者の「上司」に納得してもらうことが、実は重要だったりします。「担当者が上司に報告しやすいように」と意識するだけで、プロジェクトが円滑に回るようになるのです。
まとめ
炎上を防ぐための魔法はありません。
一番の近道は、基本的な事をおろそかにしないことです。
文章で残す
暗黙の了解をなくす
責任の範囲を明確にする
どれも「めんどくさい」ことですが、地道にやっていくのが大切ですね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?