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僕が一番欲しかったもの

金木犀が香る頃、私はひどく落ち込んでいた。

人生楽しそうだよねと周りから言われる私だって落ち込むことはあるのだ。

春に出会い、離れた人がいた。
夏を、どういう訳か一緒に過ごした。
冬の旅行の計画もした。

なのにそれは突如秋に終わったのだ。
とんでもねえ嵐のような人だ。

友達だったのか、好きな人だったのか
自分でも定かではない。
が、確実に私の日々を彩ってくれていた人。

それと同時に3年目を迎える私のお店。
美容室はコンビニより多いと言われる中で
1人でやっていくには天井が見えていて
今後の在り方を考えていかねばという
プレッシャーに襲われて、もうなにもかも
投げ出したくなって向かった先はLA。

サンタモニカの海風に吹かれながら

私、どうしたいんだっけ。と思ったのだ。

好き勝手生きてきた。人生を楽しんでるという自覚もある。幸せな人生だと言える自信もある。
なのにぽっかりと空いてしまったのだ心に穴が。


"尊敬できる人が好き"

もう遥か昔好きだった人が言った台詞。自慢できることなど特になかった私は仕事もプライベートも頑張って充実させた。ただ尊敬されたかった、その尊敬が愛に変わればと、最初はそんな若くて青くて軽率な思いだったと思う。

なのにその、頑張らなきゃという思いは次第に自分を苦しめていたのかもしれない。頑張らなければ認めてもらえない、愛されない、必要とされない。そんなふうに勝手に決めつけて勝手に疲弊して。

そして、きっと反対にその頑張らなきゃという気持ちを忘れさせてくれる人に恋をしていた。

私の話を聞いて強いね、たくましいね、すごいねなんて言う人ではなくて、あまり聞いてこなかったり、へえそうなんだそれでね、って話を変えてくるような人に。

それは、自分がこれ以上頑張りたくなかったんだなと今になって思う。私の頑張りを見て私に好意を抱いてくれるのは嬉しいけれど、そうしたら私は頑張り続けなきゃなくなってしまう。心の底ではそれを望んでなかったのだ。いいよ、そのままで、そのままの君がいいよなんて軽率に言ってくれる人が私にはちょうど良かった。

結局ずっと、私は私のことを誰よりも認めてあげられてなかったことに気付いたのだ。

まずは自分で自分を愛すことが優先だ。
毎日よくやってるよ、がんばってるよ。
あなたが今まで生きてきた人生は
本当に素敵で間違ってなんかいないよ。
これから幸せを迎えるために生きてきたんだよ。
だから胸を張って堂々と生きていいんだよ。
って自分に伝え続けるしかない。

そう自分に言えるようになって、ようやく人のことも愛せるんだと思う。

ようやく、辿り着いた。なりたい私に。
これからは柔らかく、しなやかに生きる。
そうして、見えた1番欲しいもの。

SNSで見栄を張る煌びやかな生活でも
有り余るお金でも名誉でも地位でもなく

愛だ。

こんなことを真顔で言ったら笑われるだろうか。
何も恋愛だけじゃない。友達も家族も仕事仲間も、私と関わる人との間に愛があると幸せに生きられる。現に今私の周りにいる人たちは愛を持って接したいと思わせてくれる人たちばかりだ。

たっかいレストランも、有名な映えスポットも、世界中の絶景も魅力的で大好きだけど、公園でもサイゼでもゲラゲラ笑える人と一緒に居たいのだ。

できれば数年後は、心から大切だと思える人と
海の見える場所か緑の多い所で暮らしていたい。
朝美味しいコーヒーを淹れて、近くのパン屋さんまでお散歩して、ケラケラ笑って話していたい。
数多くある美容室の中から、私がいいと選んで足を運んでくれるお客さんに喜んでもらえるような仕事がしたいし、大切なお友達とも美味しいご飯を食べに行ったり旅行に行って宝物みたいな思い出をたくさん作りたい。親孝行もたくさんしたい。

振り返ったらもう大体のことは叶っていて、今たくさんの幸せを持ってることにも気付いた。
ひと通り経験したからこそ見えた世界で1番欲しいものは日々のちいさな幸せだったんだから笑っちゃうよな〜。だいぶ遠回りした。でも今まで起きた全ての出来事が私をここに運んでくれたから、ありがとうの気持ちでいっぱいだ。

今年は悩んだことも沢山だったけど、すっっっごく大切なことに気付けた。いい一年だった。
1人で楽しめることは楽しみ尽くした!これからは愛を持って関係を築ける人たちとどこまでも遠くに行けたらいいなと思う。

2024年はゆるく、わくわくしながら生きよう。
みんな、来年もよろしくネ。

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