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『フリー・ウィリー』~親がしなければならないたった一つのこと”I love you because you are just you."~




1.はじめに


~《誰かに伝えたい名セリフ》~

☆『グレン:人生で最高の愛は一つしか持てないという事さ』☆
55:53~56:13

背景:これから大事な人のために愛情と時間とお金に使うと決意し、大好きなクラシックカーを手放したことについてグレンが言ったセリフ


~《皆さんに観せたい美しいキャメラシーン》~

☆月の光が水面を反射して、水槽に落ちたジェシーをウィリーが静かに水上まで運ぶシーン☆
31:11~33:11



2.作品紹介


昔、よくテレビの「日曜洋画劇場」などで放映され、見たことある方やタイトルを聞かれた方がいらっしゃると思います。

この作品は、親に捨てられた少年ジェシーが同じく家族と離れ離れになったシャチとの心の触れ合いを通じて、社会に心を開き、大人に成長する物語です。

特に子供の時に、親が居なかった人、無視され続けた人、干渉され続けた人、虐待を受けて育った人に見ていただきたい作品です。

今、現在生後4ヶ月の子猫を飼っていますが、生まれて間もない頃から親猫から離れて育っています。

その子はいつも、スキンシップを要求して、近寄ってきます。

そして安心なのがわかると少し離れた所で、遊びだします。

その間もちらちらとこちらを見て、保護者の居場所を確認した後、安心だと分かるとまた無邪気に遊び回ります。

生後1年くらいの猫もいるのですが、彼らはそれほど密着しには寄ってはこないものの、いつも2メートル範囲内にはいて、安心を確認しながら横たわったり、毛づくろいをします。

やがてその範囲も広がってきて、自由に行動していくのだと思います。

人間も同じだと思います。

そういう触れ合いがどれだけ大事なのかを教えてくれる作品です。


3.シャチの家族


作品の冒頭シーンはキャメラが美しいシャチを雄大に泳ぐ姿から映し出されところから始まります。

海面に大きな黒いヒレが現れます。

ザバーンという水しぶきに巨大なシャチが中を舞います。

辺りは夕陽一面で、キラキラした波がオレンジ色に光っています。

かもめの鳴き声とともにシャチの群れが泳ぐ楽しそうな声。

そしてキャメラは海中を写します。

シャチの親子はたくさんのクラゲに囲まれて、その巨大な体をくねらせています。

空からは無数のカーテンのような光が海中に差し込んでいます。

そして、そこに双眼鏡をのぞく男たち、隠れていた船が現れ、けたたましいスクリュー音とシャチを追い込む船員の金属音が鳴り響き、1頭のシャチを取り囲みました。

シャチの家族たちは悲鳴をあげます。

そして、家族と引き離され、人間に捕まりました。


4.ジェシーという少年


場面は変わり、主人公の少年ジェシーは、観光地の客を騙し、物乞いをします。

観光客向けのレストランで、客の食べ残しをテーブルから拝借します。

ジェシーは同じ年頃の男の子と一瞬目が合います。

家族に囲まれた彼を羨ましがる気持ちと自分は何なのだろうという哀れな気持ちがありました。

トリュフォー監督の “大人は判ってくれない” のラストシーンのような、ジェシーの不安そうな顔を観客に見せています

ジェシーの母親は6年前にジェシーの目の前から姿を消しました。

彼は捨てられました。

それでも子供というのは親を悪く思わないんですね。

親が自分を捨てたと認めることは、自分が惨めになるから、自分の存在を否定することになるから絶対に認めることができません。

それでも、心の奥底では深く傷ついています。

彼は孤児院で育てられ、脱走を繰り返し、非行に走っていました。

犯罪を繰り返しながら、悪友に囲まれて生活しています。

ある夜、警察に追われたジェシーと仲間は水族館に逃げ込みます。

水族館の観覧席をカラースプレーで落書きして、ジェシーは埋められない空虚さを満たします。

そこで見つけた1頭のシャチに偶然出会います。

その巨大なシャチに見とれてしまい、警察に捕まります。

裁判ののちに少年院に送られるところ、水族館の落書き消しだけで済みました。

ジェシーのことを親身になって世話をする黒人警官のドワイトが迎えにきました。

ドワイト:
「幸運にもお前は裁判を受けずに済む」
「あのペンキを落とすだけでいい」
「それが条件だ。文句があるか?」

ジェシー:「あるよ」

ドワイト:
「なぜパークに入ったんだ? 素直に答えてくれ」
「またここを脱走したら二度と助けんぞ」
「今度は少年課に回され、裁判にかけられる」
「まだ未成年だから、少年院の独房送りだ」
「いいかい、里子に行く話は壊れていない 先方もOKだ」

ジェシー:「だから?」

ドワイト:「つまり、里親はとても子供を欲しがってる」

ジェシー:「どうしよう?」

ドワイト:
「君はまだ幼いし、チャンスだと思うよ」
「でも大きな期待は持つな」
「少しだけだ」
「分かったな?」
「この件に関して何か質問は?」

彼の周りの大人たちはすごく優しいんです。

彼の境遇を分かっていて手助けしたり、里親を提供したりと、ジェシーを救おうとしています。

ジェシー:「ママから何か?」

ドワイト:「まだママのことを?」

ジェシー:「元気でいるのかな」

ドワイト:「この6年、連絡がないんだ」

ジェシーは母親が迎えに来るのをずっと待ち続けています。

母親に捨てられたというのを無意識に持ち続けているジェシーは、社会に対して敵意をもっていました。

自分を捨てた母親をそのまま拡大して、周りの人間をすべて敵とみなしていました。

母親に存在を認めてもらえず、自分に劣等感を持ってしまい、あらゆる人が信用できなくなっていました。

母親が迎えに来てくれるとジェシーは信じています。

そう思わないと、ジェシー自身の存在が消えてしまうからです。

自尊心が空っぽになってしまうからです。

ジェシーの心は危機的な状況です。


5.知らない里親たち


そんなジェシーに里親の応募があり、仮契約でいっしょに住むことになります。

里親と初めての顔合わせです。

アニー:「ハイ、ジェシー」

グレン:「待っていたよ」

グレンはジェシーに手を差し出します。

ジェシーは嫌そうに手を伸ばして握手しました。

グレン:「荷物、運ぼうか?」

ジェシー:「ノー」

ジェシーは強く拒否しました

アニー:「家に入って夕食にでもしましょう」

グレンとドワイトは手続きの書類にサインをします。

グレン:「この子の場合は仮の契約だ」

家に馴染めるかどうか、性格がどうなのか、品定めという感じです。

里親の夫婦、グレンとアニーはとても優しい夫婦です。

アニー:「コンピューターが好き?」

ジェシー:「ノー」

アニー:「教えてあげてもいいわ」

ジェシー:「興味ないよ」

グレン:「おれもだ」

人との関わりを拒絶します。

ジェシーは準備されていた夕食を、野良犬のように食いつきます。

グレン:「君の好きなことは?」

ジェシー:「食事中、話さない事」

グレンとアニーをつっぱねるジェシー。

グレンとアニーはどうしようもないなという感じで顔を見合わせました。


6.感じたことがない暖かさ


ジェシーは自分の部屋に案内されました。

グレン:「君の部屋だよ」

アニー:「ここは眺めが最高」

夕日と海が見える温かな部屋でした。

ベッドの上にはきれいな服と新しいナイキのハイカットのスニーカー、そしてプレゼントが置いてありました。

グレン:
「君への歓迎プレゼントだ」
「あとで開ければいい」

アニー:
「着る物やソックスを少し買い揃えておいたわ」
「ブルーが多いけど、好きな色だと聞いたから」
「着てみて気に入らなければ、取り替えるわ」
「よく来てくれたわ、ジェシー」

グレンとアニーの心遣いに驚き、困惑しました。

どういう態度を取ればいいのか、わからないのですね。

ジェシーにとって、とても温かく最高の環境です。

ジェシーはリュックからハーモニカを取り出し、困惑した気持ちを落ち着かせました。

次の日、新しく買ってもらっていた自転車に乗って、水族館にペンキ消しに行きます。

管理人のランドルフを訪ねました。

ランドルフ:「絵描きが戻ってきたな、ようこそ」

そこで、シャチに再会します。

ランドルフ:
「体重は3.5トン」
「アゴは強力で骨をかみ砕く」
「ウィリーに近づくと危険だ」
「ちょっかいは出すなよ」

あの巨大なシャチはウィリーという名前でした。

会場では調教師のレイがアシカショーをしていました。

ジェシーは調教師とアシカの触れ合いを見て、心を和ませます。

ウィリーも会場に移動します。

レイ:「お絵かき坊やね」

ジェシー:「まあね」

レイ:「観覧室を汚したわ」

ジェシー:「ごめんね」

反抗した目つきで言いました。

レイ:「ウィリーが好き?」

ジェシー:「好きだよ」

レイ:
「ウィリーは人に懐かないわ」
「変わってるの、特別にね」

ジェシー:
「だから?」
「僕もそうさ」

夕方、うめようのない寂しさからハーモニカを吹いています。

そこにグレンがやってきて、キャッチボールに誘います。

グレン:「野球は?」

ジェシー:「野球?」

グレン:
「キャッチボールでもどうだ?」
「中学から使ってるグラブだ」
「ピシッと音を立てて、かっこよく受けたんだ」
「受けやすい形にへこんでるだろ?」
「やろうぜ?」

ジェシー:「看守としての給料は?」

グレン:
「看守?」
「君の監視ですごい給料をもらってるさ」
「君はでかい金脈だ」
「300歳の時、退職金は100万ドル」
「だから協力してくれ」
「まず、君のために規則を作れと言われている」
「だが、俺自身規則破りが得意だからね」
「君はどんな規則がいい?」

ジェシー:「僕に聞くの?」

グレン:「規則に詳しいだろ?」

ジェシー:「知らないよ」

グレン:
「よせよ、少年院で経験してるだろ?」
「言ってくれ」

ジェシー:
「ええと、分かった」
「第1の規則は、毎週お小遣いをくれる事」

グレン:
「5ドルだ」
「次は何?」

ジェシー:「さあね、考えるよ」

グレン:
「毎晩10時までにベッドに入れ」
「朝食の時間には起きろ」
「毎晩7時には家に帰る事」
「だれかに断らずに姿を消すな」
「居所を知りたい」

ジェシー:「分かったよ」


7.寂しいウィリーとジェシーの出会い


次の日、観覧室のペンキ消しをやり終えたジェシーはまたハーモニカを吹きます。

その悲しい寂しい音色に同調するかのように、ウィリーが姿を現しました。

ウィリーは楽しそうな鳴き声でジェシーに寄ってきました。

シャチは水中からも地上の音を聴くことができます。

水中からじっとジェシーを見つめました。

ウィリーは嬉しそうに背面ジャンプをして、歩いているレイに水しぶきをかけました。

それを見たジェシーは見たことのない笑顔で大笑いします。


8.この人たちは安心だろうか?


ジェシー:「人をからかっているみたい」

レイ:
「そうね」
「誰も芸をさせるのは無理だわ」
「頭はいいんだけど、ウィリーは乱暴よ」

レイ:「好きなの?」

ジェシー:「うん」

レイ:「よかった、手伝って欲しいの」

ジェシーはウィリーのえさの準備を手伝います。

レイ:
「これは傷物、見て、これはいい魚よ」
「悪い魚、いい魚、悪い魚」
「毎日こうしてウィリー用に仕分けるの」

ジェシー:
「ウィリーは海の殺し屋?」
「僕らを殺す?」

レイ:
「いいえ、シャチのエサは主に魚よ」
「時々イルカも食べるわ」
「それに鳥とか、サメもね」
「一番の好物はサケよ」
「人間にとってのチョコと同じ」

ジェシーは夜、家を抜け出しウィリーのところに行きます。

足を滑らせ頭を打ったジェシーは気絶したまま、水中に落ちてしまいます。

沈むジェシーをウィリーが鼻で担ぎ上げて、プールサイドまで運びました。

月の光が反射した水に揺らめき、そっとジェシーを運ぶ、静かで神秘的なシーンです。

飲み込んだ海水を吐き出して、意識を取り戻したジェシー。

ジェシー:「命の恩人だよ」

ランドルフの家で体を温めます。

ランドルフ:「助かったのは特別の理由だ」

ジェシー:「何なの?」

ランドルフ:「君の血筋のせいか、先祖に偉人がいたとか」

ジェシー:「まさか」

ランドルフ:「ただ幸運な少年というだけか」

ジェシー:「ウィリーと僕はお互いを認め合ってる」

ランドルフ:「なるほど、だから助けた?」

ジェシー:「なぜ、みんなウィリーを怖がるの?」

ランドルフ:
「やつは人間嫌いだ」
「君はなぜそばへ?」

ジェシー:
「別れを言いに」
「仕事も終わるし、別れたくないけど」
ランドルフ:「ウィリーの目を見た?」
「あの目が星を発見した」
「人間が地球に現れる前にね」
「魂ものぞける目だ」
「ウィリーはレイや俺を見ない」
「だが君を見てる」

周りから見て、不安で攻撃的で怯えてるものは異質で怖いものなんですね。

いつのまにか壁ができてしまう。

そうなってはお互いに心を通わせることができません。

ジェシーは不安ながらもグレン、アニー、ランドルフ、レイと距離を少しずつ縮めてお互いのことが少し分かりました。

そうやって段々と防御の構えを下ろしていくんですね。

家に着いた時、グレンとアニーは心配して起きていました。

アニー:
「どこにいたの?」
「びしょ濡れね」

ジェシー:「働いてた」

グレン:「夜遅く家を抜け出しペンキ消しか、信じられん」

ジェシー:「ヘマして水槽に落ちたんだ」

アニー:「シャチの水槽に?」

グレン:「何の事かだれか説明してくれないか?」

ランドルフ:
「ランドルフです。パークでジェシーの監督をしてます」
「いろいろ手伝ってよくやってます」
「だから夏の間、この子に働いてもらいたい」
「バイト代も少し払います」
「どうです?」

ジェシー:「僕も働きたいよ」

グレン:「好きな物でも見つけた?」

アニー:「昼間だけよ、夜は抜け出さないで」

ジェシー:「いいよ、約束する」

グレン:
「これから正直に言えよ」
「私達にじかに頼むんだ」
「遅いから息子はすぐ寝ろ、家に入って」

ジェシー:「息子じゃない」

グレン:「分かってる」


9.自分の居場所はどこだろう?


朝、水族館に行くとウィリーが網で動けなくされて無理やり検査をされていました。

不安そうに鳴くウィリーはジェシーの姿を悲しそうに見つめていました。

ジェシーはこっそりとロープを解き、網からウィリーを救い出しました。

ランドルフ:「見てたぞ」

ジェシー:「だから?」

ランドルフ:
「いいんだ」
「ウィリーは喜んでる」

ジェシーは魚市場に行き、ウィリーのために魚をもらいに来ました。

ジェシーが誰かのために、行動するのは初めてのことではないでしょうか。

そこで悪友ペリーと会います。

ペリー:
「ジェシー、どうした? 新しい服で仕事か?」

ジェシー:「他の人と」

ペリー:
「よかった」
「警察に捕まったのに...」

ジェシー:
「罰はペンキ消しだけさ」
「今は働いてる」

ペリー:「俺は手配中?」

ジェシー:「いいや」

ペリー:
「よかった」
「お前だけ捕まって悪かったな」

ジェシー:「いいんだ、君はどこにいる?」

ペリー:
「デートンの下で仕事だ」
「警察を見張るとか」
「世話してやるぜ、お前さえよけりゃ」
「考えておくよ」

ペリー:「チャンスだぞ」

ジェシー:「それじゃあまた、戻らないと」


10.距離を縮めて


ジェシーはウィリーに魚をあげて、恐る恐るウィリーの鼻を撫でました。

ジェシー:
「ゴムみたいだ。皮がむけてる」
「でも美しい動物だね」
「じゃあ、ウィリー、もう行かないと...」
「残った魚はまた後にしよう」

ジェシーは最初、ウィリーに噛まれるかもしれないと考えていました。

実際には、ウィリーはジェシーに体を触ることを許しました。

その感触はゴムのように柔らかいものでした。

触れ合いとはこの誤解を解くためにするものだとこの作品は教えてくれます。

去っていくジェシーにウィリーは静かに付いていきます。

「ジェシー:いっしょに行きたい?」

ウィリーはお腹を見せてヒレを高く空に上げました。

ジェシー:
「僕もできる」
「もう一方のヒレでもやれるかい? できる?」

ウィリーはジェシーを見つめて、反対のヒレを高く上げました。

ジェシー:
「振れるかい?」
「ダンスは踊れるかい?」

通りかかったランドルフとレイはその光景を見ていました。

ジェシー:「回れるかい? 目が回る」

レイ:「エサをやれる?」

ジェシー:「やれるよ。簡単だ」

レイ:
「海ではシャチたちは家族で暮らしてるの」
「生涯、母親から離れずにね」

ジェシー:「絶対に?」

レイ:
「一つの社会を作ってるわ」
「50頭くらいが群れをなして、生涯一緒のことも...」

ジェシー:「海で見た?」

レイ:「父は海軍で音波探知機で研究したの、わたしも一緒に」

ジェシー:「ここでも研究を?」

レイ:
「ここじゃ調教師だけど、海へ出たいの」
「海洋生物学の学位も取るわ」

ジェシー:「あなたがいなくなったら、ウィリーはどうなる?」

レイ:「チャーリーはまだ大学生だから...」

ジェシー:「チャーリー?」

レイ:「彼氏よ」
「彼女はいる?」

ジェシー:「いると思う?」

レイ:「聞いただけ」

ジェシーは自分以外の人とコミュニケーションをとり始めます。

人が関心を示している事

将来の夢

現在の状況

何を思って生きているのか

こうして人はお互いのことを知って親しくなります。

他人を身近に感じ始めます。

ジェシーはレイに調教のやり方を教えてもらいました。

ジェシーは愛情の受け取り方がわかったのだと思います。

ジェシーはランドルフに一冊の本を渡されます。

ジェシー:「何なの?」

ランドルフ:
「君に教えたくてね」
「それは父からもらった、”ハイダ”だ」
「わたしの部族だよ」

ランドルフはネイティブ・インディアン出身なんですね。

彼もある意味マイノリティの民族でアメリカ社会の中では弾かれ者なんですね。

この作品ではこのように個と共同体とは何かと教えてくれます。

ランドルフ:
「300年前、水には魚が満ちていた」
「だから食料集めは週1日だ」
「十分に食えた」

ジェシー:「仕事は何をしたの?」

ランドルフ:「トーテム彫りや音楽を作ったり、赤ん坊を育てたり」

ジェシー:「素敵だね」

ランドルフ:
「”スカーナ” シャチのことだ」
「大昔、ナチクラネーというハイダ族の男がいた」
「戦士たちと魚をとりに出かけ、彼だけ道に迷った」
「道を探すうち激しい嵐になった」
「ナチクラネーは避難する場所がなかった」
「カワウソが彼を安全な水底に連れて行った」
「嵐の後、ナチクラネーはまた仲間を捜したが、丸太を見つけただけだ」
「彼は丸太に偉大動物を彫り、海へ運ぼうとした」
「だが海ではなく池を見つけた」
「その彫刻は水底に消えてしまった」
「ナチクラネーは座って待ち続けた」
「知らない祈りを唱えながら...”サラナ・エイヨ・エイシス”」

ジェシー:「”サラナ・エイヨ・エイシス”」

つぎにシーンが変わり、ジェシーは物語の感動をアニーに伝えました。

ジェシー:
「祈り続けたの」
「気味の悪い言葉でね」
「初めて聞いたんだ」
「やがて奇妙な事に水が吹き出し始め、すごい事が始まったんだ」
「まず彫刻が飛び出してきた」
「だと思ったら、本物のシャチだ」
「シャチは海まで飛んでいった」
「ナチクラネーはシャチを追って海岸へ行き、シャチに乗って家へ帰った」
「どう?」

アニー:「素敵よ」
「これは何?」

アニーはジェシーが手にもっていたものを指さします

ジェシー:
「ウィリーと同じシャチだ」
「インディアンの古い彫刻さ」
アニー:
「すばらしいわ」
「さあ、もう眠るのよ。いい夢を見て」

ジェシーはアニーとも打ち解け始めました。

感動を人に伝えることで、愛情を与えることができるようになったのだと思います。

こうやって人と人は距離が近くなって行くんですね。


11.僕に必要なものは何か?


ある夜、ウィリーは海に向かって鳴いていました。

ジェシー:「どうした? なぜ悲しい声を出す?」

近くに海まで来ていた家族に向かって鳴いていたんですね。

ジェシーは家族がいないウィリーの気持ちが誰よりも強くわかります。

ジェシーはいつも自転車で移動しているんですが、その小さな自転車の乗り方でジェシーの心が分かるんですね。

丘を降り駆け抜け水族館へ颯爽と乗って行きます。

誰かと結びつきたいという気持ちの強さや性急さ、彼の幼さが痛いほど分かります。

とても映画らしいです。

ジェシーはグレンが働いている自動車の修理工場へ弁当を届けます。

グレンの机にアニーの写真と付け加えられた自分の写真を見つめます。

悪い気はしていないようでした。

クラシックカーの写真を見て興味を示します。

ジェシー:「わあ、かっこいい車だ。すごいな」

グレン:「気に入った?」

クラシックだ、一番愛してた

1年半かかってオリジナル通りに復元した

だが手放した

ジェシー:「なぜ?」

グレン:「人生で最高の愛は一つしか持てないという事さ」

お金も時間もいちばん大切な事に使うと決心したということでしょうか

ジェシー:「あなたとアニーは喧嘩する?」

グレン:
「するよ。大体1ヶ月おきにやってるね」
「なぜ?」

ジェシー:「聞いただけ」

もしかすると、ジェシーは幼い頃に両親が喧嘩していたのが怖かったのかもしれません。

コンピューターにもキャッチボールにも興味を示さなかったジェシーが勇気を持って自分からコミュニケーションをとりはじめている所に感動を覚えます。

ジェシー:「おや、これは?」

グレン:「俺と母親だ。大昔だよ。君の年頃だ」

ジェシー:「お母さんはどこ?」

グレン:「実はもう死んだ、2年前にね」

ジェシー:「僕のママは迎えに来る」

グレン:「本当?」

ジェシー:「もうじきだ」

グレン:「それは変だな。話が違うな」

ジェシー:「僕を信じない?」

グレン:「そうじゃない。ただ俺の聞いた話じゃ...」

ジェシー:「お役人はたちは何も知らないよ」

ジェシーを哀れに思ったグレンはジェシーの頭を撫でようとしますが、ジェシーは拒否しました。

ジェシー:「ママは今、都合が悪いけどきっと迎えに来る」

それほど子供と母親の結びつきは強いことがわかります。

どんな母親であれ、子供にとって母親は自分が住む世界のようなものです。

受け入れられて当然だと本能的に誰しも思うのです。

いい解釈しかできません。

でないと自分の存在が否定されてしまいます。


12.本心を打ち明ける


ジェシーをめぐり、アニーとグレンは口論を始めます。

アニー:「あの子は?」

グレン:「いない」

アニー:「パークに? もう11時過ぎだわ」

グレン:
「分かってる!」
「...すまない」

そこにジェシーが帰ってきました。

アニー:「ジェシー、どこへ行っていたの?」

グレン:
「どういう事だ?」
「我々に断りなしに出かけるとは」

ジェシー:「僕を追い出せばいい、ここにはしばらく泊まってるだけさ」

ジェシーは2階の自室へ行ってしまいました。

グレン:
「あれは何だ?」
「やっと心が通じてまともになってきて、会話も交わせると思ったら...」

アニー:「何かおびえてるのよ」

グレン:「追い出したい」

アニー:「そんな事言わないで!」

グレン:「なぜ怒る?」

アニー:「あの子をどなるのはよくないわ」

グレン:「腹が立つ!」

アニー:「なぜか分かる?」

グレン:「なぜだ?」

アニー:「あの子を見ると自分の少年時代を思い出すから」

グレン:
「努力はした。できるだけの事はしたんだ」
「これは慈善か?」

アニー:
「そんなんじゃないわ」
「これは人間の問題よ」

グレン:「お前と二人きりで幸せだ」

ジェシーは2階から二人の会話を聞いていました。

ジェシーは二人からのプレゼントに添えてあった手紙を読みます。

手紙:「ジェシーへ 我が家へようこそ アニーとグレンより」

ジェシーはプレゼントの新しい野球のボールを手に取り、窓の外へ投げました。

ジェシーは自分がお荷物であるという事に傷つきました。

母親にも、グレンにも...。

それは自分が一番認めたくないことでした。

グレンもまた、ジェシーを家に迎え入れることの心の準備が足りなかったのだと思います。

仕事で疲れ、集中が足りなかったのもあると思います。

孤児院には愛情に飢えた子たちがたくさんいます。

彼らは引き取ってくれてありがとうという気持ちでは決してないのです。

守られて居心地のいい環境から何が起こるか分からない見知らぬ建物、見知らぬ人の所へ連れ出されることですから。

彼らを決して同情心で迎え入れてはならないのだと思います。

彼らには過去の自分と決別して、ここが安心だと感じるための時間が必要です。

割れた窓ガラスが今のジェシーの心の形のように思えて、胸が痛くなります。

ジェシーは反抗的だったのが一瞬にして消えました。

自分がまた捨てられるのではないかと不安になったんですね。

それほど捨てられた事が残酷に心にずっと突き刺さっています。

彼の心は限界に達していました。

ジェシーはベッドで泣き崩れます。

アニーとグレンが駆けつけます。

アニー:「ジェシー、大丈夫?」

ジェシー:「ただ怖かったんだ」

アニー:「何が怖かった?」

ジェシー:
「わからない」
「喧嘩してたね、怖かった」

グレン:
「大人は時々言い争う」
「でもだれも傷つきはしない」
「アニーもね」
「君もだ」
「分かってくれ」

ジェシー:「分かるよ」

グレン:「贈り物を開けたね」

ジェシー:「ありがとう」

グレン:「外へボールを探しに行こう」

ジェシーの勇気のある所は今の気持ちを正直にアニーとグレンに打ち明けた事です。

いろんな人との触れ合いの中で、相手もまた必死で生きていることを知り、気持ちを知ることができたからだと思います。

アニー、グレン、そしてジェシーが本音を言い合ったからこそ、お互いの距離が縮まったんだと思います。

それからグレンとアニーは粘り強くジェシーを見守ります。

今まで盗みをしていたジェシーは初めてウィリーのために、好物のサーモンを自分のお小遣いで買います。

自分以外の誰かのために、愛を貰えなかったジェシーが、今度は愛を与える側になります。

当たり前にもらえるはずの親の愛をもらえなかったジェシーが、愛に飢えて、周りを敵にしてきたジェシーが、今度は愛を与える側にまで成長しました。


13.それぞれの居場所


咥えタバコでペリーが現れます。

デートンといっしょにロサンゼルスに仕事を移るのでいっしょに行かないかと誘われます。

ペリー:
「さてと、おさらばだ」
「ロスへ行くんだ」
「デートンと俺は仕事仲間さ」
「お前も歓迎だ」

ジェシーはウィリーを見つめながら、

ジェシー:「ペリー、今は無理だ」

ペリー:
「よせよ、これは本格的な仕事だ」
「もうかるぞ」
「いいよ、好きにしな」
「これだ。向こうの住所だ、決心がついたらそこへ」

ジェシー:「分かった、さよなら」

キャメラはペリーの後ろ姿を写しました。

彼の将来を心配するようでした。

ジェシーはウィリーに話しかけます。

ジェシー:
「ヘイ、ウィリー、寂しい?」
「僕のママは困るよ」
「子供を放りっぱなしだからね」
「幼い頃別れたきりさ」
「今でもママが恋しいんだ」
「里親のグレンとアニーはいい人だよ」
「でも、なかなか慣れないんだ」
「波長が合わない、無理なんだよ」
「ホントだ、分かるかい?」
「お前も家族が恋しいか?」
「家族と会えるといいね」
「愛してるよ」

ジェシーはウィリーに芸を習わせ、水槽を大きくしてもらい待遇をよくしてもらおうと努力します。

ウィリーはジェシーに懐き、たくさん芸をするようになります。

しかし、人に慣れていないウィリーは大勢観客がいる本番のショーでは全く芸をしませんでした。

ウィリーは怯えていました。

水中をのぞく大勢の観客が観覧室のドアを叩きます。

まるでジェシーから見た外界と同じものです

ジェシーはとても落ち込みました。

自分の失敗だと思い、何もかも自暴自棄になります。

何をやっても自分には無理だと思ってしまいます。

レイ:「おびえたのよ」

ジェシー:「いいや」

レイ:「あなたのせいじゃないわ」

皆の大きな期待に答えられずに、もともと自尊心が少ないため自己否定してしまい、どうしてもそこから逃げ出したくなるんですね。

やけになっている所にグレン、アニー、ドワイトが慰めます。

ジェシーはゴミ箱を蹴ります。

ドワイト:「ジェシー、もっと蹴れ」

アニー:「ジェシー、あなたはとても勇敢だったわ、あんな大きな動物を扱って」

グレン:
「あのシャチは芸が嫌いなんだ、君はよくやった」
「やれる事は全部やってみたんだ」

アニー:「自慢できるわ」
「あんな大勢の前ではみんなアガるのよ」

ドワイト:
「どうした?」
「失敗は...」

ジェシー:「全部ぶち壊した」

ドワイト:「運がないと?」

ジェシー:「いつも同じだ」

ドワイト:「里親とはいい感じじゃないか」

ジェシー:
「見た目だけさ、うんざりだ!」
「ママを捜しに行く」

ドワイト:「また路上で暮らすのか?」

ジェシー:「ママを捜すんだ」

ドワイト:
「そうか」
「州警察もFBIも捜せないんだ」

ジェシー:「僕が捜すよ」

ドワイト:
「分からず屋め」
「大人になれ、ママは戻らない」
「捨てられた日のことは?」
「もう忘れたのか?」
「ママは車で走り去った、振り返らず、バックミラーも見ずにね」
「母親と言えるか?」
「あの2人は友達になる気だ」
「ママよりもましだ、友達は役に立つ」
「もし一人で飛び出せば、結局ろくな事にはならん」
「分かった?」

ジェシー:「ほっといてくれ」

アニー:「ウィリーのことは残念ね」

ジェシー:「僕もだ」

アニー:
「でもね、動物は意外なこともするし、よく悪さもするわ」
「人間と同じよ」
「だから、許せるんじゃない? そうでしょ?」

ジェシーの枕元にはグレンがくれたボールとペリーの残したロサンゼルスの住所が書いたハガキが置いてありました。

ジェシーはどっちを取るだろうかという感じのシーンです。

運命の分かれ道が映像によって表現されています。

ジェシーはロサンゼルスのペリーの所へ行こうと決意し、夜に家を飛び出しました。


14.大切なもの


ジェシーはウィリーに別れを告げに夜の水族館に来ました。

ウィリーはジェシーに遊んでくれと言うように浮き輪を口に加え、近寄ります。

ジェシー:「何の用だ? 向こうへ行け、離れろ」

ジェシーは浮き輪を遠くに投げて、ウィリーを遠ざけようとしました。

ウィリーは浮き輪を取ってきて、また遊んでとジェシーに近づきました。

月の光にゆらゆらと照らされた美しい静かなシーンです。

ジェシー:
「僕と遊びたいのか?」
「今日はどうした? すっかり突っ張ってさ」

ウィリーは水しぶきをジェシーにかけます。そんなこと言うなよと言うように...。

ジェシー:
「やめるんだ、よせ!」
「もう、バイバイだ」
「この笛は二度と使わない」

ウィリーは悲しい声をあげました。

ジェシー:
「もうやめてくれ」
「旅に出る、カリフォルニアへ、楽しくやれよ」

ウィリーは海に向かって悲しく泣き始めました。

ジェシーは高台に登って、海の方を見るとそこにはウィリーの家族の姿がありました。

ジェシーは何を感じたのでしょう。

家族の暖かさを感じかけていたジェシーはアニーたちが恋しくなったのではないかと思います。

このあと、保険金目当てのために水族館の経営者に殺されかけるウィリーを救うために水族館から入江までの脱走劇がはじまります。

ウィリーを運搬中にトレーラーがぬかるみに足を取られ動かなくなります。

ランドルフ:「押しても引いても動かない、お手上げだよ」

レイ:「助けがいるわ」

ランドルフとジェシーは万策尽きて諦めかけます。

ウィリーは干上がって瀕死の状態です。

ジェシーは初めてグレンに頼みます。

車内の無線で心から呼びかけます。

ジェシー:
「グレン? アニー?」
「いますか? おじさん?」

グレン:「ジェシーか?」

グレンとアニーはすぐに駆けつけました。

アニー:「ジェシー、無事なの?」

ジェシー:「大丈夫」

グレン:
「何があった?」
「俺のトラックでシャチを?」

ジェシー:「殺される」

アニー:「シャチが?」

ジェシー:
「だから海へ逃がす」
「おじさん、助けて! 助けてくれたら何でもする」

グレン:「何してくれるんだ?」

ジェシー:
「それがよく分からないけど」
「でもね、どうしてもウィリーを助けたい」
「分かる? お願いだよ 助けてくれない?」
「殺したくない」

攻撃的で周りを敵だと見なしていたジェシーが、自分のためではなく友人のために、グレンに必死で頼み込みます。

このグレンを演じているマイケル・マドセンはジェームス・ディーンのようなすごく哀愁ある目をしているんですね。

グレン:「座席の裏に鎖とウィンチがある、取ってこい」

ジェシーはグレンに抱きつきました。

ジェシー:「ありがとう」

アニーは涙目で二人を見つめていました。


15.鎖を断ち切る


ウィリーの脱走はジェシーの囚われた心からの脱走でもあるんですね。

自分で囲いをつくってしまった自分の中の檻からの脱出です。

捨てられて自分の存在がなくなってしまって、そんな瀕死の自分を守るため、敵だと錯覚した周りの人間から守るために作った自分の檻を壊そうとしています。

最後の入江を囲っている防波堤のウィリーの大ジャンプこそが、ジェシーにとっての大ジャンプです。

それは簡単なことではありません。

勇気が必要です。

高い高い堤防です。

とても飛び越えれるとは思えないほどです。

跳ね返されそうです。

衝撃で傷つきそうです。

もう立ち直れないかもしれません。

絶望するかもしれません。

でもジェシーは勇気を振り絞りました。

ジェシー:
「さあ、おいで」
「寂しくなるよ、僕のこと忘れないでくれ」
「君のママによろしく」
「愛している、君を信じているよ」
「君ならできる、自由になれる」
「やるんだ、やれ!」
「さあ、君ならやれる、飛び越えられる」
「君を信じてる、きっとできるよ」
「自由になれるんだ、跳ぶんだ」
「たった1回だけやればいいんだ」

レイ:「あの高さを飛べる?」

ランドルフ:「奇跡は起きる...」

ジェシー:「”サラナ・エイヨ・エイシス...”」

ランドルフ:「”サラナ・エイヨ・エイシス...”」

ジェシー:「さようなら」
「寂しいな、またいつか会いたいよ」
「愛してる」

ジェシーはグレンとアニーに心からお礼を言いました。

ジェシー:
「ほんとにありがとう」
「さよなら、ウィリー」

アニー:「帰りましょう」

ジェシー:「うん」

そして、ジェシーも真に安心できる”家”に帰りました。


16.親とはどういうものか


ウィリーはジェシーと同じ境遇でした。

この作品ではジェシーとウィリーは鏡のような存在です。

家族と離れ離れになってしまったウィリーも母親に捨てられたジェシーもお互いの気持ちが分かるようです。

ジェシーはウィリーが悲しく鳴き、人間を敵視するのを見て、自分の姿と重ね合わせます。

自分の今の姿を客観的に見ることができるんですね。

自分とウィリーには何が必要なのか、大事な事は何か、それは触れ合いであり、安全な場所である事を知ります。

海の向こうでウィリーの家族が彼を待っています。

ウィリーは大切に思われている。

自分はどうかと考えれば、母には捨てられたけれど、里親のグレンとアニー、保護員のドワイト、管理人のランドルフ、調教師のレイなど沢山の人達が優しく接してくれているのを知ります。

それで、自分の安全地帯がどこなのか知ることができるんですね。

潰れかけた自尊心がもう一度芽生え、少し自分を好きになって、周りとの交流で他者を理解するようになり、心が変化していきました。

社会の愛を受け入れることができました。

敵としてではなく、一人ひとりの特徴をもった、自我をもった優しい人々だと知りました。

母親の罪は大きいです。

悲しいことに子供はそれがどんな親でも否定することができません。

でも、それを乗り越えないと自分を作り直すことができません。

”フリー”というのは愛してくれない母親への想いからの自由という意味です。

幼少期に子供を孤独にさせることは、暗黒に突き落とすのと同じくらいのことです。

単に側にいないというだけではなく、無関心、過干渉、条件付き愛情などもそうです。

条件のない愛情、そこに存在するだけでいいよという安心感を与えるような愛情でないとだめなのです。

そこに愛情がないと、子供は孤独なのです。

安心できないのです。不安でいっぱいなのです。

自分で身を守ろうとして社会への敵意が生まれます。

皆さんも野良犬や野良猫に近づくと威嚇されたことがあると思います。

彼らは身を守っているだけです。

際限のない不安から周りに威嚇し、強い誰かに迎合し、保護してくれそうな誰かに依存する、叶わないと分かると無気力になる。

自分自身を愛する気持ちが微小か皆無だからです。

自分の心を牢屋に閉じ込めている人は念じてください。

「私は決して悪くない、私は決して悪くない、私は決して悪くない。」

「私も生きていい、私も生きていい、私も生きていい。」

過去の親と決別してください。

かばう必要は全くありません。

当然もらえるはずの愛情を与えなかったんですから。

このことをはっきりと自覚しなければ、これから前には進めません。

そこからが本当のスタートラインです。

自分が恐れていた周りは、自分が怯えから作った幻想です。

勇気を持てば、自分の家は自分でつくり出せます。

所属を変えるということです。

そうやって人はどんどん所属を変えて行って、責任を担う役割を持つようになり、自分のアイデンティティを獲得して、大人に成長していきます。

あなたは自分の子供に対して、そこにいるだけでいいよという安心を与えていますか?

”I love you because you are just you."

そういった愛情を子供に与えることは何十億を与えるより価値のあることです。

いくらお金があっても、自尊心がなければ、自信がなければ、人を愛することができなければ、不幸せに生きていかなければなりません。

フリー・ウィリーは何度も見たくなるような清々しい作品です。

では、次の作品でまたお会いしましょう。

さようなら。

...THE END AND TO BE COUNTED.. 
 


17.関連作品


『フリー・ウィリー2』ドワイト・H・リトル監督

『フリー・ウィリー3』サム・ピルスバリー監督

『フリー・ウィリー4』ウィル・ガイガー監督

『大人は判ってくれない』 フランソワ・トリュフォー監督


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