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20240331 予想外の試練 【福山シティFC】

中国サッカーリーグ第2節
vs NTN岡山
@NTN岡山 畠田総合グラウンド



【はじめに】

春の訪れを感じさせる陽気の中、福山シティFCは今シーズン初のアウェー戦に挑む。

相手のNTN岡山は昨シーズン中国サッカーリーグ(CSL) 9位となったが、インディゴF.C山口との入れ替え戦を制し、CSL残留を果たした。

今シーズンのCSL開幕戦ではSRC広島に1-2で敗れている。

注目は背番号10の石本。SRC戦でも1ゴールを挙げている要警戒のストライカーだ。

昨年の両チームの対戦は福山のホームで9-0、アウェーでは4-0と、ともに福山が勝利している。ちなみに7月30日のホームでの試合はエヴォルヴィンフットボールフィールドの柿落としであった。

福山は大久保と西原を初スタメンに起用し、開幕2連勝を狙う。


【マッチレビュー】

福山はいつも通りの3バックの布陣で、両ウイングバックからのサイド攻撃を中心に、高橋佳へのくさびのパスからの中央突破を組み合わせて得点を狙う。

一方のNTNは状況によって中盤の形は変わるが、基本システムは4-4-1-1。FW石本を中央に、左の7番江口と右の14番山口のスピードとテクニックを生かした鋭いカウンターで対抗する構えだ。

先制点は予想外の形で生まれた。

前半3分、NTNのゴール前でDFのクリアが味方選手に当たり、そのままゴールに吸い込まれオウンゴールとなった。

失点を喫したNTNも反撃に出る。

6分、石本のポストプレーを起点に右サイドへ展開すると、エリア内で再びボールを持った石本からのパスを受けた8番大邊がシュート。GK菊地が弾いたところを石本が詰めるも、ボールはゴール右へ外れた。

さらに11分、NTNゴール前で江口がパスカットすると、そのまま持ち上がる。一旦、右に流れた石本にボールを預けエリア内でリターンを受けようとするが、わずかに合わず菊地がキャッチ。

ここから、高橋佳を中心に再びアウェーチームが流れを取り戻した。

13分、左サイドで高橋佳が相手ボールを奪取。ドリブルで運び、右足に持ち替えてクロス。フリーの徳永がワントラップして角度のないところから狙うが、シュートはゴールを捉えきれず。

19分には、相手のスローインから藤井がボールを奪い、前線の高橋佳へ。高橋佳はDFを背負いながら徳永へパス。徳永が切り返して1人かわしてシュートを放つも、相手DFがスライディングで体に当てた。

歓喜の瞬間は31分に訪れる。

左サイドで西原、藤井とつないできたボールを若宮がクロス。これを徳永が頭で合わせて追加点。

徳永・エドワード・椋太が公式戦4試合連続ゴールと絶好調を維持している。

その後、高橋佳や徳永にチャンスは訪れるものの、そのまま2-0で前半終了。

さらに攻勢を強めるため、ミステルは後半から若宮に代えて高橋大を投入した。

これがさっそく交代が功を奏した。

47分、高橋大が中央に上げたクロスのこぼれ球を大久保が押し込んで追加点かと思われたが、これはオフサイドの判定。

60分には、大久保のパスを受けた高橋大がドリブルから左クロスを入れ、高橋佳が飛び込むも枠内にシュートを飛ばすことはできなかった。

3点目も時間の問題かと思われたが、ここでホームチームが意地を見せる。

64分、NTN 江口のFKをDFがクリアしきれず、3番黒瀬に蹴り込まれてしまう。

1点を返されてしまった福山は73分、CKの流れから西原が左サイドのタッチライン際でボールを持つと、次々と3人のDFをかわし中央の高橋佳へ。エースストライカーが左足トラップから反転して楽々とゴールを決めた。

初出場の西原はここまで左足からの正確なパスを披露していたが、さらにこの3人抜きドリブルで完全にサポーターの心をつかんだ。

3点目のゴールによる興奮の余韻が会場に残る77分、この試合最大の「予想外」が起こる。

黒宮がカウンターで抜け出した9番貞森をゴール前で倒してファール。これがDOGSOと判定され、一発レッド。

DOGSOの4要件を満たしているかどうか微妙に思えたが、残り10分以上を1人少ない状況で戦うことになった。

福山ベンチは、藤井を最終ラインを下げて一旦凌ぐと、田路を角田に代えて投入し、藤井をボランチに戻し、野浜とコンビを組ませた。

3-4-1-1でディフェンスを安定させつつ、高橋大と徳永のポジショニングを高くすることによって攻撃的にもいける布陣に。

すると後半アディショナルタイム、吉井がボールを奪い高橋大へつなぐと、そのままドリブルから左足で絶妙なクロス。これを高橋佳が右足トラップから左足シュート。試合を決定づける4点目となった。

試合は4-1で福山が見事に勝利し、CSL開幕2連勝を飾った。

新戦力の西原が攻守に活躍したことで、CBの選手層がさらに厚みを増した。

そして10人になってからは、選手一人ひとりがギアを一段上げて、逆に相手を押し込む展開となった。不遜な言い方になるが、1人少なくてもなお福山のほうが強かった。

チーム全体の力を結集して「予想外」を乗り越えた。


【採点・寸評】

GK 1 / 菊地 大輝 10.0
前半6分のピンチを抜群の反応で防ぐと、その後も安定したプレー。後半には相手のプレスをかわして正確なロングパスを送る場面も。

MF 30 / 澤田 健太 10.0     MIP
右CBとして攻守に躍動。特に退場者が出たあとはボールを奪い、そのままドリブルで持ち上がるなどさらにギアを上げた。

DF 16 / 黒宮 渉 10.0
退場に本人は反省しきりだろうが、それまでの素晴らしいプレーは賞賛に値する。NTNの石本とのバトルは見ごたえがあった。

DF 5 / 西原 広太 10.0     MOM
貴重な左利きのCBがついにお目見え。逆サイドへワンステップでロングパスを通すなど圧巻のプレーでサポーターの心をつかんだ。

DF 3 / 徳永 椋太 10.0
この日も1ゴールを記録。自陣最終ラインから相手ディフェンスラインの裏まで走り回る豊富なスタミナを披露し、フル出場を果たした。

MF 17 / 角田 薫平 (84分OUT) 10.0
リズムを変えるパスを繰り出し、中盤のコンダクターとして攻撃を組み立てた。鋭い出足で相手ボールを刈り取る場面も。

MF 7 / 藤井 敦仁 10.0
難しいゲーム展開になっても、キャプテンとして周囲とコミュニケーションをとりながら適切に対応した。頼もしさが増している。

MF 28 / 若宮 健人 (45分OUT) 10.0
左のアウトサイドで攻撃の起点となった。前半のみの出場となったが、徳永のゴールを絶妙なクロスでアシストして結果を残した。

MF 8 / 塚田 裕介 (77分OUT) 10.0
CKでファーサイドに高い選手を配置し、そこから折り返す形で何度かチャンスを作ったが、それは彼の左足の精度があってこそ。

FW 29 / 大久保 龍一 (88分OUT) 10.0
若宮や高橋大を生かすパスを送り、自らはゴールを狙ってエリア内へ侵入した。セットプレーのターゲットにもなった。

FW 9 / 高橋 佳 10.0
このストライカー1人いるだけで得点の期待が高まる。ハードルが上がりすぎて単に2ゴールしたくらいではMOMには選ばれない。

交代出場
MF 11 / 高橋 大樹 (45分IN) 10.0
大久保や西原とともに左サイドを制圧し、ドリブルやクロスで違いを見せた。ダメ押しの4点目をアシスト。

MF 26 / 野浜 友哉 (77分IN) 10.0
シャドーで出場したものの、ピッチに入ってすぐに黒宮の退場により一列ポジションを下げるという難しい役回りをこなした。

MF 4 / 田路 耀介 (84分IN) 10.0
広島ユナイテッド戦と同様にスクランブルでの出場となったが、問題なくゲームを締めくくった。まさに困ったときの田路。

FW 23 / 吉井 佑将 (88分IN) 10.0
独特のリズムのドリブルで相手DFをかわしていった。高橋佳との連携を高めていけば、破壊力抜群の攻撃陣が完成するはずだ。

監督
森 亮太 10.0
初スタメンの選手を使いながら勝利をつかんだ。黒宮退場後は田路を入れて守備を安定させつつ、吉井の投入で追加点をゲット。


【おわりに】

黒宮の退場について現時点での状況をクラブのHPに掲載している。

今後の展開も随時発信があるはずだ。

この試合でCSLは一旦中断。来週から天皇杯の広島県代表決定戦が始まる。

昨年、SRC広島に奪われた代表の座を奪い返しにいく。

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