弱さを知るおじさん

読んだ本とか生きてて感じたこととか。

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頑張っても人生はなるようにしかならないけど、頑張らなくても人生はなるようになる。

人生はなるようにしかならない。 夢に向かって一生懸命に日々を生きる人にとって、その言葉は悲観的に感じられる。 反対に言えば、人生はなるようになる。 たとえ頑張ることを放棄してしまっても、人生とはなるようになってしまうものだ。 人生の終着地点は、「なるよう」で決まっている。 頑張る道を選んでも、頑張らない道を選んでも、たどり着くのは結局「なるよう」だ。 頑張る人にとって、「なるよう」にたどり着くことは屈辱だ。 なんだ。こんなに頑張ってきたのに、「なるよう」にしかな

    • 仲間、青春、疾走感。いや、人を殺めてはいるんだけどさ。〜「推しの殺人」を読みました〜

      遠藤かたるさんの「推しの殺人」を読んだ。 殺人という繋がりで、主人公たちの絆が固く結ばれていく様がなんだか清々しかった。 殺人してるのに、そこに青春を感じるのはなぜだろう。 ラストに向けた疾走感が素晴らしい。 ある意味で、どうにでもなれと開き直った生き様。 私は私のやりたいことをやるんだという強いさ。 人を殺すことは悪いことだけど、その殺される人が殺されるに値する場合、本当の悪はどこにあるのだろうか。 アイドルという世界。 とても厳しい世界。 それでもここで闘いたい

      • 意味のないこの人生で、いかに意味を感じて幸せに生きるか。 〜「どう生きるかつらかったときの話をしよう」を読んで〜

        野口聡一さんの「どう生きるかつらかったときの話をしよう」を読んだ。 めちゃくちゃくらった。 そして人生について深く考える素晴らしい機会を与えてもらった。 この本を手にしたってことは、私はどう生きるかわからず辛かったのだろう。 本書を読み終えた今だって、悩みは尽きない。 だけど、目の前に少しだけ、光が差している。 こうすれば今より幸せに生きられるんじゃない?みたいな手応えが、今微かに掴めそうな気がしている。 ①辛いのは意味を感じられないから なぜこんなに生きるのが辛いの

        • 人生なんて曖昧でいい。虚構だもの。〜「夜果つるところ」を読みました〜

          恩田陸さんの「夜果つるところ」を読んだ。 「鈍色幻視行」の物語に出てくるいわば作中作品で、まずその仕組みが面白いなと感じた。 虚構の中に存在する虚構の物語が、こうして現実には存在する。 なんだか訳がわからなくなるが、人生とはそんな曖昧なものなのかもしれない。 著者がインタビューで「曖昧な状況に耐えるのが人生」という言葉を残していた。 そして「真実は虚構にしかない」とも。 白黒つけられない人生だ。 曖昧な状態を、どちらかに振り切ろうと無茶なことをするから余計にしんどくな

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          幸せになるコツは自分にとって幸せとは何か明確にしておくこと。〜「サイコロジー・オブ・マネー」を読んで〜

          モーガン・ハウセルさんの「サイコロジー・オブ・マネー」を読んだ。 お金に対する考え方はもちろんだけど、一歩踏み込んで、人生というものに対して深く向かう素晴らしい機会を与えてくれた。 結論。 万人に共通するお金との向き合い方の正解なんて存在しない。 なぜなら、何に幸せを感じるかなんて、人それぞれだから。 私にとってお金とは何かを考える。 お金持ちになりたいか?と問われれば、まぁそれなりにと答える。 そこまで多くの富を築こうとも思ってないし、普通にご飯が食べれて、家族が誇

          幸せになるコツは自分にとって幸せとは何か明確にしておくこと。〜「サイコロジー・オブ・マネー」を読んで〜

          脇役の一言が生きる勇気をくれるという小説の醍醐味 〜「木挽町のあだ討ち」を読んで〜

          永井紗耶子さんの「木挽町のあだ討ち」を読んだ。 面白い。 ミステリーとして素晴らしいし、タイトル回収の美しさに清々しい読後感を味わえた。 時代小説はちょっとなぁ‥と言う人も、騙されたと思って最後まで読んで欲しい。 実際私も、読み始めこそ時代小説特有の文章なら馴染めなかったが、今は本当に最後まで良かったなと思えている。 物語は「あだ討ち」の謎を巡って目撃者にインタビューをする形で進む。 それぞれの人が語るストーリーに出てくるちょい役、いわば「脇役」の言葉が、なぜだか心に残

          脇役の一言が生きる勇気をくれるという小説の醍醐味 〜「木挽町のあだ討ち」を読んで〜

          言葉を読んで言葉について感じたことを言葉にしてみる 〜「東京都同情塔」を読んで〜

          九段理江さんの「東京都同情塔」を読んだ。 私たちの身近にある「言葉」というものについて、改めて深く考えさせられた。 本作は生成AIを利用しながら書かれたとのこと。 人が紡ぐ言葉とAIが生み出す言葉。 その差異を、一目で見分けられる人はいるのだろうか? そして、それぞれの言葉には何か違いがあるのだろうか? 改めて、言葉とは不思議なものだ。 「あ」は「あ」だけど、そこに「い」が加わればそこに「あい」が存在する。 ただ、別にそこに「あい」があったからなんだと言うわけでもないし

          言葉を読んで言葉について感じたことを言葉にしてみる 〜「東京都同情塔」を読んで〜

          言葉に乗っかる生き様がかっこいい。 〜「シャーロックホームズの凱旋」を読みました〜

          森見登美彦さんの「シャーロックホームズの凱旋」を読んだ。 本書の大きなテーマは「スランプ」 実際、作者の森見さんはスランプに苦しんでいて、本作が久しぶりの作品であるとのこと。 そのスランプを乗り越えた先に生まれた本作は、まさに凱旋と呼ぶのに相応しく素晴らしい。 物語の途中で世界がグルンと回転する感覚。 言葉だけでこの世界観を表現するのって、良い意味で人間離れしている。 主人公に自分を投影することで、楽しかったり救われたりする。 小説家という仕事は苦しく、そして尊いもの

          言葉に乗っかる生き様がかっこいい。 〜「シャーロックホームズの凱旋」を読みました〜

          「ハヤブサ消防団」を読みました。

          池井戸潤さんの「ハヤブサ消防団」を読んだ。 テレビドラマでもやっていたけど、そっちは観ていない。 あえて小説で読む。 そんな自分が嫌いではない。 久しぶりの池井戸さん作品。 やっぱり面白い。流石すぎる。 読んでいて飽きがこないし、信頼してページを捲ることができる。一抹の不安さえ与えてくれない。そんじょそこらの一番人気の馬よりも信頼度が高い。 ざっくり感想を述べると、全然思ってたストーリーと違った。だからこそ面白かったけど。 タイトルを見ただけでは、宗教が絡んでくるなんて思

          「ハヤブサ消防団」を読みました。

          行動した自分にしか紡げない言葉を紡いでいこう。そのためにも行動していこう。 〜「トラペジウム」を読んで〜

          高山一実さんの「トラペジウム」を読んだ。 アイドルを経験した高山さんだからこそ書けた物語だと思う。 偉そうなことは言えないが、何だかすごく体重が乗っていた。 アイドルとしての活躍を目指し葛藤している登場人物を見て、やりたいことをやっていくしかないのだと思い知らされる。 ありきたりな言葉だが、やらぬ後悔よりやって後悔だ。 やった先には必ず何かが生まれると信じている。 他者との関係性であり、充実感であり、己の限界への理解であり。 やったからこそ、言葉を紡げる。 想像しただ

          行動した自分にしか紡げない言葉を紡いでいこう。そのためにも行動していこう。 〜「トラペジウム」を読んで〜

          僕の世界観が少し広がった。 〜「尾崎世界観対談集」を読んで〜

          尾崎世界観さんの対談集、「身のある話と、歯に詰まるワタシ」を読んだ。 他人と会話を交わすことで、自らの考えが少しずつ変わっていく。 それはとても面白いことだなと思った。 影響を与え、与えられながら生きていく。それが人間であり人生。 言葉にすることの力も感じさせてくれた。 尾崎さんは小説も書かれている。 日頃感じる生きづらさや葛藤、悲しみや怒りを歌詞や文学へと昇華し、誰かの人生に影響を与えている。 すごく素晴らしい生き方だし、格好いいなと思う。 言葉の力を信じていたいし、

          僕の世界観が少し広がった。 〜「尾崎世界観対談集」を読んで〜

          外山薫さんという作家との出会い 〜「君の背中に見た夢は」を読んで〜

          外山薫さんの「君の背中に見た夢は」を読んだ。 小学受験をテーマにした物語で、家族の葛藤や一つの目標に向かって共に歩む素晴らしさ、周囲との比較、様々な感情を味わうことができた。色々あるが、前向きな終結を迎えている点もすごく心地よい。 読後、作家の外山薫さんについて調べてみた。 どうやら専業の作家さんではなく、会社員と二足のわらじを履かれているとのこと。 素晴らしい人生だなと思った。 本書の物語に心を揺さぶられたが、それ以上に、外山さんの生き方にすごく尊敬の念が生まれた。

          外山薫さんという作家との出会い 〜「君の背中に見た夢は」を読んで〜

          そっか。人生ってゲームやん。〜「ロングゲーム」を読んで感じた3つのこと〜

          ドリー・クラークさんの「ロングゲーム」を読んだ。メンタリストDAIGOが推薦していて知った本。 結論。読んでよかった。 人生について深く考えるきっかけをくれたし、今自分が満ち足りないのはなぜかを少し理解できた気がする。これから人生という長い長いゲームをプレイしていくのが、楽しみになった。 ①人生とはゲームだ。楽しむためにある。 正直、この本の大サビはタイトルに既に書かれている。 人生とはゲームなのだから、楽しんでいこう。以上。 この事実を、私たちはすぐに忘れてしまう

          そっか。人生ってゲームやん。〜「ロングゲーム」を読んで感じた3つのこと〜

          仕事と人生と幸せと。 〜「未明の砦」を読んで〜

          太田愛さんの「未明の砦」を読んだ。 工場の派遣労働者たちのリアル、そしてクソみたいな現状を変えようとする若者たちの姿に、色々と感じるものがあった。 ♦︎しんどい人見ると、自分の人生がマシに思えて少し心が軽くなる。 クソみたいな感想ですみません。 でも、実際に抱いてしまった感情なのです。 工事労働者のしんどい実態がリアルに描かれていて、すごく大変だなと思いました。 そして、今の自分は割と恵まれた環境にいるのだなと感じさせてくれました。 もちろん、仕事にストレスはあり

          仕事と人生と幸せと。 〜「未明の砦」を読んで〜

          忘れてた。人生って楽しむためにある。〜「人生後半の戦略書」を読んで〜

          何歳からを人生の後半と呼ぶのだろう。 まぁ間違いなく、自分の人生が前半戦じゃないのは感覚として理解している。 野球選手になんてなれないとわかっているし、大体こんなところに着地しそうだなと俯瞰的に人生を眺めている自分がいる。 飽きたな。 最近そう感じていた。 人生、意味あんのかな。 生きて死んではいおしまい。 なんやこれ。 同じ気持ちの人(特に中年)は多いのではないか。 本書は、そんな人生に諦めの気持ちを抱いている人たちにぜひ読んでもらいたい。 本書からの学び。というか、

          忘れてた。人生って楽しむためにある。〜「人生後半の戦略書」を読んで〜

          これはエジプトミステリーであり、エジプト群像劇〜「ファラオの密室」を読んで〜

          白川尚史さんの「ファラオの密室」を読んだ。 ミステリーの賞を受賞されている作品で、謎解きを楽しみながらワクワク感と共に一気読みできた。 まず、設定が変化球すぎて面白い。 エジプトを舞台にした小説ってはじめて読んだし、未知の設定がすんなりと腑に落ちていくあたり、筆者の力はすごいなあと感心してしまった。 ミステリー要素はもちろんだが、登場人物の人間らしさがとても好きだ。 友人や家族との人間関係に苦しんだり、恋心を抱いたり、動物への愛が溢れたり。 どこの国でもどんな時代でも、

          これはエジプトミステリーであり、エジプト群像劇〜「ファラオの密室」を読んで〜