見出し画像

#32 平安時代から存在した女性の想い

こんにちは、むーです。
今回は私の大好きな作品「とりかえばや物語」を読み直し、改めて思った事について書きます。

「とりかえばや物語」
内気で女性的な若君と男性的で快活な姫君とが、それぞれ女装・男装して生きていく事で展開する王朝の物語である。
「男女をとりかえたい」との父親の願いが物語のタイトルとなった。

21世紀版 少年少女古典文学館8 とりかえばや物語 裏表紙より抜粋

この物語に出会ったのはセンター試験の勉強中。ある模試に出題されていた作品で現代語訳を読んだ時に衝撃を受けました。それから文庫を買い、現代語訳を全文読みました。

今回は図書館の児童書コーナーに置いてあった本を読みました。「とりかえばや物語」という懐かしいタイトルに誘われてつい手が伸びていました。

平安時代の女性を思い浮かべると、「顔を見せない。恥じらう心の美しさ。静かにゆったりと暮らす。」イメージを持っていました。しかし、それを逆手に取った物語。

働く事に生きがいを感じ、男性として生きてきた姫君。いろんな事に気を付けていたが、姫君が女性だとある人にばれてしまいます。そして、その人と恋仲に発展。姫君の妊娠により事態は変化します。

男性としての生きがいと女性としての生きがいの両方を知った姫君。男性として働き続けていきたかったが、妊娠を機にそうもいかず悩みは深まっていきます。

現代でも特に女性はライフイベントに左右されがちです。そのことが平安時代に既に物語として書かれていたことに驚きました。女性と男性の差。長所と短所はありますし、現代では男性だから○○、女性だから△△。というような言い方は少なくなりました。

平安時代に書いた作者は現代の様に女性でも働ける社会、選択できる未来を望み、想像していたと思うとすごいなぁと。固定概念に縛られず様々な発想の展開があり、物語の虜になります。

この物語の作者は不明ですが、恐らく女性ではないか?と推測されています。それは現代にも通じる女性ならではの悩みが書かれているからかもしれませんね。

この記事が参加している募集

#読書感想文

187,486件

#古典がすき

3,952件

ちょっとしたご褒美に使わせて頂きますね~。