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バッハ エピソード31 アンナ・マグダレーナ・バッハのためのクラヴィーア小曲集

バッハは1721年に再婚した16歳年下のアンナ・マグダレーナ・バッハのために、翌年1722年から、一冊の音楽帳《アンナ・マグダレーナ・バッハのためのクラヴィーア小曲集》を書き始めます。のちに《フランス組曲》となる5つの組曲(第6番を除く)がバッハ自身の手で記入されているため、とても貴重なものとなっています。

そして、1725年から第2巻がスタートします。第2巻は特に有名です。『アリアと歌曲』BWV508~518や、クラヴィーアのための《パルティータ》の第3、6番の初期、《ゴルトベルク変奏曲》の主題《アリア》、カンタータ第32番の第2曲《レチタティーヴォ》と第3曲《アリア》などが収められています。
また、バッハの真作ではありませんが、「バッハのメヌエット」としてきわめて広く知られた旋律を持つ《3つのメヌエット》BWVAnh・114、115(ペツォルト作)も、この第2巻に入っています。

妻と子供たちと楽しんだコラールや鍵盤音楽、メヌエットやポロネーズなどの舞曲から歌曲、息子たちの作品なども書き込まれ、バッハ家の団欒の様子や子供たちの成長を伝える貴重な記録となっています。

バッハは16歳年下の美しい歌声の奥さんが可愛くて仕方なかったのでしょう。

さらに、楽譜だけに留まらず、詩や通奏低音のためのルール解説までもが含まれています。

第2巻に添えられた詩です。

お前といると
私は喜びに満たされる
天に召されて永遠の休息につく時も
私は怖くないだろう
きみの美しい声を聴き
きみの優しい手で目を閉じてもらえるのだから

                 J.S. バッハ




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