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肉を削ぐ

ダイエットに着手してそろそろ3週間ばかりが経つ。我が家の体重計は、ここ数年電池が入れられておらず、この間、自分の体重を把握しないまま過ごしてしまっていた。先日、久しぶりに銭湯へ行く機会があり、そこで体重計に乗ってみたところ、81.8kgと表示されたものだから、大変なショックを受けた。念の為にもう一度計測してみたがどうも間違いではなかったようだ。

ロビーのソファーに座り、スマホを取り出してBMIを計算すると26.1という数値が出た。日本肥満学会の基準では肥満(1度)に該当するらしい。これは肥満ではない。そう言い張ることも可能だろう。しかしそれに何の意味があるというだろうか。事実は事実として受け入れようと思う。

身長177cmの適正体重は68.92kgなのだそうだ。現在の体重はその数値から13.08kgも超過していることになる。しかし、13kg分の肉を体から削ぎ落とすことがはたして可能なのだろうか。なんてことはない。単に食べる量を減らせば良いだけの話である。食べる量が多ければ体重が増えるし、少なければ減る。なんとわかりやすい因果だろうか。

身長が止まってから、もっとも痩せていた時期は大学を卒業した頃だ。その頃はものを口にする機会が少なかった。なぜならお金がなかったからだ。脳に栄養が届いておらず、頭がろくに働いていなかったから記憶もおぼろげだ。なぜ生きていけていたのだろう……。

ダイエットの目的は痩せることにあると考える向きもあるだろう。しかし本当はダイエットに目的なんて必要ない。ダイエットは単にしたいからするものだ。これはお金儲けが好きな人がお金儲けに邁進する心理に近いのかもしれない。そんなにお金を溜め込んで何に使うんですか。本当に高級品が使いたくて使っているんですか。見せびらかしのために浪費して虚しくないですか。こうした疑問をお金儲けが好きな人に対してぶつけてみたいと思うこともある。けれども、おそらく彼らは何か目的があってお金儲けをしているわけではなさそうだ。彼らにとってお金儲けは、それ自体が目的なのだ。傍から見ているとそのように映る。

私がダイエットに取り組むのも彼らの心理に近い。ダイエットにおいて目標を設定するのは重要だが、目的は必ずしも重要ではない。目的地にたどり着くことよりも、歩くことそれ自体を楽しむのが散歩だ。散歩するかのごとく、痩身のための創意工夫を凝らすその過程を楽しみたい。だから結果として痩せなくても一向に構わない。エンジョイ・ザ・モーメント。結果ではなくこの瞬間にコミットするのである。

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