Curated by. バルセロナに佇むオリジナルブランドを考える
A Slow Consumption Model
人が店に入る時の決定要素はなんだろうか。無論、ブランドが既知のものであったり、特定の目的、詰まるところ消費モデルが確立されていれば、知らずのうちに目的地は決まっているようなものである。
ここでの’店’とは、未知の領域のことを指す。何が人を惹きつけ、内側へと誘い込むのか。重要なのはそこで何かを購入し、消費行動をすることではないと思う。
他の店とは違う魅力が消費者を引き込むことが消費者が商品価値への帰属に貢献していることを示すのであれば、店に入るという行為そのものが消費モデルの一環でありながら、価値を伴った体験だと言えるのではないだろうか。
スペインはバルセロナの街の一角に、大きなガラス張りのショーウィンドウと、クリーム色の店内が際立って見える店が一軒。Curated by というローマン体で描かれた名前が飾ってある。
アパレルか、雑貨屋か、それとも展示か。ここにおいてジェンダーなど何の障壁にもならなかった。
何色かで展開されているセーターや、店内と同じ自然なクリーム色のTシャツやスウェットは、柔らかく暖かい。素材はオーガニックコットンがほとんど。
セーターに関しては、ポリエステルを含んでおり、100%オーガニックではない。これは、彼らがエシカルコンシャスなブランドであることを選び、リサイクル素材を使用することに挑戦しているからである。
素材にこだわる、ということは上質な素材のみを使って、消費を繰り返すことではないと伝えられたような気がした。持続可能な社会の実現には、そのハイブリッドモデルを模索することが道なのだろう。
Curated byは、自身をファッションブランド、家具ブランド、ましてやアクセサリーブランドとは呼ばない。彼らの商品は時間に縛られず、特徴的な商品のコレクションだという。
確かに、その商品のレンジは衣類はもちろんバッグ、帽子などのアクセサリー、キャンドルライト、コップにテーブルといった家具、そしてボトルオープナーなど幅が広い。
ただ闇雲にそれっぽい商品を作るのではなく、ブランドの理念を、ストーリーに基づき表現しているからこその多元性なのだろう。
私はインディゴに染められたロゴキャップを購入した。レシートはオンラインでの発行だ。そして、家につくなり捨てるような紙のショッピングバッグではなく、可愛らしいトートバッグが付いてきた。その中には2枚のブランドアピールのポストカードが添えられていた。
Curated byは多感な若者のようなブランドだ。複雑な自己を創造(Creation)という手法を通して具現化し、選別し(Curated)アウトプットしている。
店に入った時、入ることを決めた時、僕はここまでこのブランドに惹かれるとは思っていなかった。いや、もしかしたら僕が書いてきたような体験を期待していたから足を踏み入れたのかもしれない。
その期待感が満足感になるような店が、人をその店に呼び込んでいるのではないだろうか。
Profile of the shop
Curated by. https://curatedbyshop.com/ (海外発送も対応)
Store
Enrique Granados 95, Barcelona
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Customer Care
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