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取締役になって学んだ3つのこと

昨年株式会社ピアリビングの取締役になって1年と少しが過ぎた。1年間で取り組んだこと、失敗したことや上手くいったこと、毎日沢山のことがあった。昨年と比べて、組織がどんどん良い方向に変わっている感覚を強く感じている。

そこで今日は、私が取締役になってからの学びや取り組みをまとめようと思う。

取締役になって学んだ3つのこと

私が取締役になって学んだことは、大きく3つだ。

(1)会社の方向性を丁寧に伝える大切さ

「会社の方向性なんて伝えなくても分かるだろう…。」
そう思う人もいるかもしれない。

でも私は、これは1番大切なことだと思っている。なぜならここを怠ってしまうと、メンバーの皆は「なぜそれをするのかわからない」という感情になり、やる気を起こしたり自発的な行動を起こすことができないからだ。

トップダウンで動かしたいというのであれば重要ではないかもしれないけど、私は皆で向かう先を認識合わせした上で、後はメンバーの皆には自発的な行動をしてほしいと思っている。だからこそ、会社の方向性は噛み砕いて丁寧に伝えることを重視するようにしている。

(2)常に「課題は何か?」を考える

会社で問題や違和感を感じた時、まず「課題は何か?」を徹底的に考えるようにしている。

課題設定をしないまま、その場限りの施策を打っても、根本的な問題が解決されないことが多いからだ。思考停止で施策ばかり打っていては、いくら時間があっても足りない。未だに課題設定に頭を悩ませてしまうことは多いので、今後も学んでいきたい点だ。

ちなみに悩んだ時は、「イシューからはじめよ」という本を度々読み返すようにしている。

(3)周りの人から知見をもらう

自分1人で机の上で考えても悩みが解決されないことが多い。そんな時は周りの人から知見をもらうようにしている。それは社内の人やお客様、はたまた外部の方などだ。昨年は月一で出張して社外の方と出会い、沢山の知見をもらった。

後は、本からも沢山の知見をもらっている。特に昨年は様々な本からヒントをもらった。

参考にした本
イシューからはじめよ
ドラッカー マネジメントの基本
ザゴール1
戦略参謀の仕事

ここからは時系列に沿って、1年間で取り組んだことについて振り返ろうと思う。

■2022年7月🍉

会社の方向性をまとめる

取締役になる前に、会社に感じていたこと。それは「会社の方向性が定まっていない」ことだった。もちろん当時から会社の目標売上利益は設定されていた。問題は「それを達成するためのロードマップが整理されていないこと」だった。当時皆に会社の目標について尋ねると、多分全員が違う回答をしていたと思う。

そこでまず私が取り組んだのは、徹底的に社長と対話すること。社長が思い描く会社像を言語化して整理することで、ロードマップを作ることができるんじゃないかと考えた。

ただ最初は上手くいかず、社長と対話する前に、親子の縁が切れるのではないか?と思う程の大喧嘩をした…。当時の私は今の会社の状況を変えたくて「会社の皆に社長が考えている方向性は伝わっていないよ!!」とあまりにも単刀直入に伝えてしまった。(今だったら言い方を考えて話をすると思う…←少し成長したかな…汗)するとそこからは大喧嘩…。

その後何とか双方の思いを共有し合い仲直りをしたタイミングで、とある外部の経営合宿に参加した。その合宿でのテーマがまさに「会社の戦略作り」だった。まる2日間、社長と20時間以上議論した。

目標を決める

最初に、5年後の目標売上(利益)と現在の売上(利益)を整理した。以前から社長の中で5年後の目標売上は決めていた。問題だったのは「それを達成するためのロードマップ」が整理されていないことだった。ロードマップがないまま、メンバーの皆に戦術を考えてもらうのはとても酷だった…。恐らく目標数値を達成するための方法はいくらでもある、かといって目標売上さえ達成すれば何しても良いという訳でもなかったからだ。(例えばセールをひたすら打って受注件数を伸ばし、売上利益を上げる方法は、ピアリビングの考えとして違うよねという思いが何となくあるが、皆に目標売上利益の共有しかできていなければ、これらの手法も良しとされてしまう)

そこで社長の目標売上を分解して、「どのような事業でどの程度の数値を達成するのか」を整理した。これを整理することで、会社としてどこに力を注ぐべきかが見えて、少し会社の方向性がクリアになってきた。

ちなみにこの時学んだのが「Googleの10X」という考え方だった。目標を立てる時、私たちはどうしても手の届く範囲で目標を設定しがちだ。だけどGoogleでは違っていて、立てた目標に10倍をかけるのだ。「目標に10倍かける!?そんなことしたら絶対に達成できないじゃん」と思われるはずだ。あまりにも高い目標を掲げる理由は、「思考の天井を外すことができるから」だ。10倍の目標を達成するには、もちろん今の仕事を続けていては達成できない。

戦略を考える

目標が整理された段階で、次に決めたのは「すること、しないこと」の取捨選択だった。戦略とは「しないことを決めること」だという話を聞いたことがある。戦略を立てることで、会社での優先順位がより明確になる。

私は「アンゾフマトリクス」というフレームワークを使って、自分たちが進むべき方向性を考えた。会社として注力するべきは「新商品開発」と「新市場開拓」の2つであることが整理された。一方で「市場浸透」と「多角化」には力を入れないという選択をした。

つまり、「既存の顧客に既存のサービスを提供すること」と「新規の市場に新規のサービスを提供すること」の2つには力を注がないという選択だ。

目標設定と戦略策定を行ったことで、会社の方向性がクリアになった。

■9月🍠

会社のビジョン、ミッション、バリューを変える

ある程度会社の方向性を整理した段階で、改めて会社のビジョン、ミッション、バリューを刷新しようと考えた。メンバーの皆と話をした時に上がった悩みとして「会社の方向性が分からない」ことの他に「判断基準がなく意思決定を悩むことがある」ということだった。「ピアリビングではどのようなことを大切にしているのか」を文書にして伝えることで、仕事をする時の判断基準にしてもらえるんじゃないかと思った。

目標の中身を具体的にする

目標設定の段階で「どの事業でどのくらいの売上(利益)をつくるか」ということを整理した。その後、もう少し目標を整理したいと考えた私は、ドラッカーが提唱する6つの目標に沿って、それぞれ目標を立てることにした。それが「マーケティング」「イノベーション」「経営資源」「生産性」「社会的責任」「利益」だ。

部署ごとで目標を考えてもらう

会社の方向性を決めて皆に共有を行った後、今度はそれらを部署毎の目標に落としてもらうワークショップを開いた。ただ皆に目標を立ててほしい!とざっくり伝えても考えるのが難しいかな?と感じ、あらかじめ議論するための質問項目を準備することにした。そうすると想像以上に議論が活性化して、とても良いワークショップができた。

7〜9月までは会社のビジョン・ミッション・バリュー・目標、そしてそれらを各部署の目標にまで落とし込むことに力を注ぐことができた。

目標が整理された後は「現状把握」が必要だと感じ、10月以降は社内の整備に力を入れることにした。というのもピアリビングは数年前まで10人も満たない会社で、仕事が「この業務はこの人しか分からない」というように属人的になっていた。当時はそれで問題がなかったが、ここ数年でメンバーが2倍以上に増えたことで、社内の整備が必要だと考えた。

■10月〜12月🎃🍁🎄

業務の流れを整理する

まず初めに取り組んだことは「業務フローの整理」だった。これまでピアリビングには、業務マニュアルのような資料はほとんど存在していなかった。それぞれが行う業務は各担当者しか分からない状況だった。当時はそうした運用で全く問題なかったが、人が増えるとそうはいかなかった。「Aさんからは◯◯というやり方で教えてもらったけど、Bさんからは△△というやり方で教わった」というようなことが頻繁に起きてしまっていた。

そこで今度は、業務フロー(お客様が問い合わせして注文、出荷するまでの業務全体の流れ)を整理することにした。

業務フローを作成して気づいたことは「一つひとつの業務にルールがない」ことだった。通常であれば、「○○の業務は何時に行う」「◯◯という事象が発生したら△△の対応を行う」というように、誰でも判断できるルールが設けられていると思う。ところが社内では、各々が一つひとつの業務に対してその場で判断して仕事を進めていた。そのため業務フローも綺麗に作り上げることが難しい状況だった。とはいえ何とか形になるまで皆で整理を行った。

課題を見える化する

業務フローを整理しつつ、同時に行ったことが「課題の見える化」だった。以前から各々、業務で課題に感じることがあったとしても、雑談ベースで話すのみが多く、見える化されていなかった。そこでスプレッドシートで「課題管理表」というシートを作り、少しでも業務の中で問題点があれば、全員に記入してもらうことにした。現状は課題に対する取り組みを行うスピードはとてもゆっくりだけど、まず課題が見える化されたことで、会社の現状がどんどんクリアになってきた。

MTGのアジェンダ作りに注力する

取締役になって力を入れたことの1つが「MTGのアジェンダ作り」だった。現在ピアリビングでは半期に1度の会議(参加者は全員)と、月に1度の所属長会議(参加者は部署のリーダー)を行っている。せっかく皆が集まる機会なので、会議前の準備がとても重要だと思い、毎回MTGのアジェンダには力を込めている。

ちなみに毎月開催する所属長MTGでは、立てている目標に対して「上手くいったこと」「改善すべきこと」「次回挑戦すること」の3つを発表してもらうようにした。

時々業務の進捗のみを報告する会議を目にするけれど、私はそのことに少し違和感を感じていた。なぜなら本来は、施策を行ったかどうかを管理したいのではなく、「施策を行った結果、どうなったのか、次にどうするのか」を共有してもらった方が、絶対に有益だと思ったからだ。そのため、ただ進捗を共有することは辞めるようにした。

■1月🎍〜

定期面談の実施

1月からは、以前から取り入れたいと考えていた定期面談の実施を開始した。これまでピアリビングでは全体の会議はあったとしても、1on1での面談はほとんど実施したことがなかった。会議である程度コミュニケーションをとれたとしても、大人数の会議では一人ひとりと深い対話はできない。

実際に面談をするようになってから、想像以上に各々が業務で抱えている悩み、改善したいこと、プライベートのこと、沢山のことを知ることができた。

お客様像の見える化

会社には日々、様々なお客さまから相談が届く。周りからの生活音で悩む人、趣味で楽器を演奏する人、オフィスでの防音を考える人など…。何となく各々が思い描くお客様像はあったけど、それを言葉にして共有することがなかった。

そこで初めて、会社全員で「私たちのお客さまは誰か?」を共有して整理する時間を作った。

お客様像を整理した後は、「そのお客さまはどのような悩みを抱えてどのようにピアリビングを知ったのか。そして最終的にどのように商品を購入して、その後どうなったか」という一連の流れを議論し合い、一つの紙に書き起こした。答えのある議論ではなかったけれど、意見を出し合うことで各々がどのような意見を持っているのかを知ることができて、とても有意義な時間になった。

その後は、一人ひとりが誰に向けて仕事をしているのか想像しながら仕事することが増えたように感じる。「この施策はどんなお客さまに向けたものなんだっけ?」という議論も行われることが増えた。

まとめ

以上が私が取締役になって取り組んだことだ。少しでも、今よりも組織を良くしたいと思ってたくさんの取り組みを行った。

文章では綺麗にまとめているけれど💦、実際は中々上手くいかずに自分に不甲斐なさを感じたり、悶々と思い悩む日も沢山あった。

正解のないことだからこそ、悩みながらも一歩でも前に進めるように、良い組織を作っていけるように、これかりも沢山試行錯誤したいと思う。

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