『爆心地ランナー』志賀 泉 著
著者は巻末の著者略歴にあるように、第20回太宰治賞を受賞して文壇デビューした新進気鋭の作家である。
東日本大震災と原発事故による放射線被害を現地で体験したとき、高校生だったという。本書はその被災の体験が背景になっている。
短編の「爆心地ランナー」と中編の「こんなやみよののはらのなかを」の二編が収録されている。
震災後、純文学界ではさまざまな角度から長、短編小説、詩、短歌、俳句が創作され、文芸誌を賑わせた。多くは社会学的、哲学的な大問題として向き合い、それを独創的な視点