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サウナの女房

この夏、BSでやっていた湯遊ワンダーランドのドラマが私を盛り上げてくれた。
おかげさまで活力と若さをもらい、特に夏バテもせず、ごはんも美味しく食べていたので、久しぶりに体重を測ったら、こちらも盛り上がっていた。

奇想天外で不思議のかたまりの漫画家きつこが、サウナに開花していく話で、テレビごしに私も次第にきつこ化されていった。
ここからドラマを見ていた時の、私の頭の中を少し一連の流れで覗いてみよう。

『そういえば、昔はよくスーパー銭湯行っていたなぁ〜。
サウナも試しに何回か入ったなぁ〜。
サウナの女房役の水風呂の存在は知っていたけど、勇気がなくて一度も入れなかったなぁ〜。
サウナ、外気浴、熱めの風呂、外気浴、サウナ、外気浴、熱めの風呂を繰り返して、水風呂をスルーしながらも、軽微なトトノウみたいな事はしていたなぁ〜。

そろそろ秋だし、何か新しい事をしてみたいなぁ〜
…(サウナからの)水風呂か』

というわけで、サウナのある銭湯へやってきた。
初めての所に対しては、私は実にへっぴりごしで、今回は精一杯サウナ環境(本命は水風呂)の偵察をする事にした。
だがへっぴりごしとは裏腹に、お店の人やお客人に『この人初めてだ』と悟られないように振る舞おうとする銭湯七不思議。
Googleマップのお店のコメントで学んだ入場時の手順もその通りに行い、つかみはOK。
支払いはpaypayを選択するのが現代の余裕ある大人だろう(諸説あり)。

中に入り、瞬時に服を脱ぎ、いざ戦場へ。
掛け湯をして、体洗い場に向かう。途中、奥の入り組んだところにサウナwith水風呂があるのだろうと横目でチラリ。
頭と体を洗い、お風呂たちの所に行くと、高濃度炭酸泉が!!!
『これ一番好きなやつだぁ〜!!!』とすぐに入湯。
本来の目的を忘れ、純粋な気持ちで体を見つめながら高濃度な炭酸を体いっぱいにまとわりつかせる。あったかいながらも、炭酸のシュワシュワで少しスースーもするサイエンスな感覚。
これに入ると疲れが飛ぶ、私の一番の推し風呂である。

他の風呂もいくつか入って体がだいぶあたたまってきて、体を一旦冷ましたかったので、涼み用の椅子を探した。
奥に行き、『そうだよ!サウナだよ!』と思い出し、サウナ周辺の位置関係を確認。
手前に水風呂と椅子三脚、そこに三名が涼をとって座っていた。

サウナさんの本番はかなりあついでしょうからと、一般風呂客は体洗い場に下がり、シャワーをぬるま湯にして涼んだ。
そして熱い風呂に入り、満席の椅子を確認し、シャワーに行く事二回、ついに空席ができたので無事にシットダウン。
放熱し次第に冷めていく体が、まるで冷凍するため、ラップで小分けにして、冷まさせられている炊き立ての米に思えた。

その後もサウナまわりをうろちょろしていたが、不思議とサウナさんらはなぜか水風呂に入らなかった。
こうなったら今日は視察の予定だったが、急遽水風呂に入ってみよう!
でも今日はサウナ料金払ってないから、熱々の風呂をサウナの代わりにしようと、43度の風呂に行った。
私は40度がベストで、それ以上以下でも許されないわがままなご令嬢の皮膚をもっている。

43度の風呂で、少し自分がゆでだこのように縮んだような気がした。腰までつかるので精一杯だったが、まぁ水風呂への助走としては素晴らしき助演風呂。いざ、本丸へ!!

水風呂の周りに不思議と誰もおらず、舞台は整っていた。いそいそと足に水をかけ、ヒッ!となりながら、今の私ならいける!とザブザブ入っていった…
だが、太もものあたりで自分の制御装置が起動してしまい、脳からどうしても胴体への着水の許可がおりなかった。
小学生の時は、曇り空の寒い日に腰洗い槽に入れたのに…あれ水風呂並みに冷たかったような。

傷心の想いで、椅子に座りにいくと、ムクムクと足の血管が開いていってるのがよくわかった!!定点カメラの観測で、植物が早送りで花を開かせるような凄い新感覚、人体の不思議!!

頬を染めながら、今日はこの辺で許しておこう(何に?)と風呂場を後にした秋の夜であった。

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