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【AIR】単月での訪日客数初の300万人台突破、円安追い風に観光消費額増にも結びつく

ゴールデウィーク各地へお出かけの途中のターミナル駅で訪日外国人旅行者の姿を目にし、コロナ禍前よりもその数が増えたのではと感じられている方もいらっしゃるかと思います。

その感覚は正しいようで、先月17日に日本政府観光局が2024年3月の訪日外国人数(推計値)を発表しました。発表によると、3月の訪日外国人数は、3,081,600人となり、前年同月比では 69.5%増、2019 年同月比では 11.6%増となったそう。

単月で300万人台を突破するのは初めてだそうで、1ヶ月あたりの訪日外国人数が過去最高を更新しました。JNTOの要因分析では、日本の象徴でもある春の桜シーズンで訪⽇需要が高まったということ以外に、今年は3月下旬からイースター休暇に入った国もあったということで、日本を訪れる人数が増えたのではないかとのことです。

・日本政府観光局 訪日外客数(2024 年 3 月推計値)
https://www.jnto.go.jp/statistics/data/20240417_monthly.pdf

・3月の訪日客、最多308万人 1〜3月旅行消費も過去最高
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA175CI0X10C24A4000000/

また、訪日外国人数のベンチマークとしている23市場のうち、韓国、台湾、香港、シンガポール、フィリピン、ベトナム、インド、豪 州、米国、カナダ、メキシコ、英国、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、北欧地域の17地域で、 3 月としての過去最高人数を記録しました。更にベトナム、インド、米国、カナダ、メキシコ、ドイ ツ、イタリア、北欧地域で単月の過去最高人数を更新しました。

(出所)https://www.jnto.go.jp/statistics/data/20240417_monthly.pdf
(出所)https://www.jnto.go.jp/statistics/data/20240417_monthly.pdf

インバウンド回復を受け、単に訪日しているだけでなく円安効果も手伝ってインバウンド需要にも力強さが戻ったようです。

日本百貨店協会が先月に公表した「2024年3月免税売上高・来店動向(速報)」によると、3月の免税売上高が前年同月比148.4%で495億円を達成し、2014年10月の調査開始以来、過去最高を記録したそうです。購買客数も約45万人にのぼり3月としては過去最高だったとのこと。

(出所)https://www.depart.or.jp/press_release_other/

例えば、百貨店の高島屋は、2024年2月期連結決算で、純利益が前期比13.6%増で過去最高益の316億円を達成。他にも、百貨店大手の4社が発表した今年4月の既存店売上高が、全社で前年同月比での増収、免税売上高も全社が単月として過去最高を更新しているということで、円安が追い風となり訪日外客にとってラグジュアリーブランド商品等の高額品も割安感が高まり需要につながっているようです。

・高島屋、過去最高益 訪日客の売り上げ好調
https://www.tokyo-np.co.jp/article/320862

・百貨店大手4社が増収 4月、免税売上高は過去最高
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC015P50R00C24A5000000/

ただし下記の記事が指摘するように全国各地の百貨店が潤っている訳ではありません。大都市部の百貨店がインバウンド需要の恩恵に預かるものの、地方の百貨店の厳しい状況は全く変わらず、都市部と地方部で明暗がくっきり分かれています。

・インバウンド需要の急回復で免税売り上げ過去最高 都心と地方で広がる「百貨店格差」
https://www.sankei.com/article/20240309-GJCTKZE6UFI25JUSGIVJIDQAJA/

政府の観光政策方針としても、単に日本に来てもらう訪日客数を追うのではなく、どれだけの消費をしてもらうかに重点をシフトしています。

観光庁が4月17日に発表した「訪日外国人消費動向調査(1次速報)」をみると、2024年の1〜3月期の旅行消費額(推計)は、前年同期比73.3%増の1兆7505億円となっています。この額は、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年同期と比べても、52.0%も増加にあたります。

・訪日外国人消費動向調査 観光庁2024年1-3月期の調査結果(1次速報)の概要
https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001738599.pdf

仮に4〜6月期以降が横ばいで推移したとすれば、今年度の年間インバウンド消費額は7兆円に達する勘定になります。政府が「観光立国推進基本計画(第4次)」(以下「基本計画」)で掲げる早期達成目標のインバウンド消費5兆円は今期達成できそうな勢いです。

(出所)https://www.mlit.go.jp/kankocho/content/001738599.pdf

また基本計画で、2025年までに訪日外国人旅行消費額単価を一人20万円に引き上げる目標も掲げていますが、先程の訪日外国人消費動向調査によると、訪日外国人(一般客)1人当たりの旅行支出は20.9万円と推計されており、このままで推移できれば前倒しで目標達成となりそうです。

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