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サークル陸の孤島亭(しゃよーさん)の1次創作同人誌「田舎にはこれくらいしか娯楽がない」総集編レビュー「同人作品の人気シリーズを追うものの恍惚と不安共に我にあり。」

「田舎にはこれくらいしか娯楽がない」は
就職活動に失敗して親戚を頼って田舎の役場で働く絶倫の主人公が
家庭教師のバイトで清楚な大和撫子の女子高生・藤野沙矢(ふじのさや)を
指導中に肉体関係に陥り「田舎にはセックスしか娯楽がない」こともあり
爛れたセックスに耽溺して行く話である。

「同2」では藤野の学友で
明朗快活な少女・佐野明穂を加えて最終的には3人で乱交に及び

「同3」では主人公の遠戚の
寡黙なオタク少女・長野瑠璃を加えて最終的には4人で乱交に及び

「同4」では4人で東京観光に行きラブホで4人の乱交に及んでいる。

押しも押されぬ人気シリーズなのであるが
主人公の絶倫男が「読者」の分身である以上,「竿」の本数は安易に増やせず
男の身体構造上,一度にひとりの女しか相手に出来ず
仮にn人の女とn+1人で乱交に及んだとしても
ひとりの女を相手にしている最中は
残りのn-1人の女は指をくわえて
眺めているしか出来ないという「置いてきぼり」問題があり
複数の女を同時に等しく愛することが出来ない以上,
「ハーレム漫画」には必ず「終わり」が来るのだ。

加えて創作者は「同じ事」の拡大再生産には
耐えられず飽きてしまうという問題がある。

従ってハーレム構造は無制限に広げる事は出来ず
実際問題として女3人が「限度」となるのである。

ハーレム構造が無制限に広がらない以上,
ある時点で創作者は世界を畳み始める。

話を終わらせる為に「まとめ」に入るのだ。

同人誌に於ける「総集編」というのは
実質的な同人作家の「まとめ」宣言と受け取られる事が多い。

本同人誌に於いては「田舎にはこれくらいしか娯楽がない」の
「まとめ」に入ったと僕は思っている。

人気シリーズが「終わる」のは寂しいけれど
このまま死んだ魚の目になって続けるよりは余程いい。

本総集編には「1」「2」「3」が収録され
・第100回コミックマーケット会場限定らくがき本
・第101回コミックマーケット会場限定らくがき本
・総集編用描き下ろし
が同時収録されている。
「らくがき本」は「突発本」とも呼ばれ
実際にコミケに行ったものしか入手困難なレアな本で
愛好する作家の「走り描き」にこそファンは最大の価値を見出すのだ。

「描き下ろし」は総集編が初出で表紙も描き下ろしとあっては
これはもう買うしかないのである。

長期に渡る人気シリーズの途中からファンになった方にも
「総集編」が福音である事は言うまでもない。
シリーズ初期の作品は絶版になっている事が多いからである。
またバラで買うより総集編を買った方が財布に優しいという利点もある。

ま…ファンは「全て」買うから
「買う」「買わない」の議論は論外なのである。

今回の総集編には「4」が収録されていない。
「まとめ」なら「1」から「4」が全て収録された方が良いが
この先がどうなるか分からないのが
同人誌の人気シリーズを追うものの「恍惚と不安」と言え
決して悪い気分はしないのだ。

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