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ダリオ・アルジェント監督の映画「四匹の蠅」レビュー「キチガイの見た夢を見る驚異の同床同夢映画爆誕!」

バンドのドラマーの主人公が男に付きまとわれて激昂,
揉み合っている内に男の持っていたナイフで弾みで男を刺してしまい,
その場面を「トイストーリー」のウッディみたいな
奇怪な仮面の主に写真を撮られ,その日から主人公が脅迫され始める…。

観ていて次々と疑問が湧いて来る作風。
・幾ら同衾していても「同床異夢」が普通だのに
同衾相手の夢を代わりに観ることがあるか?
・精神病院の入院歴を知らずに結婚する事ってあるか?
普通興信所等を雇って身上書を作らせるのでは?
・死ぬ直前の光景が網膜に焼き付くって
「ブラック・ジャック」の挿話みたいな科学捜査ってアリ?
・相手を殺す為に,わざわざそこ迄やるか?

等々疑問は絶えないが,
ジャッロでは「余りにも意外な真犯人」が最も尊ばれるので
犯行動機など何でもいいと思い,僕は納得しました。
エラリイ・クイーンのミステリ小説「オランダ靴の謎」の
取って付けた様な犯行動機なんて酷いもんだったしね。
それに「四匹の蠅」のタイトルの伏線が回収され
主人公が犯人の正体を知る場面なんて最高じゃないですか!

画質はブルーレイにしてはまあまあ。
字幕で精神病院を「施設」と訳さずちゃんと逃げずに
「精神病院」と訳したのは偉い。
気違いを「異常者」と訳したのも健闘。

1971年のジャッロの真犯人の犯行動機は
「気が狂っていたから」が堂々と罷り通っていた。
犯人が犯人である必然性など二の次で
正体が意外であれば意外であるほど良しとされたのです。

数々の疑問点があるので星1つ減点するが,
本作にはそうした疑問点をチャラにするパワーがあります!
ミステリは辻褄を大切にするけどジャッロは意外性を尊ぶって
「違い」を知りたければ是非本作を御覧下さい!

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