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Meant to be

昨日はずっと出たかったThe Standというマンハッタンのコメディクラブの出演だった。ここのレギュラーメンバーになったわけじゃなく、ここでイベントをするROEYというユダヤ人のコメディアンに誘ってもらった。彼は大学卒業したてで、まだ二十代だ。一度僕が優勝した大会で彼は二位だった、その時、終わったら「くそっ!!悔しい!!WEED(大麻)吸いに行ってくる!」って、やけ酒ならぬ、やけ大麻をやっていた男だ。それから、彼は夜に急に連絡してきて「いますぐこい!いまきたら10分の出番もらえるぞ!」とか「この日、空いてるか?ショーがある、お前も出ろ」とか、めちゃくちゃライブに誘ってくれる。そしていつもライブ終わり、英語が話せない俺がみんなの輪から外れて端っこでポツンとビール飲んでると「おい、だいすけ、何やってんだ、こっち来い、はやくこい!slowbitch!みんな、こいつ大輔って言うんだ、お前早く英語話せるようになれよ!」ってグイグイ誘ってくれる。いつも大麻の匂いをプンプンさせながら、ハイな状態で話してくるROEYだけど、今夜のショーの彼はすごくシュッとしてて、服装も決まってた。やはりそれぐらい彼にとって大切なショーだったんだろう。The Standというコメディクラブはメインルームと50人ぐらいの小さなスペースのステージがある、僕らはその小さなスペースを借りてのショーだった。お客さんは満席だった。ROEYがおれにちょっと来い、と言って地下のメインルームに連れて行ってくれて「ここで近いうちショーを企画してる、その時は頼む」と言ってくれて、おれも「ここを埋めて成功させよう」って二人で話した。その日のショーの僕のステージは大成功とは言えない、もちろん笑いはあったんだけど、ハマった時の自分を知ってるので、そこまで強くお客さん達にハマらなかった。ライブの終わりでその日のトリだった黒人のコメディアンが、俺のところに来て「hilarious!!!!(最高)お前26日空いてるか?ショーをやる、10分やるから出てくれ」と言ってくれた。それがめちゃくちゃ嬉しかった。なぜかって彼がレギュラーでやってるウィリアムズバーグのコメディクラブがあるんだけど、そこに2回ほど見に行って、夜中0時からのオープンマイクに出たことがある。夜中0時平日、お客さんは3人だった、1人は熟睡してた。だから、その時にコメディアン達にここのもっと早いレギュラーメンバーがやってる時間に、俺も出たいって言ったら、彼に聞けって言われた男がその黒人の男で、その時に「まあまた今度、ネタ見てやるよ」ってサラッとあしらわれていた。おんなじこと言ってくるコメディアンはごまんといるだろう、特にアジア人で髪をピンクに染めたやつがきて、だれも面白いやつだなんて思わない。その彼が今日、ROEYのライブでトリだった。その彼がたまたま俺のネタを見て、終わりで向こうから駆け寄ってきてくれて、10分ネタやってくれ、って出番をくれた。俺のネタをみて、出番を向こうからくれたことが、すごく嬉しかった。もちろん日本でもその連続なんだけど、この瞬間は芸人をやっていてもっとも嬉しい瞬間の一つだ。その夜は嬉しいことばかりだった、そのコメディクラブに向かう時のウーバーの運転手とコメディアンの話で盛り上がり、彼に僕がなぜこの国に来たのからという話をし、俺のジョークも聞いてもらい、めちゃくちゃ笑ってくれた。クリスロックに会ったという話をすると彼は「俺はニューヨークに子供の頃から住んでるけど、一度も会ったことがない、来て一週間で彼と会ったのか?」そして彼は「Meant to be」と言った。運命という意味だ。会う運命だったんだよ、と。ウーバー降りる時に彼は俺に「wait」と言って、手をガッチリ握られ「君は絶対大丈夫だ」と言われた。ニューヨークは夢を追いかける人を全力で応援すると聞く。少し泣きそうになった。今夜誘ってくれたROEYもそうだし、誘ってくれた黒人のコメディアンとそうだし、日本で会ってきた人達も出会う運命なんだろう。僕にはドライバーがいて、彼が僕を出会うべき人のところに運んでくれてるように気がする。※ウーバーの話したあとにややこしいけど。

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