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NYのカフェでできた友達

毎朝行くカフェで仲良くなった男がいる。60歳ぐらいの白人男性、いつもカフェの端に座って、パソコンでなにかずっと作業をしてる。きっかけは、おれが新しいネタができたから、隣に座ってた男に声をかけてネタを聞いてもらったことが始まりだ、彼の名前はマックスで、いつもカフェに行くと挨拶をする、そして、すごく知的な英語を僕に教えてくれる。僕はいつも朝8時にカフェに行くんだけどマックスは9時ぐらいに現れて、いつものコーヒーを頼んで、端に座り、僕に挨拶をして、パソコンを触ってる。夜にカフェの前を通り過ぎた時にもマックスはまだいた。ある日、閉店したカフェの外の椅子に座って作業をしてた、彼の後ろにはたくさんのペットボトルの水が置いてて、彼はピーナッツクリームの大きな瓶からそれをパンに塗って食べていた。ある夜、外が気持ちよかったので僕は夜中に街を散歩していると、たまたまマックスが立っていた。カフェ以外の道端で会うのは初めてだったから、二人はテンションが上がった。「ハイ!!マックス!!何やってんの!」「君こそ、何をやってるんだ!笑」「新しいジョークを練習してたんだ、よかったら聞いてくれない?」「お、ちょっと待てるかい?いまから女性が私にパンを」その後から英語は聞き取れず、とりあえずマックスは時間がないんだな、と思ったので「オッケーまた明日いつものカフェで」と言って僕はその場を去った。この辺りからうっすら想像がついてきた、それは翌日の朝にわかった、いつもより早起きしたので早めにカフェに向かう途中、マックスが、大きなリヤカーのようなものを持ってたくさんの荷物を持ってそこにいた。マックスはホームレスだった。ぼくは彼に家は?とか仕事は?とか、そんな質問をしてた、マックスが言ってることはほとんど僕の英語力では理解できなかったから、無神経な質問をたくさんしてたと思う。ニューヨークだな、と思った。日本なら、ホームレスがパソコンを?とかコーヒーを?とか、そんなことを思うだろう。家賃が高すぎるのか、なんだろう。マックスはおれにお金をくれなんて一言も言わない、むしろたくさんの単語をくれる。ニューヨークのカフェでできた友達。

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