HYBRID PHONON 2566⁺

元P-MODELの秋山さんと高橋さんでしたかね?平沢さんを良く思ってらっしゃらない趣旨のポストをしているのを見た事が有ります。

まぁ、彼の下に就くのはさぞかし大変なんだろうなぁ…と想像することは出来ますねw 平沢さんが構えている事務所の社員とか事務員とかはまた違うんでしょうけど、同じ土俵で同じ表現活動をする立ち位置ですと、かなり嫌な思いをしそうですよね。優しいバンドマスターとかじゃない感じはビンビン伝わってきますし、音に関しては我儘でワンマンな印象を受けます。若い頃の平沢さんは何となく理不尽を強要してきそうな雰囲気も見受けられましたしね。
実際は分かりませんけども。

ただ、ファンに対しては、こんなに親切でファン想いなアーティストは珍しいんじゃないか、と思ってます。


4月30日の夜公演、5月1日の昼公演、夜公演。
今回行われた、平沢さんのライブに全通してまいりました。ホントは2日目昼だけの予定だったんですが、友達が2日目夜を譲ってくれ、諸々あって初日の方が都合が良くなったためにファンクラブの掲示板で交換して頂き、最終的には2日目夜もチケットをゲットできたため、平日だと言うのに天空橋あたりをうろうろしてきました。初日なんか作業着のまま観に行きましたしね~w

公演内容は、去年行われた同タイトルの公演の再演に近いものでしょうかね。追加になっている部分も有りましたけど、基本は前回公演を下敷きに多少縁取りを濃くした、といった感じでしょうか。
ライブが終わって2日経過した現在、僕むらまさが思うのは、「退屈そうな内容なんだけどな」って事ですかね。僕の平沢ライブ参戦経歴に関して誰かに話すときに、良く話題にあげる「今までで一番つまらなかったライブ」、僕にとっては「東京異次弦空洞」でして、これは演奏される曲が「還弦曲」と分かり切っているために意外性が無くて、全くワクワクしなかったから、なんですが、その方式で言うなら、前回の再演ともいえる今回も同じ感想を持って然るべき、なんですけどね。

滅茶苦茶楽しかったです。

正直、初日にライブが進んでいくに従って、「あ、これ前とそんなに変わらない奴だな」と気付いて、多少は冷めたのは間違いないんですけど、それでもライトの明滅で演奏する楽曲のパターンが変わる演出はとてもワクワクしたし、中央に鎮座まします平沢師匠も、左右にてコミカルに楽しく演奏し踊り演技する会人二人も、観てて全く飽きずに楽しくて仕方なかったですね。
あと、スタンディングのライブってのも良かったですよね。

僕も平沢さんのファンになった時は30歳とそれなりに体力もあり、立ち見だろうとなんだろうと気にせず全力で楽しめたんですが、今はもう48です。体力は衰え足腰は弱っておりますから、会場が発表になってZeppと分かった時は「勘弁してよ」って思ったものです。
同じよう内容の前回ライブは指定席で座って観れましたから、そっちの方が全然ありがたい。

ところが、今回スタンディングで観てて最高に楽しかったのが「声が出し易かった」って事ですね。
指定席のライブ、特に前回は席運が悪くて2F席ばっかりだったのもあり、周りのお客さんも大人しめで、前方席の平沢さんに近いところとは違って熱量もちょっと少な目。
コーラス部分を歌うのが楽しい『Another Day』ですら周りは殆ど歌って無くて、僕も声を出しそびれてしまってちょっと残念、って感じだったんですが、やっぱり立ってみてると体も動くし熱がこもるので自然に声が出ますよね。
歌う気の無かった『時間等曲率漏斗館へようこそ』の「相似形」とか「形而上」の部分もつい声を出して歌ってしまいました。心底気持ちよかったです。
『1778-1985』の「ハイ!(ヘイ?」のところも声出ししたのは自分でも意外でしたが楽しかった!
「パイドゥアーーーーーイ!!」は、叫んでもいいのかな?w 流石に叫びませんでしたが。


とまぁ、3公演すっかり虜になって居りました。

で、同時に平沢さん、凄いファンを楽しませる工夫を惜しまない人だなぁと感心した次第です。

平沢さんのライブは、口の悪い言い方をすれば「カラオケ」、ギターや多少の楽器は生演奏で有るものの、基本的に用意された音源を駆使して進む方式で、僕が平沢さん以外で好んで観る”邦ロック”のアーティスト、マキシマム ザ ホルモンだったり、THE YELLOW MONKEYであったり、10-FEETであったりのバンドの、身一つ、楽器一つのその場の演奏と歌声で盛り上げる、小細工無し(ある場合も多々ありますがw)のライブパフォーマンスとはまた別種のものです。
邦ロックの人たちは、本人たちの熱量が客に伝播して、ただ演奏して歌ってるだけで充分SHOWとして完成してますが、平沢さんのライブはちょっとそれとは違い、音源に合わせて歌うだけだと、本人があまりテンション上げてパフォーマンスをするタイプでは無いのと合わせて、退屈に映ってしまう場合もあるかもしれません。そういうタイプのライブもありました。それを「面白くない」と捉えたことは殆どありませんけど、しっとり目の楽曲を聞きながら寝そうになったこともありましたw

孤高、我が道を行く、どのシーンにも属さない、などと称される事もある平沢さん、オーディエンスに媚を売ることなく、自分を貫いてただ淡々と歌って帰っても許されるアーティストです。
僕はそれでいいと思うし、何しろ師匠は現在70歳の古希ですw
ステージに立って歌ってくれるだけで有難い。十分嬉しいんですが、ご本人はライブ毎に手を変え品を変え、色んな趣向を凝らして、客を楽しませることに手を抜きません。

東京異次弦空洞が楽しめなかったのは僕の好みに起因するものでダメなライブなんかじゃ全然なく、ゲストも居て舞台上も賑やかでSHOWとして完成されていたものでしたけど、その後も、ライブ全体が一つのゲームになっている「インタラクティブライブ」は言うに及ばず、それ以外でもTwitterのフォロワー9万到達を発端とし、「ライブ中に9万回スネアドラムを叩く」と言うパフォーマンスを行い、ステージ上に打数を表示させてオーディエンスの興奮を煽いだ「第9曼荼羅」、フォロワー数24万を観測したことで同じく24万回スネアドラムを叩く(ライブ開催前にもドラマーのレルレさんが路上で叩いてたりしたのもカウントしてる)「24曼荼羅」などは数字が上がっていくのが滅茶苦茶盛り上がったしテンション爆上げで、僕としては平沢ライブのパフォーマンスでは一番好きだったかもしれないレベルで楽しかったですし、まさかの夏フェス参戦!のフジロックへの出演も、野外でテスラコイルを使用して盛り上げたり、兎に角度のライブでも客を楽しませようとする演出に余念が無いと感じます。

また、MCなどを積極的にするタイプの人では無いですが、喋りだせば流暢ではないにしろ、客の要望に応えようと色々誘導してくれてる感じも分かりますし、大体1公演に1回は客が歓声を上げるような事を言ってくれるので、「とっつきづらい人のように見えて、割と観客にフレンドリーな人だな」なんて思ってしまいますねw

斯様に、僕は平沢進と言う人は、ファンを大切にする人だと言うイメージを持ってます。

言葉は悪く、ファンを「馬の骨」「お前たち」などと呼びますけど、やる事成す事、ファンを大切に思う気持ちが伝わってきます。

ステージ上でファンに対して「お前ら愛してる!」とか叫ぶアーティストたちよりも、よっぽど愛情を感じるのですw


というわけで、その気持ちを勝手に全身で受け止めまして、楽しく堪能させて貰ったライブでした。
最高でした。

追加では無い、前回の公演「HYBRID PHONON2566」を一緒に観た親友は、とても楽しんでいた一方で、氏の年齢を鑑みて「これが最後だったらどうしよう」と悲しくもなる、と言ってました。
Twitter、現Xにおいて、ファンと思われる人のポストで、今回の追加公演の、3公演共にラストの楽曲として演奏された『QUIT』の中の一節、「さようなら、それだけです」と言う言葉から、氏からのお別れを予見させられたと受け取り、暗澹たる気持ちになられてるものも見受けられました。

僕は能天気なので、そういう先読みも出来ないし歌詞から歌い手の深い意図を読み取ったりもしないので、それに関して不安を持ったりはしないんで気楽なもので、既に次のライブを期待しております。

ファンを楽しませる事を止めない平沢さんは、きっとまだまだ長生きして、ファンに対するポジティブな感情を歌詞に塗して歌ってくれると信じております。

「動機は有り、存在可能、生存可能、存在可能、行き先は”ここ”!!」

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