三栄町LIVE×劇団おらんだプロデュース公演『4×3』(ネタバレ有)

これから見る予定がある方は、観劇前に読まない事をお勧めいたします。






役者をやっている友人、梅﨑信一のお芝居を観に行く事は良くあります。
数年前、「TOKYO笹塚ボーイズ」さんと言う劇団の『朝の気配』と言う演劇に梅﨑が出演すると言う事で、友達のあずにゃんと一緒に観に行きました。

僕は『朝の気配』が全く受け付けなくて、上演中に辛くて辛くて頭を抱えてしまう始末。しかし、あずにゃんはと言えば「面白かった!」と仰っておられました。


そして今回。やはり梅﨑が出るって事で、表題のお芝居を、あずにゃん含めた友達3人と僕、計4人で観に行ったんですが。

僕は結構満足してニコニコ。
一方、あずにゃんはと言えば怒り心頭、終演後「もう出よう!!」と吐き捨てて劇場を後にしました…。

「全ての人に受け入れられる作品」なんて、作るのは難しいものなんですねぇw



途轍もなく忙しい!とかでは無い限り、うめの出るお芝居は観に行く事にしてます。知り合ってからこっち、彼の出てる作品で見逃したのは2~3個くらいでしょうかね。
ですので、「出るよ~」っていわれりゃ観に行くんですが、今回は直前に大好きなアーティストの”平沢進”のライブが有って気持ちがふわふわしてたので、ちょっとノーマークでした。

平沢さんのファンとして知り合ったYUKIさんと言うお友達が「うめさんのお芝居を観に行くなら是非ご一緒したい」とお声がけ下さったので「あ、やんのか」と知った始末です。まぁ、やるならば観に行きますよっと。

YUKIさんがうめさんを知ってるのは、うめも平沢進のファンだからですね。過去何度も、平沢さんのライブ後の飲み会で同席して既に顔馴染み。
その際に彼がお芝居をやってる事を、YUKIさんは認知して入るんですが、実際に彼の演技を見た事はありませんでした。そのため、今回観てみたい、と。


と言うわけでお連れしたわけですが。


うーん。


はじめての「役者梅﨑」を見せるにしては、演目がトリッキー過ぎましたね…w



僕と、YUKIさん、あずにゃん。そして良く僕のnoteに出てくる親友AKさんの4人で観に行って、AKさんは開演ギリギリに到着、あずにゃんは少しだけ遅れそう…と言う事でしたので、僕とYUKIさんだけ先に合流して、会場の三栄町LIVE STAGEに向かいました。

それにしても、12日日曜日の回。昼間に一回。
13時スタート、って事なんですが、twitter、Xにて貼られてるフライヤーの画像の

※受付開始・開場は開演の30分前。なお演出上、受付開始、開場、開演は同時刻となります

と言う一文が訳わかんね。
12時半に行けばいいの?13時に行けばいいの???

なんとまぁ、日本語の下手なチラシだ事…。なんて思って、まぁ僕らは12時45分くらいに行ったのかな。
着いて受付を済ませると、「席こちらです」と案内されました。なんか珍しいですね。大抵、この手のお芝居は席は自由、適当に座るもんですが。指定席なんですかね。変なの。兎に角、客席で言うと一番後ろの一列に僕ら4人が並ぶ感じで着席しました。

暫く待ってますと、AKさん到着、あずにゃんは間に合わなそうだな~と思ってましたところ、僕らの後ろ、音響照明の機材ブース辺りに居るスタッフ一同がやたら騒がしい。
まだ全員揃ってない!と言う事で、喧々諤々。あ、これもしかしてあずにゃん待ち?遅れちゃうと入れないヤツ(たまにそう言うのありますね)?どうしよう、僕の友達のせいでお芝居が始まらない…。

しかも、劇場の都合上、開演を遅らせられないとかなんとか。切羽詰まってる感じで、いたたまれません。あずにゃんに連絡した方がいいのか、スタッフに事情を説明した方がいいのか?
そうこうしてるうちに、スタッフの方がスマホの電源切って無いと、お芝居の途中画面が光った時にどれだけ迷惑か、とか言う実演を時間つぶしで始めまして、電源切ってくれ!と言われたので、連絡を取ることもかなわず電源オフ。どうしたらいいのやら。
更に時間つぶしなのか、希望者は役者とチェキが出来ます!との宣伝。お値段1万円!!w
誰がそんなもんするんだ?平沢進相手だって1万円は出さねーよw
説明するスタッフも気の毒ですね。勿論誰も居ませんでしたからね。
それにしても、後ろで来る来ないの論争してるスタッフのやりとりが少々ヒステリック気味にも聞こえて居心地が悪いです。良くない劇団だな!!


…これらが全部、開演時間云々も含めて、全て演出だったんですねぇ…w


あずにゃんが来る前に「全員揃いました!」で始まった時には「来てないけど?」とは思いましたが、その後ステージの上で、いや劇場全体で行われていた全ての事象が演劇の一環だったと言うのは、僕は初めての体験で新鮮に楽しめました。

照明がついたと思ったらステージ上で喧嘩を始める役者陣。何の役なんだか、華美な衣装の綺麗な女性が怒ってて、スーツの男性が遅刻したとかしてないとか。ユニフォームの男性がなだめてたり突っ込んだり。

お芝居始まっている、とは思いましたけど、どこへどう向かおうとしてるのか良く分からない。
しかしその混乱こそ、このお芝居の真骨頂だったんでしょうかね。
その後ずっと楽しかったです。


以前うめの芝居を観に行った感想を書いた際、「劇場は、観客を”芝居小屋”からまた別の”物語の世界”へと移送する装置」とか書きました。
「椅子が有ってステージがあるだけなのに、お芝居が始まると”見てる観客と演じてる役者”では無くなり、座ってる椅子の感覚も曖昧になり目の前に居るのは役者では無くそこに居る一人の人物になり、物語に没入していく」みたいな事を言いましたかね。良いお芝居に巡り合えると、そうなる事が有ります。

その時書いた感想の結論は、そのお芝居には全く没入できなくて、椅子は椅子、役者は役者。劇場はただそのまま劇場だった、って事で僕の中の評価としては最低ランク、って評価だったんですが。


今回も、座ってる椅子はそのまま椅子でしたし、役者はそのまま、役者名のままそこに居ましたし、劇場はそのまま劇場。だったんですが。

評価は全然違いました。ステージ上にて繰り広げられてると思っていた演劇が、劇場全体に広がってきた感覚。座っている椅子が、「椅子」として意味が有って、劇場が「劇場」として意味が有って、役者が「役者である」と言う事に意味がある内容。

巻き込み型?のお芝居って言うのでしたっけね。細かい事は忘れましたが、「座ってみてるむらまさ」と言う存在にすら、演劇の中に組み込まれてると言っても良いんでしょうか。
正直僕は、終始ワクワクしておりました。


全体的な内容は、コメディ…でしょうかね。
僕、コメディが好きなんですよね。お芝居では。難しい事にチャレンジしてるな~って。
泣かせる、とかってそんな難しい事じゃない気がして(実際はそんな事無いんでしょうけどね)。怒らせる、不快にさせる、なんかも割と簡単そうに思ってまして。
でも、笑わせる、と言う感情の動かし方をさせるのはとても大変な事だと思ってまして。

なので面白いを追求するお芝居はそれだけで評価上がりますが、今回は実際面白かったかなと。わはは!と声をあげて笑う事は無かったんですが、僕はずっと顔がニヤけていたと思います。表情が緩んでいた自覚が有ります。

その上、新鮮な「巻き込まれ」型の鑑賞は、とても楽しかったです。実際にステージにでもあげられようモノなら怒り狂ってると思いますけどw


ただ。

YUKIさんに見せる最初の「役者梅﨑」としては、とても分かりづらかったと思いましたねぇ。これは巡り合わせが悪いって事なんですけど。
いうなれば、「登場人物名:梅﨑信一(演:梅﨑信一)」って事だったわけで、ステージ上(たまに客席にいたけど)で喋ってるのも「キャラクター梅﨑信一」の演技をしてるわけで、それが「実物梅﨑信一」と違和感なく溶け込んで「4×3」の世界の中の梅﨑として確立してたのは、普段も、それ以外の数多観てきた彼の演じる様々なキャラクターも、観てきた僕としては「こういう趣向でもなかなか上手くやるじゃん」と思えたんですが、初めて見た人は

「なにこれ」

ってなっちゃったんですかね。YUKIさん、「いつ始まるんだろう」と思って暫く観てたそうですw


また、受付して着席した時点から、その世界に取り込まれていた僕は全部楽しめたんですが、都合で少々遅れて来て、名目上の開演時間13時前に行われていた「役者遅れてて始められない」と言う部分の演出を観る事が叶わなかったあずにゃんからすると、作品に入り込むことが難しかったのかな、と思います。それゆえ、ただただ「巻き込まれもせず」、役者同士のやりとりを見るだけ、になってしまったのは勿体なかったんじゃないかなと思いましたね。単純に世界観が好きじゃなかったと言う可能性もありますけどw

ですから、実は僕は終演後に物販を観ても良いかな~?と思ってカーテンコール眺めてたんですが、入り込めなくて不快な気分でいたらしいあずにゃんが「帰ろう!」と言った時の剣幕で「あ、ダメだったんだな」と察しましたし、そういう気持ちも理解は出来ました。見た人すべてが「やられた!おもしろい!」と思える内容かと言えばそんな感じでも無いですからね。


も一つ、終わり方は全く好みじゃなかったです。
「え、終わりなの?」って感じでした。こういう演劇観てると多いですよね、ピリオド打つ部分を曖昧にしてるのw
まぁ割と好きなお笑いのコントなんかでもそう言うのあるので、作品の作り手の方々からすると「あるある」なのかもしれませんが、終わった…?の??拍手…していいの??って困惑するのは、割と多いし、この作品もそうでした。
おーわり!ちゃんちゃん!!ってオチをつけてくれた方が気持ちよく観れるんですけどねぇ。
あと終盤急にポエムを詠みだすのも僕は苦手なので低評価ですね。
それまで繰り広げられてたやりとりに関しては、誇張や演劇的すぎる表現もありはすれ、それなりに血肉の通った人物の台詞と認識できるんですが、ポエム詠みだすと、普段現実で有り得ない事ですから、スン・・・と冷めてしまいます。
ま、好みの問題ですけどね。



後はまぁ…
劇伴として、平沢進の楽曲が沢山使われていたのは、観てて面白かったですかねw
過去にも(うめは関係ないお芝居ですが)、殺陣のシーンで何故かナースカフェが流れるお芝居、大事なキャラクターの独白シーンでワールドセルが流れるお芝居など観た事はありますが、ここまでガッツリ平沢曲が使われてたお芝居は初めてです。

ここにYUKIさんと一緒に来たのも平沢きっかけ、ってかあずにゃんと知り合ったのも、AKさんと知り合ったのも、そもそもうめと友達になったのも平沢進が切っ掛けです。

なので、「うめのやつ、平沢曲使うからこの芝居出たのか!」とか思いましたが、どうやら偶然だったそうですね。
これもまた面白い巻き込まれ方、と言う事でw


うめさんのお芝居を観た後の感想としては珍しく、普通に「面白かったです」。
因みに本来、こういう特殊なやり方は、僕は「嫌いです」。

でも何故か気に入った事に関しては、僕にも良く分からないです。今野さんがお奇麗だったから常時好意的に観てられた、ってだけかもしれませんw
まぁ無理に理由をつける必要なんて無いんですけどね。と言うわけでただただ、好きでした、「4×3」。


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