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素晴らしい日々『浮雲』


『浮雲』

セリフ
(いつかあなたは私を忘れてしまうでしょう)

知らない誰かに知らない何かを
話している気がついてまわる
頭の中から美しいことが増える
「半径メートル世界の中なら
戸惑うことなど何もないよ。
好きにならなけりゃ
嫌われることもないんだし。」

流れる雲になってどこまで行けるかしら?
小さく霞んでいてもあなたを見つけるからね

愛されたいのに愛されないのが
苛立つ気持ちに輪をかけてる
愛想笑いをかみ殺してるのがウザい
「半径メートル世界の中なら
怖がることなど何もないよ。
嫌われなければ
好きにならなくていいんだし。」

苦しくて窓を開けたら日の光で目がくらんでいる
空はいつでも朝になるのに私はここで変わりはしない

流れる雲になってどこまで行けるかしら
あの山を越えればまた海が見えるのかしら

どこまで行けるかしら?

流れる雲になって世界を見下ろしたら
何か始まりそうなそんな気がしてるんだ
世界を見下ろしたら
流れる雲になってあなたのそばにいるね



【解説】
映画『ジョゼと虎と魚たち』という映画好きで、
主演の池脇千鶴さんの演じていた
ジョゼという
キャラクターから曲に出てくる女の子からイメージを貰って、
この曲の頭に出てくる
最初のセリフも映画のセリフからもらったつもりだった。
この、つもりだった、というのは、
「いつかあなたは私を忘れてしまうでしょう」
はそのまま映画のセリフを使った
と思っていたのが、
レコーディング後に映画のサントラを聴いたら
「いつかあなたはあの男を愛さなくなるだろう」
と記憶と全然違ってて、
むしろほぼ真逆でほんとに驚いた。
思い込みって怖いが、
結果的にこっちの方が確実には良かった。
この曲は僕が思う
「女の子とはどんな生き物なのか?」
という問いに対する当時の回答というか、
友達とか人前だとすごい笑顔だったり、
元気だったりするけど、
家で2人でいるといきなり泣き出したり、
ただコップが割れただけで
死にそうになるくらい落ち込んだり、
「どうせ私なんて」と
突然自暴自棄になったり、
かと思ったら
「あなたがいないと私はダメ」
みたいな日もあったり、
当時はそういう不思議な危うい生き物だと思ってて、
そんなイメージを詰め込んだ曲。
曲最初のセリフもその象徴として、
「どうせあなたもいつか他の女にいって、
私のことなんて忘れるんでしょ?」
という
全ての女の子の根底にありそうな嫌味を入れた。
なんで浮雲になったのかは覚えてないけど、
多分「流れる雲になって」という歌詞ができて、
そこから当てはめていったとか
そんなレベルだとは思う。
きっと女の子は
知ってる人に知ってることを話してるのに
知らない誰に知らない何かを話しているみたいな日もあって、
「前はもっと良かったのに」と過去が美化されたり、
周りの友達から恋人との話を聞いて
「私って愛してるだけで、
ちゃんと愛されてるのかな?」
とイラついて、愛想笑いを噛み殺したり、
そんな自分でも不思議に思う程の
複雑な日常を過ごしている。(という想像)
「半径何メートルで測れるくらいの世界で生きていけば、
自分の守備範囲内の出来事しか起こらない。
だから必要以上に苦しむ必要がない。」
もちろんこれはある意味での皮肉だけど、
結構そういうちゃんとしたリアリスト的、
超現実的な目を持ってたりして、
あんま自分にも何かにも期待しすぎない感じも
個人的には女の子という生き物だと思ってる。

あと個人的な部分としては
僕の出身の愛知県一宮市は
近くに木曽川しかなくて、
滋賀の父方の実家の周りは山で、
どちらかというと山育ちの僕は
いつも海に憧れる。
いつでも海が見えると少し嬉しくなる。
「あの山を越えればまた海が見えるのかしら」
は東名高速上りで、
静岡のどこか忘れたけど途中で、
トンネルを抜けると海が見える
あの光景をイメージしてる。

この曲が出来た時、
サビがあるようでない曲だと思ってて、
いいか悪いかよく分かってなかったけど、
昔、
一宮女子短期大学の学園祭で
初めて演奏した時に
「やばい曲を作ったね。」
と見に来てくれたバイト先の子に言われて、
「これ、いい曲なんだな。」
と初めて思った。

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