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リハ専門職が何気なく使う言葉は、対象者にどのような印象を与えるか?

本noteは、リハ専門職を含む医療従事者が、対象者に対して用いている言葉に対し、筆者が常日頃感じてきた違和感の一部を整理したものである。できるだけ多くの方の目に触れてほしいため、端的に整理したいと思う。

今回取り上げたい言葉は、”指導”と”評価”である。

リハビリテーションの領域においては、”退院時リハビリテーション指導”や”退院時訪問指導”、”作業療法評価等”の言葉が日常的に用いられている。
 これらの言葉の出所は、厚生労働省の医科診療報酬点数表や作業療法評価学等にある。たとえば、”退院時リハビリテーション指導”、”退院時訪問指導”という言葉は、医科診療報酬点数表における”退院時リハビリテーション指導料”、”退院前訪問指導料”という診療報酬区分の名称が基である。

さて、筆者がなぜ”指導”と”評価”という言葉に違和感を感じてきたのか。それは、”指導”と”評価”という言葉は、「対象者と医療従事者の間に心理的な上下関係を与え得る」と感じるためである。
 過去、筆者と同じように、”指導”という言葉を対象者に対してそのまま用いるのは適切ではないと感じているであろう先輩がいた。その先輩は対象者に対し、「〜についてご指導させていただきます。」と伝えていた。ただ、”ご指導”という表現では、心理的な上下関係を与えないまでは至らず、日本語としても適切でないのではないかと感じていた。

では、どのような言葉を用いればいいのか。筆者は、”指導”は”提案”、”評価”は”検査”や”調査”という言葉を用いていた。
 具体的には、退院時リハビリテーション指導であれば「退院後のリハビリテーションについてのご提案」と伝え、退院時訪問指導であれば「退院時にご自宅に伺って行う必要なご提案」と伝えていた。また、作業療法評価であれば「作業療法の計画を立てるための検査」と伝え、家屋評価であれば「ご自宅の段差や動線などの調査」と伝えていた。そして、お渡しする紙面上の表現も、上記のようにしていた。

上記は、あくまで筆者の感性による工夫である。同じ配慮を強要するつもりもない。ただし、医療従事者は配慮しているつもりでも、対象者は心理的上下関係を感じやすい。それは、自身や家族が医療を受ける立場になるとよくわかる。
 本noteが多くの人の考えるきっかけになれば幸いである。

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