海の見えるサウナ
つなかんから手紙が来た。
なにかと思ったら、クラファンのお礼状だった。
つなかんが、「海の見えるサウナ」をつくりたい、
とクラウドファンディングを立ち上げた。
たしかに、大きな防潮堤ができてから、
つなかんからの眺めが変わった。
目の前は小さな入江だけど、漁船が並んでいて養殖の筏が浮いていて、
このあたりに住む人たちの毎日の営みが感じられる風景だった。
岩手県の久慈から宮城県気仙沼の唐桑に嫁いできて、
漁師のじいちゃんとケンカしながら、
ばあちゃんと助け合いながら、
大好きなとうちゃんと子どもたちといっしょに家庭をつくってきた。
そうした思い出がつまった海の景色は、
同時に、大好きなとうちゃんと娘を奪った海につながるところでもあった。
つなかんのおかみさんの一代さんにとって、
一時期は正視できない、忌まわしい海だった。
だけどそれを乗り越えて、
海が見えるところに、みんなが楽しく集える場所をつくりたい。
それが夢だった。
黙読会で本を読んでいたら、
イギリスの元首相マーガレット・サッチャーの言葉に出会った。
運命は何につながるのか、考えてみる。