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むにみずべ 北海道編02 五稜郭手漕ぎボート一周

まだ少し先ですが、北海道の春を彩るこちらのむにみずべ、知っていますか?


ゴールデンカムイのキーパーソン土方歳三の最期の地

ゴールデンカムイ、ご存知でしょうか。漫画でもアニメでもはたまた映画でも良いですが、脅威的な面白さなので是非ご覧ください

舞台は蝦夷から北海道になる明治時代。アイヌがまだ多く生き残りつつも、軍事や農業などで、続々と入植者が相次ぎ近代化の波に晒された時代です。
アイヌ民族と、武士の生き残り土方歳三、そして明治政府の軍部という三つの時代を超えた登場人物が、隠された黄金を追って北海道中を旅する魅惑のストーリー。物語の随所には日露戦争直後のキナ臭いロシア帝国もふんだんに描かれます。

北海道大学出身、北海道観光マスター検定を取得し、アイヌ語授業も履修、第二外国語はロシア語選択、ちゃっかりロシアに短期留学までして、かつ無類の歴史好きであるムニには刺さらない訳がない。黒ひげ並に全方位から刺されまくりの、もはや運命的な漫画です。

さてそんな最高の漫画のキーパーソン土方歳三、劇中では老体ながら黄金めがけてピンピンしてますが、史実最期の地は函館の五稜郭です。

多摩で生まれた土方歳三は、近藤勇と共に将軍家茂の護衛のため上京。新撰組を組織し、治安維持にあたりました。戊辰戦争が始まると旧幕府軍として徐々に北へ移り最期は五稜郭に立て篭もった剣客です。


中世城郭と近代要塞

中世ヨーロッパの雰囲気を残す
エストニアタリン旧市街も城壁で囲まれています

中世までのヨーロッパでは、城壁は円形にそびえ立ち、向かってくる兵隊を上から押し返すのが基本でした。
それが火薬を使った重火器が発達してくると、高い城壁がいとも簡単に壊されるようになり、円形ではなく周囲に突き出した稜堡(りょうほう)が、城の周囲全体を射程内にカバーできる設計が基本となりました。そして標的となる高い塔をなくして低く守りに徹した要塞、星形要塞が生まれます。

日本でも幕末にフランスからこの設計がもたらされ、突如日米和親条約で開港された函館に実現したのが五稜郭です。論理的に生み出された究極の軍事要塞が、まさかの可愛らしい星形
五稜郭☆
と書くと一気に緊張感がなくなります。


旧幕府軍最期の地 五稜郭

これが軍事的な形って言うんだから、良いですよね。

日本版の南北戦争とも言える戊辰戦争は、京都から始まり関東甲信越を経て北へ。宇都宮や会津、東北各地を戦火に巻き込んでいく内戦でした。
敗戦が続く旧幕府側が最後に立て籠ったのがこの五稜郭。近代要塞を持ってしても物量に勝り、艦隊からの砲撃も行った新政府軍の前に降伏しました。

最高にキナ臭かったこの場所も、星形の可愛さの前に、徐々に戦争の面影から史跡として憩いの場へと変わっていきます

練兵場として使われつつも濠の水を函館氷として売り出し、大正時代(1913年)には五稜郭公園として一般開放、10年かけて桜の植樹がなされました。そしてすっかり桜が植えられた頃、濠の横にある店が開業しました。

今に続く老舗、野田貸ボート屋です。


星形の濠を一周する(時間制限付き)

濠で手漕ぎボートは数多あるものの、この星形の濠で一周できるのは間違いなく五稜郭だからこそのむにみずべです。

そしてこの一周できるからこその注意書きが多いのがまた面白い。レンタル50分と設定されていながら、経験者で一周30-45分程度との怖めの記載。実際追加料金を払う人も多いようです。漕ぎごたえは十分です。

あ、まぁね?
ムニはあらゆる場所で漕いできましたら?
下半身の力も使ってガンガン漕げますので、ぜーんぜん余裕ですけどね。

それでも
一つ目の稜堡、星形の先端を回る時は楽しかったですが、
二つ目には、これが後4回同じかと気がつき、
三つ目には、Googlemapで星形の濠を漕いでいる面白さで自分を鼓舞し、
四つ目には、なぜこんな出っ張りを作ったんだと思い始め、
五つ目の記憶はありません。

そんな現代の戊辰戦争とも言うべき、自分との戦いですが、春に訪れれば幾分その美しさで戦いを忘れられるかもしれません。
そう、五稜郭は最北端のソメイヨシノの名所なのです。


花筏に囲まれる星形の五稜郭

面的にたくさんのソメイヨシノが植る

函館は道南などと呼ばれ、北海道の中では最南端ですが、それでも北の大地ですので、桜が咲くのはゴールデンウィークの時期
まだ肌寒いことに加えて、ボート屋から遠い3つ目の稜堡辺りまで行けば、そこには濠の一周を志す選ばれし者達だけが辿り着く最果て。

そんな静かな水面には綺麗な花筏が出現します。一面のピンクの水面を滑りように進むと、物語の一幕のようにも感じます。

五稜郭といえば一番有名なのは五稜郭タワーから見下ろす記事冒頭の写真ですけどね。その星形を身をもって体験できるのは、どう考えてもこの手漕ぎボートでしょう。

以上、土方歳三もびっくりの、選ばれしものだけが楽しめる奇跡のむにみずべ、
五稜郭手漕ぎボート一周でした。

体験できるのはこちら、野田貸ボート屋です

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