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むにみずべ 岐阜編01 大垣たらい舟

岐阜大垣のゴールデンウィークと言えば、
「その街らしさ」を作り上げた春の風物詩。
これ知っていますか?

トップ画像 : 大垣観光協会HPより


天下分け目の前夜祭

一番ぽい写真だった 長宗我部さんの銅像

1600年、戦国の世となった16世紀のちょうど終わりの年、関ヶ原の戦いでの勝利によって徳川時代が本格スタートしました。

加藤清正、福島正則の猛攻、石田三成の大筒と過ぎたるもの島左近、小早川秀秋の裏切り、大谷吉継の仁義、毛利の空弁当、島津の引き口…

もうたった1日とは思えないほど、お腹いっぱいの関ヶ原。
歴史好きには何度読んでも、何度観ても、もっと知りたくなる戦国乱世のクライマックスです。

と、その前夜、負けた西軍側が本拠地としていたのは大垣城でした。

関ヶ原の前哨戦、唯一西軍が勝った杭瀬川の戦いから部隊が戻った時は、どれだけ士気が上がったことでしょう。
そんな天下分け目の前夜祭があった場所が、大垣城なのです。

なぜ前夜祭会場に大垣城が選ばれたかといえば、水陸の交通の要衝だったからです。


文七が支える水都大垣

大垣の船町湊

水都と呼ばれる大垣。
木曽三川(揖斐川・長良川・木曽川)から太平洋までの広大な舟運ネットワークを持つ、船町湊が表玄関でした。

このネットワークで特に有名なのは、伊勢(現在の三重県)の桑名との間を行き来した舟
あの、旅行し過ぎて、俳句を読み過ぎて、歴史に名を刻んだ松尾芭蕉が、旅を終えたのも、ここ大垣から桑名への舟に乗る時でした。

さらに水都らしさを醸し出すのは、水まんじゅう。川の流れだけでなく地下水も豊富な大垣。

店頭で冷やされている
水まんじゅう

今に続く老舗和菓子屋、餅惣の上田文七さんが、明治時代に地下水を活かしたお菓子として作ったのが始まり。今でも市内には店頭で流水で冷やされた水まんじゅうを見かけることができます。

ちなみに、町にはこんにゃく屋の文七さんが、大垣初の掘抜井戸を掘った記録も残ります。
水都大垣は、文七が支えている訳です。

しかし残念ながら、今回のむにみずべは、
文七ではなく、ああむ(お庵)さんが主人公です。


おあむ物語

松を伝ってたらい舟で逃げるおあむ

前夜祭の盛り上がりをよそに、関ヶ原で西軍は大敗、西軍側の大垣城も包囲され落城します。そんな中、一人の若い娘さんが城を脱出しました。父や母、家族と共に籠城していた、おあむです。

堀の横にあった松を伝い、たらいに乗って遠く土佐(今の高知県)まで逃げ延びたと言われています。(途中からは陸路だと思いますが…)

この物語は、江戸の初めに戦国を生きた老婆から昔話を聞くというもので、
戦乱の世と、泰平の世は、同じ人間が生きているんだな、と改めて感じさせます。

さて大垣市は、この物語から、観光イベントの目玉として、たらい舟を復活させました。


水都おおがきたらい舟

大垣観光協会より

そして生まれたこちらのイベント。素敵ですね。

新緑のゴールデンウィークを迎えた水門川を、20艘以上のたらい舟が連なる風景は、イベントとしての歴史自体は浅くとも、ここにしかない唯一無二の体験です。

水門川にはセキショウモと呼ばれる水草が生い茂り、上の下も新緑に包まれる川下りです。


たらい舟を使う、水都大垣の案

たらい舟の文化を持つ地域はいくつかあり、有名なのは佐渡島です。(はるか昔、高校時代に行ったのでいつか記事にしたいと思います)

しかし、岩の入り組んだ海岸地帯での漁業用に、小回りのきく舟として使う佐渡と異なり、
大垣では街の中心部でたらい舟に乗ることができます。
さらに水門川は非常にゆったりと流れ、水面近くでのアクティビティにも適しています。

と言うわけで、この唯一無二なたらい舟を活かすイベントを勝手に考えてみました。


水都おおがき 段木灯りのたらい舟

大垣藩は船町湊を有し、揖斐川水運を掌握していました。揖斐川で運んだ特徴的な荷物は段木(つだ)です。年貢として納めていたこの薪材を、つだ、と呼ぶのは大垣藩独特のものです。

そこで、この段木をイメージしたウッドキャンドルを水門川沿いに設置し、夕方から夜のイベントとして、行うのはどうでしょう。

夜のイベントは宿泊にも繋がることが多く、市内や近隣の温泉と一緒に観光客の滞在時間を伸ばすことも出来るかもしれません。


水都おおがき たらい出前舟 
Uber Eats boat??

お弁当を持った船頭があなたの川床まで出向く

続いて昼の提案は、たらい舟による出前。

水辺の活性化に沸く昨今では、京都だけでなく全国様々な場所に川床が設置されるようになってきました。

しかし、川床と舟が共存できる水辺はまだありません。

大阪や東京のような河口付近では、川が大きく堤防も高いので、川床が水面から離れ、船を使ったアクティビティが難しい。

対して貴船や長門温泉のような上流の川では、川床が水面近くに設置できるものの、今度は水深が足りず舟が通せない

その点、大垣の水門川では、たらい舟が通れるだけでなく、既に川沿いにはテラスが設置されイベントが行われることもしばしば。

大垣市HPより
水門川沿いのかわまちテラス イベント写真

こうした川沿いの席に、たらい舟でお弁当などをお届けするたらい出前舟。

都市の中心で、水面が近く、たらい舟が行き交う大垣だからこその風景になるのではと、ふと思ったところです。
Uber eatsなどと連携すると広告効果も良いかもしれません。Uber Boatsか、Uber Eats boatですかね。

以上、ゴールデンウィークを代表するむにみずべ、大垣たらい舟でした。
年によっては秋も行っているので、ぜひ行ってみてください。

いつか出前舟もできると楽しそうですね。

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