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原田慶太楼&大阪教育大学シンフォニックオーケストラ

【過去の演奏会より】

日時:2023年11月2日(木)19時から
場所:ザ・シンフォニーホール(大阪)

指揮:原田 慶太楼(客演)
ヴァイオリン:水谷 晃
管弦楽:大阪教育大学シンフォニーオーケストラ

【演目】

・ヴァルディ作曲 歌劇「運命の力」序曲
・ブラームス作曲 ヴァイオリン協奏曲ニ長調作品77
・ドヴォルザーク作曲:交響曲第9番ホ短調作品95「新世界より」

大阪教育大学音楽コースの定期演奏会に出かけた。自由席で1階のベストポジションで聴けた。プログラムを見ると100名を超えるオーケストラで、学生の数も多く、充実していると思った。

なんといってもこの日は、初めて見た指揮者の原田慶太楼さんに尽きると思う。腕や指揮棒が何重にも見えるくらいの速くて情熱的で縦横無尽の動きに、よく上着が破れないなぁと思った。でも体の軸や頭はブレていなくて、重心の安定したとてもいい指揮ぶりだと思った。

彼は序曲が終わると「学生の情熱はすごい」と話していたが、音楽に対する情熱は学生たちをはるかに超えていて、指示はとても細かく、時には指揮台を踏み鳴らす音が聞こえるほどの気持ちの入れようは、観る音楽としても楽しくワクワクさせられ、彼の音楽をわかりやすく表現していると感じた。こちらまで乗せられる指揮ぶりだった。ステージマナーも今までにないもので、好感が持てた。とても有能でレベルの高い指揮者だと思う。それだけに彼に応えるには相当の技術力、練習量が必要だと思った。

また、新世界交響曲では指揮者のこだわりが特に強くて、第一楽章提示部の繰り返しの部分の2回目を1回目とはまったく違うテンポや抑揚で演奏していたのは、これも今まで耳にしたことのない新鮮な感じを受けた。既成概念にとらわれない指揮者の姿がここにもあった。ただ、多くの場所でのあまりのテンポの速さや従来の演奏とは違う曲想に、オーケストラは持て余し気味だった。でも、将来を嘱望される音楽家や教員の卵の教育としては、とても刺激的で素晴らしいものだったと思う。

ヴァイオリンの水谷さんはプロオーケストラのコンサートマスターだけあって、ソリストというよりもオケと一緒に音楽を作る意識が強い感じで、ヴァイオリンがオケの音とよく馴染んでいた。ところどころ音が埋もれた感じもしたが、見事に難曲を弾き切っていた。

大阪教育大学シンフォニーは、よい指導者を迎えて指導を受け、たくさんの舞台でのコンサート(教育活動)を大切にされていると思った。恵まれた環境でこれからも更なる活躍を期待したい。

どのオーケストラにも言えると思うのだが、ザ・シンフォニーホールはとてもいい響きがするホールなので、金管や打楽器がホールの音響や音色を考えないで爆演すると音が潰れたり楽音とは言えない音になり、せっかくの音楽を壊してしまう。おそらくリハーサルの時よりも客席が埋まると響かなくなるからだとも思う。いい楽器は取り扱いも難しい。ホールも楽器と考えて本番の音作りをする必要があると、最近よく思う。

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