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ノルウェーの市民図書館はどんなところ

図書館のイメージ。例えば本を読むために、静かに、飲食禁止で、学校のような硬いイスとつくえが並んでいるようなところ。本を読むか学生時代の自習くらいでしか寄り付かなかったところ。ちょっと厳しくて、すぐに注意が飛んできちゃう場所。

そんな固定観念がノルウェーの市民図書館で覆された。まず、みんな自由になにかを食べている。私の横で勉強していた学生は、ピザを食べながらパソコンを叩いていたし、親子でバナナやお菓子を食べている人もいる。あまりに自然なので、逆にびっくりして二度見してしまった。

どうやら、子供用の食事エリアがある!

そして遊び場が多い。例えばボードのホッケーがあり、たくさんのボードゲームがあり、子どもの声が絶えず聞こえている。そして別に子供用のものだけではなさそうな場所にもボードゲームはあって、くつろげる場所であることが前提になっている。

体感で5割以上がパソコンを叩いていて、3割が子ども連れ、1割が寝ているとかスマホをしているとか。本を吟味しているのは1割に満たなそうだ。こんなに本がある空間なのに、本を読んでいる人以外の人権がめちゃくちゃある。これもすごい。

日本でも自習室として使う人はいるけれど、こんなにも作業することが許されているのは、大学の図書館かカフェくらいな気がする。本に目もくれずにぱたぱたキーボードを叩いていたら、適度な時間でやめて本を読む人に譲ってくださいねと言われかねない。私の地元の図書館はそもそも席数が多くないし、パソコンが使える部屋など限られていた。みなさんの周りはどうだろう。

図書館が市民の生活にすごく馴染んでいるんだろうなと思う。まず施設が充実しているし、席数に限りがあるから〜とは絶対にならないキャパがある。座れる場所にもいろんな種類や用途が準備されていて、机に向かうものだけじゃなくて床に寝そべったりただ寛いだりが許されている。北欧の地で、暖かいオープンな場所が誰にでも無料である意味はとても大きいんだろうと想像する。

私が図書館に来た理由は、本が好きなことは前提で、でも雨宿りがメインだった。寒くて観光どころじゃないけれど、最終日にホテルの自室に籠るのも違う気がしたのだ。市民図書館なら雰囲気を感じるだけでもいいし、北欧なら建築もきれいかなと期待していた。

ショッピングモールかと思う一階

でも、そんな私も全く浮いていない。それどころか、雨の日の市民の憩いの場というか、そういう場所として受け止められている寛容さを感じる。いつからかわからないけれど無防備にソファで爆睡している女の子もいる。老若男女がみんないる。なんなら図書館の中の映えスポットで写真撮影に勤しむ人もいる。私も席を見つけてこの文章をスマホに打ち込んでいる。

アートも飾られている

こんな場所が近くにあったら、私も彼との資格勉強の拠点をここにするだろうな。子どもたちがのびのびと過ごしているのも、とてもいい。彼らは気が向いたら本を手に取って、そうでなければ何か別のことをしている。隣のカップルがたまにハグをして軽く励ましあったりしながら(言葉がわからないので想像)、長いレポートを書いているのもいい。

図書館という教育に密接に絡む公共施設が、ここまで寛容で親しまれていること。本好きとしてはバナナの皮が本の横にあると怖くなってしまうこともあるけれど、でも素敵だなと思う。親子がにこにこと声を出して読み聞かせをしているところや、子供がビデオを映す壁に走り寄っていくところ。それと仕事をする人がゆるやかに共存するこの場所の豊かさに、日本から飛び出て二日の私は憧れずにはいられなかった。

追記)お土産屋さんまでついていたので、ついポストカードを買ってしまった。

貸出カードのポストカードを思わず買ってしまった。


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