旅のはじまりは、曖昧で、そしていつも少しさみしい。
金曜21時の成田は、ばらばらとまだらにグループができ、想像したより空いていた。保安検査のレーンも半分しか空いていないのに、5分程度でするりと抜ける。日本人より海外の人が多く見えたのは、気のせいではない気がした。
保安検査場の前の人だかりに、少しだけ気持ちが焦る。ところが近づくと、実際には列すらできていなかった。「頑張ってね」「ありがとう」「遊びに行くね」「また会おうね」そんな言葉が行き交っている。そういえば卒業のシーズンか。旅立つ人たちを、それよりもずっと多い人たちが送り出