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インディゲーム『そこへ向かう』と、コーチング

コーチングに熱心なデザイナーです。

数名の方と個人的にコーチング契約をさせてもらっている中で、自分の弟ともコーチングをしています。

弟は、スマホアプリなどを制作する会社でプログラマーとして修行を積んだのち独立し、今は個人でゲーム制作をしています。やりたいことに全力で打ち込んでいる充実感がある一方、人とコミュニケーションを取る機会は少なく孤独な環境でした。
ぼくは、そのような環境ではなにかと行き詰まることもあるのではないかと考え、ぼくからコーチングの提案し、今に至ります。

弟とのコーチングは、2021年9月からスタートし、
かれこれ2年半になります。

そんな彼の作品が、2023年3月にSteamより発売されました!

このコーチング関係において、作品がリリースされることはひとつの到達点でした。いい節目なので、彼にも軽いインタビューをし、「いちクリエイターとのコーチング」「兄弟という関係性でのコーチング」について言葉にしてみようと思います。


コーチングにできたこと


1. クリエイターは孤独

ぼくから「コーチングをしてみないか」と提案をした頃、彼に大きな悩みがあったわけではありません。それでも、前向きコーチングを検討してくれました。

彼がメリットに感じたのは「自分の考えていることを、人に言う時間にできたこと」だったそうです。

いづれ世に発表するゲームをつくっているので、現在進行形の制作話を軽々に人にするわけにもいかない。まだ脳内でまとまりきっていないことも、自分の中だけで反芻して、かたちにしなくてはならない。
それらを吐き出す機会が得られることを、喜んでくれました。

考えていることは言葉にしていくだけで、自然と整理されていきます。また、話をしている中で、今まで思ってもみなかったことが口から出て、「自分ってこんなことを考えていたのか」と気づきを得ることもあります。いざコーチングを受けてみて、明確にその効果を実感したようです。それが現在もコーチングを継続する理由のひとつになっています。

彼との1回のコーチングセッションは30分に設定しているのですが、時には25分間ひとりでずっと話し続けることがあります。ぼくが口を挟む余地なく、自問自答を続けます。孤独なクリエイターにとっては、この時間も大事な時間になるのだと思います。


2. その人の正解は、一般論的な着地とは限らない

彼の制作のスタイルとして、「作業場にゲームを置いておいて、制作作業とゲームで遊ぶを行ききしながら、物事を進める」というやり方がありました。

一般論で考えれば、「制作に集中せず、遊んでいる時間をとりすぎ」とも見えます。実際、彼もコーチングを始めた当初は「ついつい作業中にゲームをしてしまう」「それを辞める気はないけど、う〜〜ん」といった言い回しでそのスタイルについて言及していて、自分にとって大事な印象はあるけど、理由もなく罪悪感があるといった具合に話していました。

そのスタイルについて、コーチングセッションを繰り返し何度か向き合い考えることで、だんだんと捉えるニュアンスが変化していきました。

まず「この制作スタイルをやめると、制作作業も進まなくなること」がうすぼんやりとした印象から、確信へと変化しました。そして、「インプットとアウトプットを交互に繰り返していること」「プログラムをしている時にはこのゲームだと良い、イラスト制作している時にはあのゲームが良い。作業の種類によって、横に置いておくゲームを変えると調子が良くなる」などの気付きが生まれました。
だんだんと、「この制作スタイルは、自分にとって必要不可欠なもの」なのだと自信をつけていきました。

彼が言うには、「これはネットサーフィンでは辿りつきにくい答えだった」と話してくれました。スタイルは人の数だけあり、それとどう付き合っていくのかが大事なポイントなのだと思います。

兄弟という関係性でのコーチング


まず前提として、ぼくと弟はすこぶる仲がいいと言うわけではありません。会えば楽しく話もしますが、共通の趣味を一緒にやったりお酒を飲みにいったりということは一切ありません。わりと普通の兄弟の距離感です。

コーチングの提案から最初の一回二回のセッションくらいまでは照れくさい感じがあったのですが、現在はクライアント(※)の一人という感覚です。今回弟にもインタビューして、彼も兄としてではなくコーチとしての関係性として話をしていると語ってくれました。

(※)クライアント… 契約をして、コーチングセッションを受ける人

コーチングにおいては、質問をすること(コーチ)とそれについて真剣に考えること(クライアント)でより考えを深めるシステムこそ大事であり、コーチとクライアントの人間としての関係性はあまり重視されないという考え方があります。

つまり、家族であれ友人であれ、コーチングの場においてはあまり気にならないというのが、今のぼくの体感です。


『そこへ向かう』


最後に少し宣伝を。
そんな弟の作品がSteamで購入できます。ワンコイン作品なので、よければぜひ買ってみてください!!

さいごに


今回、記事を書くにあたって簡単なインタビューをしてみました。
自分の思い上がりだけではないかたちで、文章かけたことに、ひっそり嬉しく思っています。

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