願望とは捏造である

あなたを苦しめているのは現実だろうか。
「何を言っているんだ。当たり前だろう。厳しく辛い現実があるから、わたしは苦しい思いをしているんだ」
誰ともなく聞いてみても、そこにいる誰ともなくこんな答えが返ってくるだろう。
あなたの言い分はわかる。しかし、実際にそうだろうか。

「再び何を言っているんだ。金があって、理想の仕事についていれば、こんな思いしなくて済むはずじゃないか。」
わかった。わかった。
あなたの言い分はシンプルだ。つまり「願望が実現していればいいのだ」。再びつまり「願望が実現していないから、こうなのだ」。三度つまり、あなたは叶っていない願望(状況、現実)をみて自身の状態(気持ちや感情)を決定している。

ここでなにか気づかないだろうか。どこにもないものがあるのだ。なぜか、存在しないものを目の前に置いて、ああでもないこうでもないとやっている姿がある。あなたの目の前にそれはないのに、そのないものがやはり「ない」から、あなたは自分が苦しいという。果たして、あなたは気づいただろうか。そこにないものに。なぜあなたは「ないものを通して」世界を見ることをやめられないのだろうか。なぜあなたは「ないものを通して」自身の状態を決定してしまっているのだろうか。単純なトリックに騙され続けている。あなたは捏造しているのだ。なにを?願望というものを。あなたは自分で捏造したものに気づいていないのだ。あなたは自ら「ない」ものを発明して、それを通して世界をみるようになった。「ない」ものは、そこにないが故に、あなたを苦しめた。あなたは口々に願望を実現したいのだと言うようになった。あなたは何度も願望について考えるようになった。それはそこにないのに。あなたはそれでも、「それはそこにないから考えるんだ!」と言った。しかし、それはそこにないのである。
願望はそこにないから、願望なのである。願望は、あなたが捏造した現実なのだ。あなたは願望によって悪夢をみていることに気づかない。あなたから願望さえ取り上げれば泣き止むのに、あなたは願望をつかんで離さないのだ。強く握りしめて、泣き叫んでいるのだ。「この願望が叶わないと嫌なんだ!」と。
あなた泣き止まない。願望はそこにはないからだ。あなたが捏造したものであるから、願望はそこにはないのだ。あなたは願望が「ない」ものであることに気づかない。あなたは願望を捨て去ることができないのだ。だから、あなたは泣き止まない。願望を取り上げたらもっと泣いてしまうと、あなたはきっと思っているのだ。

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