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ダークブラッド外伝がリリースとなりました。

ダークブラッドシリーズの最新作をリリースしました。
その名も「ダークブラッド外伝」
構想半年、制作期間10ヶ月の大作です。(自分的に)

https://apps.apple.com/jp/app/id1593018979

https://play.google.com/store/apps/details?id=com.toihaus.gaiden

なんでダークブラッド3にしなかったのかというと、3というナンバリングになると、やっぱり2の続編というイメージが出てしまい、2をプレイしていない人が敬遠してしまうのではないかという懸念、そしてストーリーをモリモリ盛り込んだ2を受け継ぐとなると、ストーリーテキストが膨大となることからローカライズが難しくなる、という理由からです。

とはいえ、ダークブラッド外伝はシリーズ最新作らしく、それまでの良い点と悪い点を参考にしながら作りました。

よく「パート2はコケやすい」という噂を耳にします。
よく見られるのは、パート1で人気だった要素をあまり重視せず、新たな要素を詰め込みすぎたせいで「コレじゃない」感が出てしまって、ヒットしないというパターンですね。(映画でいうとロボコップ2、スピード2、アナ雪2などなど)

ダークブラッド2の教訓


ダークブラッド2も制作費は回収できましたし、評価も高めなので失敗ではないんですけど、前作ダークブラッド1の半分にも満たない売り上げだということを考えると、商業的にはコケたと言えるかも知れません。
しかし、ダークブラッド2を作ったことで、学んだ教訓はたくさんありました。むしろダークブラッド1よりも多かったかもしれません。成功より失敗で学ぶことは多い、という言葉は真実だな。と思います。
では、自戒を込めて、反省点とそれを受けて外伝ではどう作ったのかを書いていきたいと思います。

反省点その1 ストーリーを詰め込みすぎた

ダークブラッド1では、ゲーム開始時に大まかなストーリーをプレイヤーに伝えるくらいに留めていましたが、ダークブラッド2ではゲームを進めていく中でストーリーがわかっていくというシステムにしました。
特定の時間にある場所に行かないと会えない人物がいるとか、会話で特定の選択肢を選ばないとラストステージに行けない、などという風に、何十個というフラグを立てまくりました。


簡単なストーリー説明だけの1(左)
2(右)では様々な人物に話しかけたり、時間を遡ったりしなければストーリーが進まない。


しかし、ダークブラッド1を楽しんでくれた多くの人はレビューを見ても、深いことを考えなくてもゲームが進んで、気持ちのいいバトル(ハクスラ)をサクサク楽しめるのがいい。という意見が多く、ダークブラッドにストーリー性などは求めていなかったのです。
ハクスラ(Hack&Slash)というジャンルはスピード感と爽快感が命なので、何かをしないと先に進めない、といった推理的な要素はストレスでしかないのです。
そのような反省から、外伝では、ストーリーをあまり全面に押し出さず、謎などを解かなくてもどんどん進めるようにしました。
2ではフラグ管理が複雑すぎて、イベントが発生しないバグが1つでもあると、全部のフラグを確認して影響がないかチェックせねばならず、ノイローゼになるんじゃないかってくらい大変でした。そういうのが好きな人じゃない限り、ストーリー分岐のような技はお勧めしません。

反省点その2 ローカライズ展開ができなかった

先ほどの反省点にもつながるのですが、ストーリーをたくさん用意したせいで、ダークブラッド1では10万字程度だったテキストが、2ではその3倍のボリュームになりました。そうなるともちろん翻訳にかかる費用も3倍になります。これは個人開発を行っている私たちのような小規模のスタジオにとってかなり痛いです。ローカラーズが重要だと知りながら、費用対効果を考えて英語にしか対応できなかったのは、見通しが甘すぎたとしか言いようがありません。
外伝はテキスト量が1と同じくらいなので、英語、中国語、スペイン語、フランス語などへの早期対応ができそうです。

反省点その3 システムを複雑にしすぎた

ダークブラッド1のステージは、ただひたすらダンジョンを突き進んでいくだけの一本道でした。
ですが2ではダンジョンをもっと探索したい。という要望に応える形で、ダンジョンをいくつも用意し、そのダンジョンも途中で分かれ道や行き止まりがあるという作りにしました。
それだけを聞くと、かなり面白くなったんじゃないか?と思われるでしょうが、ダンジョン探索というジャンルはとても奥が深く、単純に分かれ道があるだけでは面白くないのです。
ウィザードリィや世界樹の迷宮などでは、オートマッピングでマップが生成されますし、転送の罠や隠し通路などの要素が散りばめられることで、複雑なダンジョンの深みが増します。ただ分かれ道を作るだけでは、ストレス要素を増やすだけになってしまうのです。
なので、外伝では分かれ道や行き止まりをなくしました。ただそれでは面白味に欠けるため、舞台を塔へと移し、登ったり降りたりすることに加え、塔の中に入るという要素も追加しました。
塔の中にはモンスターやイベントが待ち構えており、中に入らないと何が起きるかわからない、といったスリルを味わえるようにしました。
また、そのようなシンプルな構成なので新たなイベントを追加するのもやりやすく、メンテナンスも容易になりました。

一本道のダンジョンを進むだけの1(左)
ダンジョンの分かれ道や階層がある(中央)
進む、戻る、部屋に入るくらいしか選べなくした外伝(右)

このようにダークブラッド2の反省は、新作のダークブラッド外伝に生かすことが出来ました。もちろん外伝でもまた様々な問題が出てくると思いますが、それらの改善を少しずつ行っていくしか道はありません。

それにダークブラッド2も悪いことばかりだったわけではありません。いくつも収穫はありました。例えば

最大の収穫 世界観を継承できた

これはシリーズ化して良かったことの1つで、1作目で好評だった世界観を崩すことなく、引き継げたことはユーザー離れを防ぐ意味ではすごく良かったです。
よく、映画などで続編が失敗するのは、それまで大切にしていた要素をあっさりと壊してしまう(ちゃぶ台返し)をやってしまい、それに愛着を持っていたファンが冷めて離れていく、ということをやってしまうことが多いです。
ダークブラッドの場合は、特定の主人公的なキャラクターなどはいないため、暗黒の血をめぐるダークファンタジーの世界観こそが、このシリーズのDNAだといえます。そのDNAを引き継げたことは大きかったです。2で崩していたらきっと外伝は作りにくかったでしょう。
世界観を構築する上で重要な要素の一つはグラフィックだと思います。ドラクエの鳥山明、FFの天野喜孝など、シリーズを通して同じグラフィックデザイナーにお願いするのは、世界観を最も伝えられる要素がグラフィックだからです。
ダークブラッドはドット絵クリエイターの銀親(@ginoyahutaushi)さんにお願いしましたが、1、2、外伝と携わっていただけたことは幸運でした。

また、2ではカードバトルに行動コストの要素を追加し、強い技を使うには行動ゲージを溜めないといけない、というシステムを採用しました。
外伝ではカードバトルではなくコマンド選択バトルに変更されましたが、行動コストの要素はそのまま流用され、バトルシステムの重要な骨格となっています。

ダークブラッド1が想像以上に成功し、2が想像以下でしたので、外伝は想像以上の成功になるよう祈っていますが、ゲームはリリースした時こそがスタートで「俺たちの戦いはこれからだ!」状態なので、また半年くらい経ったら、成功だったか失敗だったか書こうと思います。

ゲームへのご意見はいつでも受けておりますので、TwitterへのDMでも構いませんから、お伝えいただけると嬉しいです!



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