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3級記念日

「ついにやったね」と君が言ったから
二月十八日は
3級記念日。

ついに。

昨年、1回目の緊急事態宣言が明けた初夏の頃から、マイペースに通い始めたボルダリングジム。

岩場に行って、あまりにも登れなくて悔しくて、ジムに通って練習して、また岩場でコテンパにされ、悔しくてジムに行って・・・。そんなこんなで多少の波はありつつも、山とちがってジムは平日仕事帰りにもサクッと行くことができるから、手軽に身体を動かすことができ良い気分転換にもなる、なんて思いながらぼちぼち続けてきた。

ジムの課題で用意されている課題のグレードは、だいたいが7級から初段や二段くらいまで。だから、3級ってすごいの?と聞かれると、「はて...?真ん中くらい?いや、真ん中ってなんだ??」と考えはじめ、言葉に詰まってしまう。ジムによってグレードの基準もちがうから、たとえ同じ3級でも「あそこのジムの3級には手も足もでないだろうなぁ」というジムもいくつかパッと思いつくし、たぶん今日わたしが登れた3級は、かぎりなく4級に近い3級だった。

それでも、だ。わたしはいまものすごく嬉しい。今日は飲めないお酒でも飲んで祝杯をあげよう。

以前できた課題ができなくて、「停滞どころか後退してるよ」といやになる日もある。
逆に、スタートすらままならなかった課題が、粘って粘って、「今日はダメだったけど、次に来たときもしかしたらいけるかも」と好感触を持てる日もある。
3級をクリアできたことはもちろん嬉しいのだけれど、いまあらためてじわじわと喜びが湧き上がってくるのは、手も足もでなかった3級に挑戦できるようになったことの方なのかもしれない。

クライミンングは、誰かとの競争ではない。同じタイミングで始めた仲間から刺激を受けるし、互いに切磋琢磨して伸びていく部分は大いにある。だけど、いざ壁を前にすれば、そこにはもう「壁とじぶん」しか存在しない。うまく進まず不安な仕事のことも、その他もろもろ気がかりなことも、その瞬間はごっそりと頭から抜け落ち、「どうすればこの壁のてっぺんまで登り切ることができるか」その一点のみに集中する。この前よりしなやかに登れるようになった!どうしても届かなかった最後の一手を掴めるようになった!続けていれば、そんな嬉しい瞬間が定期的に訪れるから、ついまたほいほいと行きたくなってしまう。

今日はわたしの3級記念日。


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