【読書】「未熟さ」の系譜:ジャニーズ、宝塚
世間を騒がすジャニー喜多川事件。ちょうど、ジャニーズ関連の本が手元にあったので読み返してみた。
ジャニーズや宝塚といった、子どもや学生が主役のコンテンツ。それらが持つ「未熟さ」に焦点を当てた本。タイトルに"系譜"とついている通り、その誕生から興隆までの歴史を辿ってくれます。
ジャニーズを例に出すと、ファンは必ずしも、歌唱力やダンスにプロレベルの質を求めているわけでもない。
むしろ、歌い手の成長過程自体がひとつのパフォーマンスとして成り立っていて、そこの可愛らしさやアマチュア性が、応援したくなる要素になり得るとのこと。
ジャニー喜多川氏の事件を知ってからこの引用文を読むと、なんとも言えない気持ちになります…が、こういった子ども故の未熟さというのは、特に日本人の価値観にフィットしたようです。
宝塚歌劇団も、あくまで演者は"生徒"であり"女優"ではないという建付けで、「未完成」を押し出していたようです。
日本のポピュラー音楽は外来の影響を大きく受けている。ただ、それを受け入れる際、新しい音楽に拒絶反応を示す大人もいる。
ジャズやロックが日本で普及するためには、音楽通の玄人だけではなく、子どもの支持を得ることも必要だった。なので、子どもが異文化需要の緩衝装置としての役割を果たしていた、とのこと。
うーんなるほど。これは大衆受けのヒントがいろいろ詰まってそうです。参考資料が多く内容が濃いので、じっくり読むタイプの本です。
ご興味あればぜひ手に取ってみてください。
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