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【料理本のはなし】晴れた日にはキッチンで お料理絵日記3 / 飛田和緒

食べることからはじまって、もっとおいしく食べたい、たくさん食べたいっていう気持ちになって台所に立つことが好きになっていったように思います。

晴れた日にはキッチンで

飛田和緒さんといえば、
第1回料理レシピ本大賞(2014年)を受賞した
「常備菜」(2011年出版)が有名ですよね。

その受賞の約20年前、1995年に出版された
「チャッピーの台所 -お料理絵日記」(みすず書房)という本があります。

料理や食べたもののことを主題にしたエッセイで、
普段の生活に加えて、
好きなもの・コト、腹が立ったコトなども交えた"日常"が、
飛田さんのイラストとあわせてつづられている本です。

あ、レシピも書かれています。

この「チャッピーの台所」は、
「お料理絵日記」という題名に改題されて、
2022年時点ではシリーズとして 4つ の本が出版されています。

「晴れた日にはキッチンで」は、その3作品目。

現在は海の近くの家で、
お子様と旦那様と3人で暮らしてらっしゃる飛田さんですが、
「晴れた日にはキッチンで」では、
お子様が生まれる前の東京で2人暮らしをしている
1年半の日常がつづられています。

単行本として2005年に出版されたときは
"お料理絵日記" という副題は
ついていなかったのですが、
2008年に文庫版になった際につけられたようですね。

お料理絵日記シリーズはすべてが共通した形式になっています。

その日あったことが1つの節になっていて、
ところどころ抜けつつも、毎日の日記のように
イラストとレシピが合わせて記載されています。
春夏秋冬の流れがわかるように章立てされていて、
季節や旬の移り変わりがわかるような編集になっています。

飛田さんの書籍は、
季節ごとに章立てされている作品が多いのですが、
もしかしたら、源流はこの絵日記シリーズにあるのかな、
なんて思ったり。

基本的に、さらり・さっぱりとした文体に
愛らしいイラストがついていて、
日々起こったことや、ご自身が感じたことや考えたことが
ちょっと客観的に書かれています。

起こった事実を "素直に" 受け止めた上で、
前向きにとらえて日々を過ごしていらっしゃるな、という印象。

なお、素晴らしい作品を読んだ! 
という読後感は皆無です。
ですが、心がなんだかほっこりあたたかくなる、
ちょっと心身がつかれたときにも寄り添ってくれるような
本だな、と思っています。
(ねもやんにとっては、仕事やプライベートが
 すごく大変で、本なんて読んでもいられないようなときに、
 実際に寄り添ってくれたとても大事な本です。)

私がこの本をはじめて手にとったのは、
2005年の学生時代。

お料理絵日記1&2 を
たまたま大学の書籍部で見かけて買って、
飛田和緒さんという方を知った直後に購入。

当時は一人暮らしで、マジでお金がない中、
どうやって少しでもおいしいも自炊していくかを
模索していたときでした。

あと、当時は親が作ってくれる、よくある
"名前がついている料理" しか知らなかった。

料理といえば
肉じゃが、カレーライス、麻婆豆腐、ハンバーグ、シチュー、
焼き肉、鶏の唐揚げ、とんかつ などなど

旬の存在も知らなかったしね。

そんな学生のねもやんにとっては
飛田さんの日々の食卓や
使っている食材・調味料は本当に衝撃的でした。

全く味の想像ができない 斬新なものの数々が
載っていたので、何度も何度も読んで、
まねできるものは何度もまねしました。
(お金がかかるものは真似できなかったので、
 数は少なかったけど 笑)

春に食べるしらす山盛りの丼
夏に作るナスの梅煮ときゅうりのカリカリ漬け
秋はきのこの塩漬けで、いつでもきのこをストック
冬はねぎをびっくりするくらい入れた鍋

これらは本当に何度も作って食べました。
どれも大大大大好きで、今でも必ず毎年作ります。

毎年漬けるハーブらっきょうや、
にんにくしょうゆも飛田さんの
お料理絵日記に書いてあったもの。

今ふりかえると、
レシピ本ではなくてエッセイ本なので、
季節の変わり目毎に、
飽きずに繰り返し読み込むことができたから
いろんな料理が自分の中で残ったのかもな、
と感じます。

ただのレシピ本だと料理するときと
料理したいときしか手に取らないからね。

エッセイだからか、なんとなく暇なときにも
よく手にとっていた記憶があります。

そんなこんなで
おいしいものを食べたい・作りたい と思いながら、
基本は気取らず、無理せず、
ときには背伸びしながら日々の料理を作って早20年弱。

今や 「料理が人生の歓び!」と思うに至るねもやんの
原点の1つとも言えるなー、 と感じている本です。

この記事を書くに当たって、
だいぶ久しぶりに読み返してみたのですが、

  • 大好きなマルドンの塩も、

  • もうコレ以外は使わないと思っているバレーナのアンチョビも、

  • 何年もずーーーっと使っていて、最近新しく買い足そうかと考えている
    市原平兵衞商店の菜箸&盛りつけ箸も

この本の中で紹介されていて、ちょっとびっくりしました。
当時は高くて絶対に買えなかったものだけど、
いつか買ってみたいとねもやんの中に刷り込まれていたのかもしれん。

2025年あたりに、また出版されないかなぁ。
さすがに、もうイラストの絵日記で出版されることはないかな?


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