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「怒れる女性」に対しての韓国と日本の反応の温度差。ミン・ヒジンさんのファンの私。

K-POPアイドルnew jeans(以降ニュジ)のプロデューサーであり渦中の女性、ミン・ヒジンさん。
彼女に対する韓国と日本の反応にはどうやら差がある様です。
ニュジデビュー当初からミン・ヒジンさんの歯に絹着せぬ物言いや、かっこいい仕事のファンでもある私がそのことについてちょっと書きます。


「怒っている女性」に冷たい国、日本

「怒っている女性」に日本人は冷たい様に感じます。
こう思ったのは、初めは映画「ミーガン」(2023)に対する感想が、海外の反応とちょっと違う様に感じた時です。
世界中と日本中の感想を全て見た訳じゃないのですが、海外のミーガンに対する反応はダンスを真似してみたり(ゲイコミュニティにもポジティブに受け入れられた)服を真似してみたり、概ねミーガン自身に寄り添った反応が多く、私自身も「母熊が子熊を守るような」それでいて過剰な防衛からの攻撃にスカッとする面がありました。
ケアを未成年の容姿のミーガンに押し付けるストーリーの中で、それでも心から子供を守ろうとするミーガンには健気さすら感じます。
しかし、日本の感想に多かったのは「AIの暴走」「恐ろしい殺人人形」ほとんどこんな感じの見出しが多く、あとはストーリーの甘さを指摘するばかり。もちろんミーガンにボジティブなものもありますが圧倒的少数に感じました。

そして今、この「ミーガン」に対する海外と日本の反応の違いと「ミン・ヒジンさん」に対する反応の違いが似ている気がしています。
それは「怒れる女性」に冷たい風潮です。



日本では「大人の汚い争いに巻き込まれたニュジ」
韓国では「大企業に1人で立ち向かう女性」

上記は、友人情報や色々なSNSで感じる私の所感です。
日本で主力のSNSがXというどちらかというと男性的な情報が勝る場所なのも原因の一つだとは思います。TikTokよりXの方がミン・ヒジンさんに冷たい印象です。(もちろんそうじゃない人も沢山います)

そもそも話の論点が「ミンヒジンが真似したと言ったものは本当に似ているのか」とか「HYBEとミン・ヒジン、どっちが嘘つき?」みたいなものが多いですが、問題提起すべきはそこではありません。

まずミンヒジンさんはいつも強気な発言が多く、特筆すべき内容か?と言うのが、彼女のインタビューなど日本語で出る度に読んでる私の所感。
今回の声明は簡単に言うと下記のような内容でした。

  • 「ニュジの新曲(ティザー)と勘違いしたファンへの訂正」
    (ミンヒジンがその状況を肯定していると思われた)

  • 「業界を引っ張るべき大企業HYBEの姿勢への叱咤(激励?)」

そしてHYBEは「株価が急落した」と論点をずらし反論します。
その構造がはmetooで訴えられた権力者側が事実確認をせず(論点をずらし)に「名誉毀損」で訴え返す構図と同じです。

また、他のグループの悪口を言ったように見受けられる発言も攻撃対象は全て「プロデュース側」に関する事であり、女の子達を直接攻撃したものではありません。
例えるなら、企業を批判する為には、いち社員ではなく社長や役員をを批判するのと一緒です。

なので退任の話が出たのも「このタイミングを待っていた」様に感じます。
若い人には分からないかもしれませんが、将来性のある会社の株価は時間がたてば落ちても上がる(元に戻る)ものだし、韓国のKーPOPファンが企業の姿勢を正すために株を手放す(結果価格が下がる)事はよくある事であり、「企業応援の為に株を保持する」という本来の株の本質にあった行動です。
結果、皮肉にも今更ミンヒジンが「真似じゃ無かった」と発言するだけでは戻らないHYBEの悪行が露呈してしまいました。


では会見したりミン・ヒジンさんは今何をしたいのか?
それはnewjeansの未来、そしてそのメンバーの将来を守りたいという事です。
何故ミンヒジンさんがプロデューサーをすることで、ニュジたちの将来が守られるのか。追って説明します。


newjeansに対しての、日本人の勘違い

先にこの事について説明させてください。
newjeansが日本でも大々的に流行った理由には明確なきっかけがあります。
それは2023のサマソニです。

ニュジを2023夏頃から好きになった日本人の勘違い
・制服をメインにした衣装グループ(ではない)

日本での初のライブパフォーマンスになった2023夏。
日本中の 「Bunnies(バニーズ)」(newjeansのファン)が集まり、大きな話題になりました。
その時期は初めてMVの衣装に高校生の制服を採用した楽曲「Ditto」発売の直後であり、彼女達は制服やチアを思わせるプリーツスカートで出演、その後の日本の音楽番組ではDitto以外の曲を披露する時も制服を衣装として沢山着用しました。
この為、この頃ニュジを知った日本の人たちには「制服を着て歌って踊るK-POPグループ」のイメージが定着してしまいました。

何故ミンヒジンは Dittoの衣装に制服(特にアレンジの無いリアルな制服)を選んだのか。
それは「性的な露出の無い、自然な女の子達のイメージ」を演出する為でした。
しかし残念ながら日本には清楚な制服に逆に性的なイメージを持つ人が沢山います。
その為日本のアイドルファンなどにブランディングが捻れて伝わってしまいました。

ミンヒジンさんの「怒っている女性像」に過剰反応し、批判的な記事などを作って印象操作しようとしている層に、この層を感じます。


ミン・ヒジンが新しくやった事

上記の様に、ミン・ヒジンがプロデューサーとしてK-POPのイメージを逆手に取ったり、再構築し直した事が沢山あります。

  • 体のラインをセクシーに強調「しない」衣装
    (初期ビリーアイリッシュと概ね似た考え)

  • パッケージ化されていないMV
    (メンバーの脚や唇を強調するより、楽曲を重視している)

  • メッセージ性より音楽性を重視した楽曲
    (メンバー紹介的な楽曲の作りではない)

  • ファンを恋人に「見立てない・勘違いさせない」楽曲

  • 将来を見据えたブランディング

HYBEの上層部が感じているような「女性アイドルの価値は若さ」や「子供のセクシーな露出」に対抗する価値観で、一瞬で少女性を消費させない将来性を見据えたブランディングをしています。
詳しくはTikTokに書きました。長くなるので貼ります。
(勢い余って作ったので、厳密ではない。すいません本当に)

一番伝えたいのは、ミンヒジンは楽曲・衣装・MV全てに於いて「フィメール・ゲイズ(女性の眼差し)」的な表現をしている点です。

TikTokスクショ

つまり、ミン・ヒジンはニュジのメンバーを少女性を消費されるような扱いをされない様に、HYBEから守ろうと必死になっています。

HYBEは女性の価値は若さだと思っているので、ニュジにもっと沢山の曲を今の内に出すべきだと考えています。
ミンヒジンは彼女達の価値は加齢で減るものではないので、良い楽曲を時間をかけコンディションを整えながら作るべきだと考えています。


さいごに

これは私が色々なインタビューや対談記事を読んで感じていた事なので、私の考えなのですが、ミン・ヒジンさんはK-POPシーン全体の「体型へのルッキズム」や「若い女性の消費」「媚びる=女性の価値」という様な「見世物としての女性=K-POPアイドル」という価値観を壊す、そういう風潮を作ることを目指していたのでは無いかと思います。
勿論ファンの目線ではなく、作り手の意識の問題です。媚びなくても良いものは作れるという証明です。
実際、そういったグループは増えています。
フェミニズム的楽曲の多い(G)I-DLE、ルッキズムや男性的価値観から解放されているXG(全員日本人なのでKでは無いですが)、暴食をテーマにした楽曲でデビューしたばかりのYOUNG POSSE。BabyMonsterの表情をセクシーに決めすぎない自然な雰囲気も今までのK-POPの雰囲気とちょっと違います。(チキータのせいかもしれない)

最後の最後に
K-POPの子達が、どんなブランディングのグループだとしても、本当に血の滲むような努力、言語や様々な勉強などをしていることは勿論存じています。
そんな子達が全員「プロのアーティスト」として評価され、扱われ「音楽のプロ」として若さを武器にできない高齢になっても、K-POP以外の世界中の音楽アーティスト達と同じように活躍していける未来を心から望んでいます。

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