見出し画像

UFOにまつわる話(続・続編)

8月31日、米国防省は、昨年7月に設立された全領域超常現象解決室AARO:All-domain Anomaly Resolution Office)が未確認空中現象UAP:Unidentified Aerial Phenomena)
の特設サイトを開設したと発表しました。

注:本シリーズは、米国事情の一環として掲載しています。
AARO の新たな特設サイトはこちら
☞ https://www.aaro.mil/

このサイトには、機密が解除され、公表が認められた解決済みの UAP 関連情報(写真やビデオを含む)のみ掲載されます。
 
今年4月の議会証言
先立つこと今年4月、ショーン・カークパトリックAARO局長が米上院軍事員会で調査の進捗状況について証言しています(2022年に約50年ぶりにUFO調査に関する公聴会が開かれ、その時がその2回目)。
 
証言によれば、その時点でAAROに寄せられているUAP報告が650件に上っており、1月に発表された510件から、僅か3か月足らずで、更に100件以上の報告が追加されていることが分かりました。

Dr. Sean M. Kirkpatrick

UAPの大半は気球やドローン、或いは自然現象と結論づけられる一方、高度な技術的特徴を示す事例が全体の数パーセント程度あり、引き続き、分析を進めていると明らかにしました。
 
ただ、「高度な技術的特徴を示すもの」が米国外の先進技術によるものか、地球外生命体によるものか、或いは未知の超常現象によるものかは、明らかにしませんでした。
 
そして局長は、報告されたUAPを解明する際、どれも決定的なデータが不足しており、分析が困難である旨を弁明しました。
 
UAP 関連報告の傾向
この特設サイトの中には、1996年から2023年の間に収集されたデータに基づく分析結果が掲載されています。
 
今回は、この報告書から読み取れる事柄についてお話したいと思います。

UAP Reporting Trends

先ず、UAPが発現する高度です。
 
この報告書によれば、概ね航空機が飛行する高度15~25kmで全体の60%以上を占める結果となっています。
 
これは、UAPがその高度帯で発現しているというよりは、むしろ「人の目に止まりやすい高度だから、必然的にこのような結果が出た」と言えるのかもしれません。

Reported-UAP Altitudes
(Rendered by ISSA)

次に、下表はUAPの典型的な特徴をまとめたものです。
 
前段からは、円型で空中静止や高速移動し、排気熱がないなど、いわゆる「UFO」の最もありがちな特徴が読み取れますが、後段のレーダーや無線の探知状況からすると、地球人類由来のUAPであるようにも感じられます。

Typically-Reported UAP Characteristics
(Rendered by ISSA)

続いて、下表は目撃されたUAPの形状をグラフ化したものです。
 
大半が「光体、円形、球形」のものが半数を占めており、こちらも、いわゆる「UFO」の典型的な特徴を示しております。
 
ただ、個人的にはわずか数パーセントの目撃情報しかない「ティックタック」や「三角」などが、むしろ興味深いと思いました。

Reported UAP-Morphology
(Rendered by ISSA)

最後に、下図は UAP の目撃事例が多い「ホットスポット」について表したものです。
 
米本土の東西海岸のほか、中東や日本、朝鮮半島周辺などで、多くの報告が寄せられていることがうかがわれます。
 
UAP がそのエリアで集中的に発現している可能性もありますが、これも「米軍が頻繁に活動しているエリアだから、必然的にこういう結果が出た」と言えるのかもしれません。

Reported-UAP Hotspots

現時点での評価
この報告書も含めて、これまでの動きに対する私なりの見解です。
 
● 現場の米兵らが UAP 視認時にためらわず国防省に報告し、報告を受けた部局が真摯に受け止めて分析を試みる新たな取り組みは、ひとまず軌道に乗った
 
● 今般、情報開示にも積極的に取り組んでいる事をアピールすることで、米議会や米国民からの情報公開に関する批判をかわす狙いもあった
 
● 他方、新たに公開された動画等に目ぼしい情報はなく、引き続き、機密性の高い情報は隠し持っているとみられる(実態が判明したものを、全て開示するとは限らない)
 
● その機密性の高い情報とは、本報告書で目に付き易い部分ではなく、むしろ希少案件として示されている部分に含まれている可能性が高い

AARO Mission Overview

おわりに
本報告書から私が感じ取ったことは、UAP の殆どは私たちがイメージし易い丸く光る浮遊物であるとした上で、その実態は既知の人工物や現象であるかのように印象づけられていることです。
 
このような印象操作は、裏を返せば何かしら悟られたくない真実があることの証だと思います。

航空機の飛行が難しい高高度での発現や、ティックタック(TICTAC)、三角形をしたトランスミディアム(Transmedium)な物体など、数パーセントとされている部分にこそ、最も興味深い高度な技術に関する真実が隠されているのかもしれません。
 
AARO発足から1年。このテーマは、まだまだ続きそうな気配です。また何か新しい動きがあれば、随時、アップデートしていきたいと思います。
 
過去の UAP に関する記事はコチラから☟