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【MotoGP2023年シーズンレビュー🏍💨】

今季から全戦でスプリントレースが組み込まれ、MotoGP史上最多の20グランプリ39レース(※1)が行われた2023年シーズン。チャンピオン争いは最終戦までもつれ込む大接戦となりました。
シーズン閉幕から少し時間が経ちましたが、MotoGPの2023年シーズンを少し振り返っていきたいと思います。
(※1=第16戦オーストラリアGP🇦🇺のみ悪天候のためスプリントレースキャンセル)

まずは改めてランキングから。

チャンピオンを獲得したのはフランチェスコ・"ペッコ"・バニャイヤ🇮🇹(Ducati)。ここ数年、毎年違うライダーがチャンピオンに輝いてましたがバニャイヤはM.マルケス🇪🇸(Repsol HONDA)以来の2連覇を成し遂げました。バニャイヤは決勝レースにおいて20戦中15戦で表彰台に登り、勝ち星は7つを数えました。残りの5戦はリタイア3回、DNS(スタートできず)が1回、16位ポイント圏外が1回で、完走すればほぼ表彰台に登る非常に高い安定感を誇りました。
現在のMotoGPではDucatiがレースを席巻しておりしばらくはその勢力図は変わりそうにないので、来季もバニャイヤはチャンピオン候補間違いなしですね。

2位に入ったのはホルヘ・マルティン🇪🇸(Pramac/Ducati)。最終戦までバニャイヤとチャンピオンを争いましたが、最後は転倒リタイアによってチャンピオンの座をバニャイヤに明け渡してしまいました。
年間で見ると決勝レースは20戦中16戦でポイント圏内フィニッシュ。しかし優勝は4回、2位3回、3位1回と、表彰台率はバニャイヤに大きく劣ります。ではどこでポイントを稼いでバニャイヤと争ったのか?マルティンはスプリントレースで非常に強く、第12戦サンマリノGP🇸🇲から17戦タイGP🇹🇭まで圧巻のスプリント5連勝を飾り(第16戦オーストラリアGP🇦🇺は悪天候によりスプリントレース行われず)、年間ではダントツのスプリント9勝を数えました。最終戦バレンシアGP🇪🇸のスプリントでも優勝し、最後までチャンピオンの座を奪うべく戦いましたね。
痛かったのは第15戦インドネシアGP🇮🇩での決勝リタイア、そして第19戦カタールGP決勝での失速による10位フィニッシュ。この2つがバニャイヤに対し特に大きな遅れをとってしまうレースになってしまいました。
とは言えマルティンは今年のMotoGPを最も盛り上げてくれたライダーだったのではないでしょうか?「サテライトチームがワークスを倒すかも?」そんな希望を与えてくれました。
彼の実力なら来季も間違いなくチャンピオン候補の一角に入ってくるでしょう。マルティンの更なる活躍に期待です。

3位に入ったベッツェッキ🇮🇹(VR46/Ducati)はシーズン序盤に決勝レースで2勝を飾り、バニャイヤとマルティンがリタイアしたりもあったので一時はランキングトップに名を挙げてました。決勝レースでのリタイアは3回のみで、安定して上位でポイントを重ねる安定感を見せてくれました。来季も上位に名を連ねるのは間違いないでしょう。非常に楽しみなライダーの1人です。

今回はTOP3にフォーカスを当てましたが、実は今年のMotoGPでは一度も決勝での連勝がなく毎回異なるライダーがポディウムの頂点に登りました。
決勝最多勝はバニャイヤの7勝、次点でマルティンの4勝、ベッツェッキ3勝、A.エスパルガロ🇪🇸(Aprillia)が2勝、ザルコ🇫🇷(Pramac/Ducati)、ディ・ジャナントニオ🇮🇹(Gresini/Ducati)、バスティアニーニ🇮🇹(Ducati)、そして唯一の日本勢リンス🇪🇸(LCR/HONDA)が1勝を挙げました。
スプリントレースではマルティンが9勝、バニャイヤが4勝、ビンダー🇿🇦(KTM)、A.マルケス🇪🇸(Gresini/Ducati)が2勝、ベッツェッキ、A.エスパルガロがそれぞれ1勝を挙げました。
1レース1レースが非常にハイレベルで、見応え抜群のレースばかりだったのではないでしょうか?

反面、今年は怪我による長期離脱者が非常に多いシーズンだったなという印象もあります。昨年Gresiniで活躍しDucatiワークスのシートを掴んだバスティアニーニ、そしてP.エスパルガロ🇪🇸(GASGAS)が開幕から戦線離脱。M.マルケス、リンス、ミル🇪🇸(Repsol HONDA)といったHONDA勢も数戦を欠場。M.オリベイラ🇵🇹(RNF/Aprillia)、A.マルケス、マリーニ🇮🇹(VR46/Ducati)も複数戦欠場がありました。
2輪は4輪と違って体が剥き出しなので、どうしても怪我のリスクは高まります。それにしても今年は近年で最も怪我人が多く発生したのではないでしょうか?
来季はなるべく離脱者が少なくなることを願いたいところです。

一方で高い完走率を挙げたライダーも。ほとんどのライダーが何かしらのレースでリタイアを喫しましたが、モルビデリ🇮🇹(YAMAHA)だけは唯一スプリントレースも含め全レース完走を果たしました。また中上貴晶🇯🇵(LCR/HONDA)は決勝でのリタイアは僅か1回、スプリントを含めても3回に留まり、確実にマシンをフィニッシュに持ち帰ってきてくれました。
この2人の共通点は、共に低迷する日本メーカーのライダーであり、来季に向けたアップデートのために確実に完走しデータを収集する必要があるチームだということ。特にHONDAは誰が見ても明らかなくらい絶不調で、リンスの優勝やM.マルケスの3位は本当に奇跡に近いもので実際のマシンの性能は今季のMotoGP参戦メーカーのうち最も低かったと思います。
その状況を脱出するためにはとにかく走行データを集めて次の開発に繋げる必要があります。先に挙げた通りHONDAは中上以外のレギュラーライダーたちがこぞって怪我で長期離脱を余儀なくされたので中上にのしかかった責任は非常に大きかったと思います。その中で確実にゴールまで走り抜いたのは評価に値するのではないでしょうか?
先日のポストシーズンテストに持ち込まれた来季向けマシンに対しては手応えを感じるコメントもありましたので、2024年シーズンは少し期待したいところですね。

さて、2023年シーズンは終わりましたが、すでに2024年は動いています。来季はなんとM.マルケスが長年連れ添ったHONDAを離れ、Ducati陣営のGresiniに移籍、A.マルケスと兄弟タッグを組みます。これにより様々なライダーの移籍シャッフルが発生。そして期待の若手ペドロ・アコスタ🇪🇸がMoto2チャンピオンの名を引っ提げ満を持してMotoGPへ昇格、GASGASから参戦します。
来季は一体どんな戦いが待っているのか?目が離せません!
注目していきましょう。


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