蜻蛉

自由気ままに思い付きで、note書いてます。主に文章です。自由が一番いいです。でもリベ…

蜻蛉

自由気ままに思い付きで、note書いてます。主に文章です。自由が一番いいです。でもリベラルとは違います。他人に強制はしないから。私の脳内を束縛できる人はいません。

マガジン

  • ホロコーストを疑っている人のために

    かつてナチスドイツが行ったホロコーストを「なかった」という人たちがいます。それらの主張の代表的なものを、ある海外サイトを参考に論破する試みです。

  • アウシュヴィッツの様々な議論

    ホロコースト議論で最も話題になるアウシュヴィッツ収容所についての、こんなのもあるよーという紹介みたいな雑多な情報のマガジンです。

  • アーヴィングvsリップシュタット裁判資料

    デヴィッド・アーヴィングvsデボラ・E・リップシュタット裁判資料の翻訳集です。

  • ポーランドの戦争犯罪証言記録サイトに見る殺人ガスの証言証拠

    ポーランドの戦争犯罪証言記録を公開しているサイトがあり、そこからガス室の証言だけをいくつかピックアップして翻訳し、まとめたものです。

  • マットーニョの『アウシュヴィッツ:その健全な真相』への批判

    イタリア人修正主義者であるカルロ・マットーニョが著した本、『アウシュヴィッツ:その健全な真相』に対する反論記事を翻訳したものです。

最近の記事

映画『関心領域』を観た感想、…とルドルフ・ヘス一家のその後について。

イントロ何年振りかな、映画の感想を書くのは。 ホロコースト映画なら何でもかんでも見るってわけではないし、ホロコースト映画にはまったのは、ホロコースト否定に興味を持つきっかけとなった2020年頃だけだと思う。『シンドラーのリスト』や『戦場のピアニスト』を、確かNetflixかAmazonプライムで見て、色々と関連情報を知りたくなって検索したりしているうちに、ホロコースト否定が日本のネット上でもかなり存在していたのを初めて知った、ってことだったように思う。 もしかすると、劇

    • ホロコースト否定派尊師:ロベール・フォーリソンについて(3)

      もしかしたら、上のような写真のフォーリソンの姿を初めて見た人は、「優しそうで人柄も良さそうなおじいちゃんだな」と思ってしまうかもしれません。しかし、フォーリソンは紛れもなく悪質な反ユダヤ主義者で嘘つきのホロコースト否定論者です。それは、たとえばこのフォーリソン関連記事の前回まででお分かりいただけるかと思います。分からない人はわからないでしょうけれど…… さて今回は、PHDNにあった記事から、順序を飛ばして、私自身の関心をひいていた記事をいくつか翻訳します。なぜ関心があったか

      • ホロコースト否定派尊師:ロベール・フォーリソンについて(2)

        さて、今回扱う話のテーマは、ホロコースト否定議論では有名な、ミュンヘン現代史研究所の所長をのちに務めた、1960年のマルティン・ブローシャートの手紙について、です。この手紙はありがたいことに、2024年5月現在、ネットで公開されています。メールアドレスのみで無料登録、閲覧できますので、確認されたい方はどうぞ。 また以下では、すでに私の方で翻訳公開しています。 ブローシャートのこの手紙、ディ・ツァイト紙への寄稿文に最初に目をつけたのはホロコースト否定の教祖であるポール・ラッ

        • ホロコースト否定派尊師:ロベール・フォーリソンについて(1)

          私自身は、ホロコースト否定派の実質的な教祖はラッシニエではなく、フォーリソンではないかと思っているのですが、それはどーでもいいことです。教祖と言えば普通は創始者のような意味があるので、その意味ではラッシニエが教祖ではあるのですが、本格的にホロコースト否定を広め始めたのはフォーリソンだと思っているので教祖だとみなしていました。でも、それはどうでもいい話なので、今回は適当に「尊師」としておきました。特に深い意味はありません。 さて、「息を吐くように嘘をつく」という、よく使われる

        映画『関心領域』を観た感想、…とルドルフ・ヘス一家のその後について。

        • ホロコースト否定派尊師:ロベール・フォーリソンについて(3)

        • ホロコースト否定派尊師:ロベール・フォーリソンについて(2)

        • ホロコースト否定派尊師:ロベール・フォーリソンについて(1)

        マガジン

        • アウシュヴィッツの様々な議論
          66本
        • ホロコーストを疑っている人のために
          335本
        • アーヴィングvsリップシュタット裁判資料
          21本
        • ポーランドの戦争犯罪証言記録サイトに見る殺人ガスの証言証拠
          7本
        • マットーニョの『アウシュヴィッツ:その健全な真相』への批判
          12本
        • ゲルマー・ルドルフ宣誓供述書への反論
          5本

        記事

          ホロコースト否定の教祖とされるポール・ラッシニエについて(4)

          前回からちょっと間が空いてしまいましたが、PHDNによるポール・ラッシニエに関する記事の翻訳は一応、簡潔です。ラッシニエが酷い嘘つきであり詐欺師であることは、これらの記事で十分過ぎるほどおわかりいただけたかと思いますが、一方で、何が彼をここまでの嘘に塗れたホロコースト否定論者にさせたのかについては、正直言ってよくわかりません。大抵は「反ユダヤ主義」で括って説明するのですが、反ユダヤ主義だけではなかなかその実態が見えてこないのですよね。どうして人は反ユダヤ主義になるのか? どう

          ホロコースト否定の教祖とされるポール・ラッシニエについて(4)

          ホロコースト否定の教祖とされるポール・ラッシニエについて(3)

          それにしてもフランス語の翻訳は厄介です。もちろんその最大の理由は、私がフランス語を学んでいないからですが、優秀な機械翻訳や最近の優秀な生成AIを使っても、なかなか満足な翻訳結果になりません。たぶんですけれど、フランス語独特の言い回しがあるのだと思われます。英語圏の独特さにはそこそこ慣れましたし、英語の場合は困ったらググればそこそこなんとかなるのですけれど、フランス語はそもそも単語自体がわからず、どこを検索すればいいのかもよくわからない上に、検索すると返ってくるのがフランス語の

          ホロコースト否定の教祖とされるポール・ラッシニエについて(3)

          ホロコースト否定の教祖とされるポール・ラッシニエについて(2)

          前回記事: 前回、どーしてもフランス語がうまく翻訳できず、意味が分かりにくかったり、意味不明な箇所がそこそこあって、せっかく記事にして紹介はしたものの、ちょっと読者の方には申し訳なかった感じもしています。 しかし、ラッシニエがかなりの嘘つきだという事実はお分かりいただけたのではないでしょうか? ラッシニエが自分自身を信頼させるような方向で嘘をついているので、翻訳記事の中でもそう呼ばれていたように、「詐欺師」と言っていいと思います。 今回は西岡が、マルコポーロ論文で以下の

          ホロコースト否定の教祖とされるポール・ラッシニエについて(2)

          ホロコースト否定の教祖とされるポール・ラッシニエについて(1)

          ネットでは、「出羽守」なるスラングがあります。「海外では〜」と語る人を揶揄するためにしばしば用いられます。例えば「ヨーロッパでは〇〇が当たり前」、「欧米ではすでに〇〇になっていて日本は遅れている」のような場合に使われます。そのように言われるようになったせいか、近年ではそうした「出羽守」は少なくなった感じがします。しかし過去、インターネットが一般に使えるようになった初期の頃までは、「欧米では」と語られることは頻繁にあったように思います。ホロコースト否定論を海外から輸入した西岡昌

          ホロコースト否定の教祖とされるポール・ラッシニエについて(1)

          チクロンBの素材は珪藻土って本当?

          今回は特にどうということもないかもしれない些細な事柄についての短い記事です。いつも長くてすみません😅 アウシュヴィッツのガス室で使われたとされる毒ガスはシアン化水素ガス(青酸ガス)ですが、その発生源はチクロンBという名の製品名を持つ薬剤でした。上の写真のように、缶の中に粉末よりは大きな粒状の、しばしば「ペレット」と呼ばれる素材にシアン化水素の液体が染み込ませてあったとされます。 このペレット自体は、ほとんどの説明では「珪藻土」と説明されているようです。日本語Wikiped

          チクロンBの素材は珪藻土って本当?

          アーヴィングvsリップシュタット裁判資料(22):ホロコーストとヒトラー(3)

          ロンゲリヒによる資料の翻訳紹介のラストです。ヴァンペルト報告書の翻訳は19個の記事となっていましたが、今回は3つで済んでホッとしています。 確かに、ヒトラーがユダヤ人絶滅を命じた命令書は存在せず、明確に口頭で命令したことを示す確定的な証拠もありません。しかし、前回までのロンゲリヒ論文の内容を読めば、ヒトラーはユダヤ人問題の解決に強い関心を持ち続けていることがわかりますし、彼自身がたとえユダヤ人の絶滅を命令したわけではなくとも、少なくともそれに反対したことはあり得ないとは言い

          アーヴィングvsリップシュタット裁判資料(22):ホロコーストとヒトラー(3)

          アーヴィングvsリップシュタット裁判資料(21):ホロコーストとヒトラー(2)

          前回: それでは2回目の翻訳です。 ▼翻訳開始▼ 6.ヒトラーと1937年末以降のユダヤ人迫害の急進化6.1 1937年末までに、拡大主義的な対外政策への移行と同時に、ユダヤ人迫害の新たな、より急進的な段階が始まった。ユダヤ人をドイツから追放するという目標が優先され、これは特に、さらなる差別、直接的暴力の行使、より大きな経済的圧力によって達成されることになった。 6.2 このより急進的な路線は、1937年の帝国党大会でヒトラーが行った強い反ユダヤ主義的演説によって実際

          アーヴィングvsリップシュタット裁判資料(21):ホロコーストとヒトラー(2)

          アーヴィングvsリップシュタット裁判資料(20):ホロコーストとヒトラー(1)

          ホロコースト否定の議論において、ヒトラーに関する議論はあまりないと言っていいかと思います。強いて言えば、否定派が一つのテーゼのようにして主張する「ヒトラーの命令書がない」がある程度です。他には過去にnoteで起こしてきたヒトラーに関する記事として、以下のものがあります。 ヒトラーに関する議論があまりないのは、一つはヒトラーの命令書が存在しないことは定説側も同意している事項であり、また、ホロコーストの否定論自体に関する議論は、ヒトラー以外の部分で、あまりにも多岐にわたるため、

          アーヴィングvsリップシュタット裁判資料(20):ホロコーストとヒトラー(1)

          アインザッツグルッペンの証拠:作戦状況報告書ソ連の内容紹介(2)

          追記:紹介している「作戦状況報告書ソ連」の内容は、示しているリンク先の英文テキストから日本語訳にしていますが、元々はイツァーク・アラドらによる『アインザッツグルッペン報告書』から必要部分を手作業で転記入力したもののようで、若干の入力ミス的な誤りを含んでいます。文章にはほぼ誤りはないようで、大意としては問題はないと思いますが、厳密な議論をする場合は、前回記事で紹介してあるアーロルゼン・アーカイブズのサイトなどにある元文書の画像からドイツ語をGoogleレンズなどで抜き出して、翻

          アインザッツグルッペンの証拠:作戦状況報告書ソ連の内容紹介(2)

          アインザッツグルッペンの証拠:作戦状況報告書ソ連の内容紹介(1)

          アインザッツグルッペンに関する証拠となる作戦状況報告書ソ連の内容を、この記事では、日本語訳して紹介したいと思います。非常に記事が長くなるため2回に分けます。この作戦状況報告書については、以下で詳しく解説されています。 米軍がドイツから捕獲した作戦状況報告書ソ連(OSR:OPERATIONAL SITUATION REPORT USSR)は、アメリカ国立公文書館(NARA)が所有していたらしいのですが、電子化されているのかどうかもわかりません(どこをどう調べたらいいのかもよく

          アインザッツグルッペンの証拠:作戦状況報告書ソ連の内容紹介(1)

          強制収容所10ヶ所(トレブリンカ絶滅収容所を含む)を体験したユダヤ人の囚人の回想手記

          この記事は以下の記事で紹介している、サミュエル・ジルベルシュタインの回想手記を全訳して紹介するものです。 上記の通り、今回翻訳対象とした、ユダヤ人のサミュエル・ジルベルシュタインの戦後の回想手記を、修正主義者のユルゲン・グラーフがその内容をほぼ全く示さずに、「ワルシャワからトレブリンカへ移送されたユダヤ人の囚人が殺されずにマイダネクに移送され、以降も他の収容所計8箇所に移送されたのに生存しているという手記で、トレブリンカが絶滅収容所ではなかった証拠である」のように悪用したの

          強制収容所10ヶ所(トレブリンカ絶滅収容所を含む)を体験したユダヤ人の囚人の回想手記

          アインザッツグルッペンの証拠:アインザッツグルッペンの報告書について。

          ホロコーストは、大雑把に分けると、ユダヤ人犠牲者600万人のうち、その約半数が絶滅収容所で殺され、ゲットーなどで餓死や病死で約100万人が犠牲となり、これも大雑把に50万人程度が強制収容所で殺され、残るざっと100〜150万人程度が、ドイツが支配下に置いた元ソ連地域のユダヤ人を現地で銃殺やガス車などによって殺した、とされます(註:これらの数値は私自身がざっくり認識しているだけのものであり、広く認識されているというようなものではありません)。 このソ連地域でユダヤ人殺戮の主体

          アインザッツグルッペンの証拠:アインザッツグルッペンの報告書について。