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迷ったらあの項目を読もう。初心者向け温泉分析書の見方。

温泉施設に掲示されている温泉分析書には、温泉をより楽しめる情報がたくさん書かれています。

しかし、知らない単語や数値が羅列されているため、取っつきづらさを感じてしまいがちです。

この記事では、初心者でも楽しめる温泉分析書の読み方をご紹介します。

ご紹介する3つのポイントを押さえて、最低限の事前知識を備えていけば、どのような温泉に入っているのかを知ることができます。
有意義な温泉ライフを過ごすために、この記事を見ながら推している温泉の温泉分析書を読み解いてみてください。


温泉分析書を読むと、なぜ温泉が楽しくなるのか


「温泉分析書を読めなくても、温泉を楽しめるよね。」

温泉を趣味にしている方はこのように考えている方もいるかもしれません。

確かに温泉の一番の魅力は、実際に入浴したときの気持ちよさでしょう。

とはいえ、温泉分析書は単体で楽しめるものでないですが、温泉の魅力を増幅させるものにはなりえるはずです。

なぜなら、温泉分析書は温泉のプロフィール帳だからです。

温泉のプロフィール帳を読むことで、以下のことが期待できます。


・温泉に対して親しみを感じられる
人間同士でも、よく知る相手との付き合いは充実感を得られます。
自分が入る温泉が何者なのかを温泉分析書で読み解ければ、より親近感を持って「温泉」という趣味に打ち込めるのではないでしょうか。

・自分に合った温泉を見つけられる
温泉が身体に与える影響は、温泉毎に異なります。
自身の身体の不調や体質の観点から、注意をしなければならない温泉と積極的に入るべき温泉を判別するのに温泉分析書の記載を参考にできます。

・身体への影響を科学的に理解できる
温泉分析書への着眼点が増えてくると、温泉に含まれる成分を化学や生理学と照らし合わせることもできます。
レベルが高いですが、温泉にハマってしまう要素の1つです。


上記の通り、温泉分析書から期待できることが多いです。
しかし端から端まで読むことは得策ではありません。
実際に温泉分析書を読む際に、まず注目すべきポイントはどこでしょうか。

温泉分析書で注目すべき3つのポイント

温泉分析書を読む際に、手軽にチェックできるポイントは3つあります。
暗記が難しい点も含むため、温泉分析書とこの記事を照らしながら見てみるのがオススメです。

Ⅰ:泉質

環境省が定めた基準を満たした温泉は「療養泉」として、泉質の分類がされます。

泉質は全部で10種類。1つずつ簡単に紹介します。
ざっくりと理解するだけでも十分楽しめます。

①単純温泉
癖がなく、肌への刺激が少ないため多くの人が楽しめる温泉。
自律神経失調症の改善やストレス解消が期待されます。

②塩化物泉
塩化物イオンが主成分なので舐めると塩辛いです。殺菌性・保温性に優れるが、肌への刺激があるため、敏感肌の人は長湯に注意がひつようです。肩こりや切り傷、飲用で便秘の改善が期待できます。

③炭酸水素塩泉
炭酸水素イオンを主成分とするためアルカリ性。肌がすべすべになり、入浴後は身体の水分発散が盛んになり、さっぱり感を楽しめます。切り傷の治癒や、飲用により胃十二指腸潰瘍の改善が期待されます。

④硫酸温泉
硫酸イオンが主成分。血管を拡張する作用があり、血圧低下・動脈硬化の予防が期待されます。飲用すると、高コレステロール血症の改善も見込まれます。

⑤二酸化炭素泉
炭酸泉と呼ばれることもあります。入浴すると、身体に泡が付着します。泡から浸透した炭酸ガスは血流改善の効果が認められ、冷え性の改善が期待できます。飲用すると、胃腸を整える効果が見込まれるとともに、さわやかなのど越しを楽しめます。

⑥含鉄泉
相当量の鉄イオンを含むため、空気に触れると赤褐色になります。鉄分の作用により、入浴をしても飲用をしても貧血の改善が期待できます。

⑦酸性泉
酸性の度合いが強く、殺菌性を備えています。皮膚病に効果があるとされていますが、体質によって症状が悪化してしまう場合があるため、皮膚病の改善を望んでいる方は、医師の診断の上での利用が望ましいです。飲用する際も、食堂や胃がダメージを受ける可能性があるため、薄めて飲む必要がある場合があります。

⑧含よう素泉
ヨウ素イオンを相当量含む温泉です。2014年に新たに追加された泉質です。入浴した際の殺菌性だけでなく、飲用をすると高コレステロール血症の改善が期待されます。

⑨硫黄泉
硫黄が含まれるため、独特の腐卵臭があり、温泉気分を強く感じられます。保温作用と殺菌作用があり、アトピー性の皮膚炎や糖尿病の改善が期待できます。金属を腐食させる効果もあるので、アクセサリーなどは外してから入浴しましょう。

⑩放射能泉
いわゆるラドン温泉。人体にいい影響を与えるほどの量の放射能は痛風やリウマチの改善が期待できます。

Ⅱ:ph値

より簡単に温泉を分類するのに便利なのが、ph値による分類です。

水素イオンの濃度による1~14の値によって、主に3つに分けられます。

①酸性(ph6.0未満)
殺菌効果が見込まれ、皮膚病の改善が期待できます。入浴中にピリピリした感触があります。刺激が強いので、phが特に低い温泉では入浴後は洗い流すことを推奨していることもあります。

②中性(ph6.0以上、7.5未満)
日本の温泉では多く見られるphの値です。刺激が弱いため、肌に優しい温泉です。入浴によるストレス解消に最適です。

③アルカリ性(ph7.5以上)
アルカリ性の温泉に入ると、皮脂を溶かして角質を柔らかくする効果があります。トロトロの感触を楽しみながら入浴できます。「美人の湯」「美肌の湯」と呼ばれる温泉はアルカリ性であることが多いです、

Ⅲ:湧出量

湧出量の値は、温泉がどれだけ潤沢化を表しています。

ここでの楽しみ方は、温泉施設毎の湧出量の比較です。

ただし、単純な数字の比較では不十分です。

温泉施設はそれぞれ規模が異なります。
浴槽の数や広さなどから見られる規模の大きさに対して、どれだけの湧出量があるかを比較してみると、潤沢な温泉を持つ施設がわかるかもしれません。

湧出量が大きい温泉施設では「かけ流し」をアピールしていることが多いので、温泉分析書をチェックしてみましょう。

奥が深い温泉分析書の世界。マニアまでの道は遠い。

ここまで温泉の楽しみ方を増やすための温泉分析書の読み方を紹介しました。

温泉分析書は脱衣所で見られることが多いですが、フロントの近くに掲示されていることもあります。
温泉施設のホームページで公表していることもあるので、チェックしてから訪れることも可能です。

今回紹介した項目の他にも、適応症から温泉を逆検索してみたり、浸透圧の高さから温泉の濃さを想像してみたり、まだまだ楽しみ方はあります。

温泉分析書を読むことは、温泉ライフをより充実なものにしてくれます。
何気なく入っていた温泉をよりよく知ることで、趣味の温泉の時間の中でも考えを巡らすことが多くなるからです。
まずは、泉質・ph値・湧出量の項目を見て、あなたが入る温泉の魅力に迫ってみてください。
温泉分析書は、あなたの趣味により彩りを加えてくれるはずですよ。

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